地獄絵図なJK。
「お、おおおおぉ!?」
ねじ切れて地面に転がった朱雀の頭が驚いたように目を見開いた。
「今のはどうした事じゃ!? まるで気配がしな……」
ぐちゃり。
今度は朱雀の頭が踏み潰されたように真ん中から割れる。
「……!!」
その時、ぶわりと頭の残骸が炎に変わる。
そしてその炎の勢いが強かった事で、踏み潰していたであろうもちゃの片足が焼かれ、その姿が現れる。
やっぱり新しく手に入れた才能で姿を消していたみたいだ。
「もちゃ今の凄いね」
「でもしくじった」
もちゃの片足は膝のあたりまで真っ黒。表面は炭化していて、ぼろぼろと崩れかけているところもあった。
きっとすさまじい痛みだと思う。
「もちゃまださっきの透明になるのいける
?」
「……うん、大丈夫」
うわこいつ心配しないのかよ……。
「じゃあ次行こうか。でもあいつどうなってんの……?」
朱雀の頭は炎に変わり、しばらく上空をぐるぐる回ってから身体の元へ戻りしゅるっと元の形に戻る。
「いやはや今のはなかなか驚いた。でも今のはもう通用しないぞ」
「……やってみないとわからない」
「やってみたまえ。すぐに分かるだろう」
「……ッ!!」
もちゃの身体が空気に溶けるように消えていく。
同時にゆゆも朱雀の上空へ移動しバールを振り下ろす。
朱雀はそのバールを軽く受け止め、自分の背中から炎を噴き出した。
「ぐッ!!」
ちょうどもちゃが背中から仕掛けようとしていたらしく全身を焼かれて地面に転がった。
「臭う臭う。その焼けた肉の臭いで居場所がバレバレじゃよ」
朱雀は掌から炎を次々に放出した。
魔法ではなく自分の身体から炎を生み出せるらしい。
あれはやっかいだな……。
地面に転がったもちゃは炎をかわしながら再び姿を消すけれど、本当に居場所が分かるようで次々に炎を繰り出し、そのうち数発はもちゃの身体をじわじわ焼いていく。
すととっ!!
「むっ!?」
朱雀の顔面にクナイが三本突き刺さった。
「ほう……武器までも透明化できるのか。これはなかなかにやっかいじゃのう」
全くダメージ受けて無さそうに見えるけど……。
現状ゆゆの攻撃は完全に見切られていて、もちゃの方が朱雀を攪乱できている。
でもそれも長くは続かないだろう。
もちゃが追い詰められて完全に行動不能に陥った時、ゆゆだけで勝てるのかコレ……。
「これは……私ももう少し身を切らないとダメだね」
未だにゆゆの振り下ろしたバールを掴んだままの朱雀の手が黒い炎に包まれた。
「ぐおっ!? なんだその炎は……!」
「身体が火で出来てるようなじいさんもこれは痛いんだ?」
あのバールは地獄の炎を呼び出す。
私ではあそこまで純粋な地獄の炎は出せなかった。
やればできたのかもしれないけど、きっと身体がすぐに燃やされてしまうだろう。
ゆゆだから出来る。
その証拠に、バールを持つゆゆの手は手首の辺りまで真っ黒になってた。
勿論すぐに再生してしまうのだけれど。
この戦いは身を削り続ける地獄絵図だ。
ここから先は完全に地獄。






