心はいつでもJK。
「あーもうとばっちりもいいとこだよ! なんで私がこんな思いしなきゃいけなかったのさーっ! うがーっ!!」
「よしよし、お嬢は頑張ったよ。ゆゆを止めるにはああするしか無かったんだろ? 誰もお嬢を責めたりしないって」
「あーにゃぁぁぁ……」
私はアーニャのママみに慰めてもらおうとその胸に飛び込んだ。
勿論叩かれる覚悟はしてた。
なのに、アーニャは優しく髪を撫でてくれた。
「うぅ……あーにゃ、すき」
「はいはい。私も好きだよ」
「結局私達神様になったけどみんなバラバラになっちゃったね」
「まぁそれぞれの生活があるんだからしょうがないだろ」
全てが終わった後、マスターが神界の頂点に立って偉い人になった。
でも自分では何もせず、あれこれ指示を飛ばすだけでいつもゲームしながらポテチ食べてコーラ飲んでる。
私らは特例で行き来できるけど、世界は大混乱だったみたい。
ダンジョンが消えて道具類も在庫切れ。
大怪我をしたら死ぬし生き返る事は無い。
当たり前の世界に戻った。
そんな当たり前の生活へ戻って行った人、こちらに残った人……みな自分の居るべき場所を選ぶ事になった。
ハム子は実家に帰った。「いろいろ疲れちゃった」だそうである。
イル君はヤクザを引退してサラリーマンやってるらしい。家には仕事を失ったゲイの人を囲ってて、その人が毎日食事とか作ってくれるんだって。
私達が知ってる人な気がしてしょうがないんだけど怖いから聞かなかった。
ダンジョンが消えた世界にこじこじを戻すのはどういう現象が起きるか分からなかったので念の為こじこじは神界で暮らす事になった。
マスターのサポートみたいな事をしてるらしいけど、とっても有能なんだってさ。
本人が楽しんでやってるみたいだからいいけど、わざわざめんどくさい仕事をやりたがるって凄いなぁと思う。
カナは神界に残ってマスターにこき使われつつ、日々修行してる。
キャロちゃんは実家に帰ってしまった。
……と、思ったらママさんを連れてこっちに帰ってきた。
神界でくらす方が確かに余計な心配がいらないしお金に困る事もないしね。
キャロちゃん自体は神界の警備とかをメインにしてて、神界人の間で諍いが起きたりすると飛んでいって両成敗でぶちのめすミニスカポリスになった。住民からは大人気らしく、わざと揉め事を起こすような馬鹿もいるらしい。気持ちは分る。
「ねぇアーニャ、私達はどうする? 元の世界に戻る?」
「……それは無いな。ダンジョンも無くて道具も武器も魔法も無い世界なんて退屈過ぎて嫌になる」
「じゃあこっちで神様でもやる?」
「冗談だろそんなめんどくさい事私がやる訳ないって」
「だったら……」
答えは一つ。
決まってるよね。
この神界は、あらゆる世界を管理する中心地。
つまり、私達が暮らしていた世界とも違う異世界が存在している。
私達が知らない世界はどんな未知に溢れているんだろう?
「ダンジョン探索が終わったなら今度は………異世界探索、だね♪」
「いやいや、ファンタジーみたいな世界だったらダンジョンくらいあるだろ」
「いや、もうダンジョンはいいってば……」
「なんでだよ。私達がやる事っていったらまずはダンジョンだろ!」
アーニャは本気だ。本当にこの子は……。
まぁ、そういう所が好きなんだけどね♪
「そういう事なら儂らも連れていけ」
……いつの間にか足元にトカゲみたいなのと亀と犬と鳥がいた。
「お前ら……随分ちっこくなっちまったな」
一瞬アーニャの発言の意味が分からなかった。
そうか。こいつら四神か。
「これは仮の姿よ。神の位から落ちたからには好きな事をして生きようと思ってな」
「んー、まぁいっか。使い魔みたいでかっこいいし」
「面白い世界はあるんだろうな?」
あ、いいねその顔。アーニャはやっぱりそうでなくっちゃ♪
「無論、まだ管理が行き届いていないおあつらえ向きの場所がある」
「ダンジョンはあるの?」
別になくてもいいんだけど。
「無論じゃ」
「そうこなくっちゃな! お嬢、そこに決まりだ」
「はいはい♪ 仕方ないなぁ。じゃあ新たなダンジョンを求めて、JK二人組、いっちょ行きますか♪」
「私達はもうJKじゃないだろうよ」
「何言ってんのさ。JKってのは心の在り方ってやつだよ! 私達がJKだと思っていればJKなのっ!」
建物の外へ出ると、満天の星空。
神界でもこういう所は変わらないんだなぁ。
そっとアーニャの手を握ると、アーニャもぎゅっと握り返してくれた。
よーっし! でっぱつ!
お読み頂きありがとうございます。
次が最終話になります。最後までお付き合いくださいませ。






