ピッカピカのJK。
私は左右の腕にカナともちゃを侍らせながら魔法陣へ飛び乗る。
後ろの方ではお嬢が左右にキャロとアーニャを侍らせていた。
なんだか私とお嬢が同じようなポジションみたいに見えてしまうのは何とかならないだろうか。
私はあんな女好きではないし、あそこまで女たらしではない。
……はずだ。
カナはともかくきょとんと私の事を見上げているもちゃを見ていたら少し不安になった。
私は浮気者にはならないようにしよう。
……浮気?
どうして浮気は浮気って言うんだろう。だって浮ついた気持ちだから浮気なんだよね?
相手に本気になっちゃってる場合は?
それも浮気?
浮ついてるんじゃなくて真剣に相手の事が好きになっちゃって付き合ってる相手との関係を悩みだす……って場合は浮気ではないのかな。
そんな事を考えていたら次のフロアに出た瞬間に鳥型のモンスターが襲い掛かってきて、それを私はぼけーっと眺めていた。
あっ、攻撃される。
って分ったんだけどなんでかすぐに身体が動かなかった。
そのかわりにもちゃがクナイみたいなのを投げて牽制し、空中で怯んだ好きに腕を錐状に尖らせたカナが貫いて倒した。
この二人なかなか息が合っているのでは?
「二人ともいい連携だったね」
「有難うございます先輩っ! こいつともうまくやっていけるよう頑張ります!」
「……こいつってボクの事……?」
なんでいきなりカナはもちゃに喧嘩売った? もちゃが静かに怒ってて空気が重いんだけど……。
「あわわ、悪気はないんです! もちゃの事も尊敬してますよ!」
「……どんな所を?」
「先輩といちゃいちゃしてるのが尊いところです!」
もちゃが口を半開きにして顔が真っ赤になった。
ちょっと可愛い。
もちゃって急に褒められたり、今みたいに恥ずかしい事言われたりするとよくこうなるんだけど、人目なんて全然気にしないタイプに見えて意外と反応良いんだよね。
「なんか随分盛り上がってるみたいだな」
後ろからアーニャがやってきて私達に皮肉を言うけれど、しっかりお嬢の腕にしがみ付いているあたり威厳の欠片もない。
もちゃはいろいろこじらせるとアーニャみたいになっちゃうのかな……。
アーニャはぶっきらぼうだし文句ばかり言ってるけど、基本的にお嬢の事好きっていうのだけは体が嘘をつけない状態になってる。
そのギャップは面白いし、お嬢がちょっと困惑してるところが更に面白い。
「このフロアどうなってるんですの……?」
キャロが辺りを見渡しながら言う。私もまだ見た事がないフロアだった。
森の中のような場所なのに、地面は一面氷。
心なしか滑る感じはあるけど、ツルツルって程でもない。
そしてピッカピカに光ってて眩しい。まるで鏡みたいだ。
「キャロちゃん……君は、その……相変わらずイイね!」
お嬢が、氷に映りこんだキャロのスカートの中身を見て「げへへ」と汚い笑い声をあげる。
そしてアーニャに肘打ちを喰らっていた。
ほんとこの人達楽しそう。
ちなみにキャロは勿論あの装備してますんでわざわざ映り込みを見なくても大体見えてるんですけどね。






