エピローグ:本当の自分を見つけたJK。
「……ここ、は?」
「良かった……目が覚めたんだね」
私の身体をぎゅっと抱きしめる柔らかくて暖かい少女。
「……もちゃ? 私達、たしか……死んだんじゃ」
私はお嬢に殺されて、庭に埋められて二度と生き返れない筈じゃ……。
「ボクも……ゆゆと一緒に死ねるならそれでいいかなって思ったんだけど……気が付いたらこっちに戻されてたんだ」
お嬢……か。
結局私を殺すっていうのは嘘だったのかな?
それとも、もちゃが来てくれたから……なのかな。
お嬢が何を考えていたのか今になっては分からないけれど、私は負けた。
彼女に、私の浅ましい考えも、醜い自尊心も、何もかも砕かれてしまった。
私は、本当は死にたくなかったのかな。
よく分からない。
でも、きっと私が死にたいって思っていたのは死ねない状況下での無い物ねだりだったんだろう。
ダンジョンに初めて入ったあの日、あの時死んでもいいって思っていたのはきっと本当だと思う。
だけど、お嬢に鉈で切られて死にかけた時、私は……本気で死を恐れた。
恐怖した。怖かった。
何でもするから助けてほしい、殺さないで。
本気でそう思った。
もう次が無い、私を誰も必要としない。
なんの意味もない存在になるのが怖かった。
だから、だから怖くて怖くて……。
だけど、あんなに冷たくしたのに、もう必要ないって切り捨てたのにもちゃは私を助けに来てくれた。
自然と、あの時心が満たされた……。
私を心の底から必要としてくれる人がいる。
そして、私と一緒に終わってくれる人がいる。
だから、私は満足して死ぬ事ができた。
「死ねなくて残念って思ってる……?」
「……少しだけ」
「でもボクは、やっぱりゆゆと一緒に生きられる事が嬉しい」
「……奇遇だね。私ももちゃと一緒に生きられることが……本当に嬉しい」
するりと、本音が出ちゃう。
どうしてだろう……もちゃにはもう隠し事が出来そうにない。
「嬉しい」
もちゃの瞳から大粒の涙がぼろぼろと零れて、私に降り注いでくる。
「もちゃ、冷たいよ……いや、生ぬるい? むしろちょっとあったかいかも」
「なにそれ」
もちゃがくしゃくしゃになりながら笑った。
この笑顔を、大切にしたい。
私は、今までの分までこの子を愛して生きていきたい。
「もちゃ……」
そっと、あの時みたいにその頬に触れる。
「一緒に、住もうか」
「えっ……?」
「あっちに帰って二人で一緒に暮らそう。……嫌?」
「嫌なわけ、ない」
「ちょっと、あったかいものがどんどん降ってくるんだけど」
「ごめん、ゆゆ……ごめんね」
謝らなくていい。むしろ謝らなきゃいけないのは私だ。
私はこれから、みんなに頭を下げに行こう。
許してもらえないかもしれないけれど、全員にちゃんと謝らなきゃ。
何を言われるか考えると、自業自得ながらとても怖い。
だけど……それでも私は一人じゃないから。
私にはもう、もちゃが居るから。
身体を起こし、もちゃの身体を抱きしめて感謝の言葉を継げる。
「私を、愛してくれてありがとう。私ももちゃの事……」
不思議と恥ずかしくなかった。
「愛してるよ」
★★あとがき★★
約1年間(丸11ヶ月)の連載でしたが無事に完結する事が出来ました。
2部は1部と違いかなり陰鬱なお話になってしまい、かなり人を選ぶ作品になってしまったかなと思います。
3部は再びお嬢視点に戻りましたが、当初のドタバタな明るいノリとは変わってしまったのが後悔と反省点ですね。
この作品は実験的に1話1000文字程度で書いてきましたが、やはりいつも通り2000文字前後が良かったかなと。
展開的にも書き足りていない部分も多く、自分としては反省の多い作品になりました。
この作品を通して得たものを今後に活かして行けたらと思います。
現在メイン作品の【ぼっち姫は目立ちたくない!】は既に1年半毎日投稿しておりまして、そちらもあと1ヶ月程度で完結見込みです。
よろしければそちらも覗いて頂けたらと。
今後は週に1〜2更新のラブコメ【おさころ】の更新ペースを上げつつ、新作の準備をしていきます♫
今プロット製作中ですのでぼっち姫完結頃にはある程度形に出来ているかなと。
他作品の話になってしまいましたが、【 だんじょん いん・ざ JK 】を最後までお読み頂き本当に有り難う御座います!
皆さんはどのキャラがお好みでしたか? 個人的にはやはりお嬢、そしてアーニャの二人組ですね。
イル君はもう少し活躍させてあげたかったですが(笑)
ゆゆは良くも悪くも自分を見失ってしまった可哀想な子なのです。
最後に本当の自分を見付けられたのでひと安心。
よろしければたまにこの作品の事を思い出してやって下さいませ。
今後とも応援よろしくお願いします。
繰り返しになりますが最後までお付き合い下さいまして有り難う御座いました。
まだ下の方にある☆をぽちっとして無い方は☆1つでも構いませんので感じた通りの評価をして頂けると幸いです。
それではまた他の作品で出会える事を願って。
monaka.






