因縁の対決に臨むJK。
「雪だるまミラージュ!」
アーニャが聞いた事ない魔法を唱えて、彼女の周りに人間大の雪だるまが沢山現れる。
「アーニャそれ何?」
「デコイだよ。簡単な戦闘も出来る……例えばこんなふうにな!」
アーニャが手を翳すと、雪だるまが一斉に青龍に飛び掛かる。
「また面妖な……しかしこの程度では意味がないぞ」
青龍はその場から動かずに手だけを振るった。すると雪だるまのうち数体があっさりとバラバラに砕け散る。
しかし残り三体ほどは後ろに控えて距離を取っていて、それぞれが小さな雪だるまを沢山発射し、それが空中で爆発。
雪の弾丸となって青龍を襲う。
「ほう……二段構えとは面白い」
青龍は目にもとまらぬ打撃でその弾丸全てを消し飛ばした。
でも。
アーニャの狙いはそれじゃない。
私は控えていた雪だるまの後ろに隠れる形で青龍との距離を詰めていた。
雪だるまが一体その場で細かく分解され、まるで吹雪のように青龍の視界を塞ぐ。
残り二体がその間に合体し一つの雪玉になって青龍へ突撃。
青龍がその雪玉を両手で受け止めて腕力だけでぐしゃりと潰した。
私はその瞬間に雪玉の影から飛び出しがら空きの脇腹目掛けてパンチを繰り出す。
「何の打ち合わせも無くここまでの連携が取れるとは……流石だな! しかし……むっ!?」
青龍が私を蹴りで迎撃しようとしたみたいだけど、残念だったね。全く動こうとしなかったその余裕が命取りだよ!
アーニャの攻撃は全てこの為の物だった。
繰り返される雪玉の攻撃は、青龍本体を攻撃すると見せかけて全てその足元へ向けられていた。
何重もの氷となって青龍の足は地面に固定されている。
勿論それは簡単に砕かれてしまうのだけれど、私にはその一瞬があれば十分だった。
「しまっ……」
「死にさらせーっ!!」
脇腹に渾身のフックを叩き込む。バールがあればもう少し距離を取れたんだけど肉弾戦だからこればかりは仕方ない。
ゼロ距離からその脇腹を抉るように、捻りを加えて抉り飛ばす。
「ぐぬぅっ!!」
青龍の脇腹から右胸の近くまで、肉が吹き飛び血が溢れ出す。
ぞくっ。
私はとてつもなく嫌な予感がしてスロウを発動した。
その瞬間、身体の一部が消し飛んでるっていうのに何も気にして無いような、禍々しい力が込められた拳が私の目の前にあった。
ゆっくり動く時間の中でそれをギリギリかわして一度飛びのく。
「ふっ……ふははは!! 素晴らしいぞ百鬼ノ城美麗! そして比嘉愛菜……! 油断はせぬつもりであったがそれすら慢心であった……本気で相手させてもらおう!」
もう、えぐり取った肉は元に戻って、全身が青光りする鱗で覆われていた。
まずは連携攻撃にて優勢な状態をキープしておりますがおっさんもここから本気です!






