決着をつけるJK。
……あれっ?
私、死んでない。
気が付いたらリングの隅に倒れていた。
あれだけの大爆発を起こしていたのにリングは何事も無かったかのよう。
どうやら最初に私達を包んだガラス玉みたいなのに閉じ込めてその中だけで魔法を爆発させたって事みたい。
私がどうして無事なのかはよく分からないけど、多分アーニャが何かしてくれたんだろう。
私は歩いてリングの中央にある球体へ近付く。
「お嬢、待たせて悪かった。魔法を合成するのには時間がかかるんだ。ネクロがなかなかいう事聞いてくれないから」
『aiaiai! 道具の性能は使い手次第で変わるんDAZE!』
「はいはい私が未熟なせいだよ。まったく面倒な……ん? おい、お嬢……」
アーニャが私を見て驚いている。
何がそんなに不思議なのだろう?
その時、ビキビキと音を立てて球体が崩れた。
この流れ、見た事あるやつじゃん。
確かイル君達が白虎と戦った時……白虎が封印をぶち破って出て来た時と同じじゃないの?
私はすぐにでも対応できるように姿勢を低くし、身構えた。
「あぁ、心配は要らないよ……その結界の方も限界だっただけだから。威力が高すぎたせいでもうボロボロだったみたいだな」
……アーニャの言う事だから信じたかったけど一度イル君の時のを見てると不安になるのは仕方ないよね。
「グ……ぐおぉ……」
「おいおい嘘だろ……!?」
青龍の声が聞こえてアーニャが慌てる。
「おいネクロ! もう一発だ! 奴が動けるようになる前に準備を……!」
『無茶言うんじゃNE‐ZE! 合成魔法立て続けに使ってもう限界だっつーNO!』
やっぱり私にかけた強化魔法とか、私をあの中から脱出させたりしたのもアーニャの合成魔法ってやつのおかげだったみたい。
攻撃魔法以外は比較的使いやすいのかもしれない。
そこで私は自分の異変に気付いた。
アーニャはさっきこれをみて驚いてたのか……。
でも、笑えるけど、好都合だよね。
「ま、だだ……! まだ、だだがえるぞ……!」
「あ、おっさん意識戻った? 悪いけどこの戦いは私達の勝ちだよ」
私はなんとか自分の身体を修復させようとしている青龍に向かって啖呵を切り、アーニャへもう一度お願いをした。
「アーニャ、それとねくろ……のみこ、だっけ? 頼みがあるんだけど、私に強化かけてくれる?」
「……ネクロ、どうだ? できそうか……?」
『やれやれDAZE……それくらいなら何とかしてやる。だからお前が決めろYO!』
「ありがと」
ぶわりと、身体に力が湧きあがるのを感じる。
今の私はきっとこの力もきちんと制御できるし最大限まで活用できるはずだ。
「お、お前……それは、どうしたのだ」
どうやら青龍も気付いたみたい。
私の手首から先と右足が復活している事、そして、青い鱗に覆われてる事。
「くっ……よもやこんな……ふはは! 面白い! 決着をつけようぞ!」
青龍が最後の力を振り絞ってその拳を振り下ろす。
きっと彼は生命エネルギーすらもこの一撃に転化していて、今までで一番早いと感じたしそのプレッシャーもとてつもなかった。
だけど。
「ごめんね、もう負ける気がしないんだ」
鱗が生えた腕で青龍の拳をぱしんと軽く逸らせてがら空きの脇腹に右足を突き立てる。
足先が突き刺さり血を噴き出しながら折れ曲がる身体。
丁度いい位置に下がってくる頭。
「言い残す事ある?」
「……見事」
私はその顔面を打ち抜いた。
まだ次回も少々青龍戦の話を引きずりますが、今回で青龍戦自体は決着です!






