覚醒するJK。
「ではではー最終戦はじめますよー?」
困った事になった。
こっちは作戦を立てる時間なんてまるでなかったし、いきあたりばったりでやるしかない。
「こんな形での決着は望むところではないが、これも止む無し」
青龍はなんだか腕組みしながら一人で納得してる。
もっと反論しろ!
白虎と玄武はもう一度戦える事を喜んじゃってるし朱雀なんて最初から空に浮いてケラケラ笑ってるしもうこいつらヤダ。
「おい、基本的にはゆゆとお嬢に場を攪乱してもらうからしっかり頼むぞ」
マスターがそんな指揮をとるから仕方なく頷く。ゆゆは完全に無視。
「アーニャとハム子は例の奴を準備しておけ。他の連中は二人を死ぬ気で守る事。あとキャロ、君はいざという時まで超人化は使わないように」
みな神妙な面持ちで頷く。
カナとイル君はとにかく頑張れ。
もちゃは複雑な表情でゆゆをじっと見つめていた。
「みなさん頑張ってくださいねーっ! では最終戦……開始っ!」
私は開幕からアーニャに強化魔法をかけてもらって、腕を青龍化させて飛び込む。
まずは白虎の手足のどこかを抉り取ろうと思ったんだけど意外と素早く玄武が間に入ってきてその硬い甲羅で防がれた。
どうやら手足を引っ込めてジェット噴射みたいな勢いで飛んできたようだ。
相変わらずガメラだなこいつ!
「ゆゆ、早くしないと……!」
「うーん、ちょっと黙っててくれる?」
何をやってるんだあの二人は……!
みんな必死に戦ってるっていうのに、ゆゆはじっと自分の身体の点検みたいな事やってる。
手を開いたり閉じたり、その場で足踏みしてみたり。
もしかしてさっきの戦いで何か後遺症とかが出てるのかな?
「ゆゆ……、私だけでも、行ってくるね!」
「うーん……なんかおかしいなぁ」
ひとりでボソボソいってるゆゆを置いてもちゃが参戦してくれた。
彼女の透明化は使い方次第でかなり便利な能力だと思う。
私があの力を持ってたら間違いなくアーニャの私生活を一日中観察したりキャロちゃんの私生活を……ってそんな事考えてる場合じゃ無かった。
玄武が回転しながら突っ込んでくるのを正面から受け止めて放り投げる。
その陰から飛び出してきた白虎の蹴りをかわしながらスロウを発動し青龍化させた腕でぶん殴る。
これは結構いいダメージを与えられたのではないだろうか。
追いかけて追撃をしようとしたその時。
「なるほどなぁ」
背後で、気が抜けたゆゆの声が聞こえた。
そして
「ぐあぁぁぁっ!!」
目の前に身体が縦に半分千切られた朱雀が落ちてきた。
「あはっ、あははははははははっ♪」
ゆゆだった。
彼女は笑いながらゆっくりとリングの上を歩き回り、襲い掛かってくる四神の攻撃を避けようともせず、すべてをその身に受けながら
笑い続けた。
「うふふっ、あはははっ♪」
彼女が腕を振るう度、玄武の身体が真っ二つになり、白虎の首が飛び、青龍が頭だけになった。
私達はそんなゆゆを、ただ眺めている事しか出来なかった。
突然のゆゆこ無双。いったい何があったのかは次回にて。






