モンスターペアレンツ VS JK。
「ゆゆ、無理しない方がいい。今回はスルーしとけ」
「私もその方がいいと思う。リスクが大きすぎるよ」
……そんな事言われてもさ。
「ごめん、私あいつらの顔見てると殴りたい衝動を我慢出来そうにないんだよね」
二人は止めたけど、私はもうやる気だった。
いざ、そいつの所まで向かおうとした時。
くい。……と、袖を引っ張られる。
「……ダメ、だよ」
もちゃ……悪いんだけどさ、
「邪魔しないで」
私は私の袖を摘まむ手を叩き落した。
きっと、この時点で私は彼女と共に歩む資格を失っていたんだと思う。
「あっ……」
そんな感じだったかな。背後で悲しそうなもちゃの声が聞こえた。勿論、私は止まる気がないからその小さな声を、私の為の大切な声を無視した。
奴の方へ走って行くと、やがて私に気付いたらしくその巨体を揺らしながら応戦してくる。
そのぶよっとした太い腕を大きく振り上げ、その掌で私を押し潰そうとしてきた。
出来る限り引き付けて、私の髪の毛に奴の掌が触れるかどうかの距離まで来た所で、移動。
まずは父親の後頭部へ現れ、その薄くなった毛髪を燃やし尽くしてやろうと炎をまき散らしたけれど、何故だか見えない壁みたいなのに防がれてしまう。
ハゲが光ってバリアでも張ってるの? 鬱陶しい。
もっと直接的な攻撃をした方がいいのかもしれない。
すぐさま再び移動し、母親の目の前へ。
目玉が目の前にあってめちゃくちゃ気持ち悪い。
奴はそのでかい瞳で私をぎょろぎょろと睨んだ。
「グロいんだよっ!! 二度とその目で私を見るなぁぁぁっ!!!」
自分でも不思議なほどに感情が高ぶっている。
もう何もかもがどうでもよくなってしまうくらい私は今こいつをぶん殴りたくて仕方ない。
私の両親、実際には出来なかった事。
感情を爆発させて思うままに殴り続けたい。
それが出来るんだから有難いなんてもんじゃない。
「おりゃりゃりゃりゃーっ!!」
ガラにもなく私は本気で殺したくて仕方なかった。
本気で、何度も何度もその眼球へバールを振り回す。
なのにどうして?
「なんでちっとも当たらないのよ!!」
私の振ったバールは、奴の瞳に当たる直前、先っぽがどこかに消えてしまう。
空間が歪んでるのかもしれない。
だったら私がそこへ飛び込んだらどうなる?
その向こう側で倒す事が出来るかもしれない。
今度は体当たりのような形でその大きな瞳へ突進した。
今までと同じくまるで手ごたえが無い。
それどころかここがどこなのかまったくわからない
だからと言って私は止まる訳にはいかない。
私ごと、この空間に地獄の炎を充満させた。
もう脳汁で過ぎて熱いとも痛いとも思わなかった。
ゆゆは一刻も早く両親を克服したくて、それしか考えられなくなって、それすらただのいい訳で本当はただ暴れたいだけで、だけど本当は自分を変えたいから倒したくて……。
そんな複雑な思考が頭の中でぐっちゃぐちゃになってる状態です。






