ヤる気と殺る気をぶつけ合うJK。
「……それ、喧嘩売ってるの?」
「うわ、怖い顔しないでよ。実際体験した方が分かりやすいってだけだってば。それに……もちゃの実力も見て見たいしね♪」
もちゃに睨まれてもお嬢は飄々と笑ってる。
「……本気で殺るよ?」
「うひゃーお手柔らかにお願いね」
もちゃが大分イライラしてる。からかわれてると思ってるのかな?
多分そうじゃなくてこの人はこういう人なんだと思うけど……。
「さ、いつでもいいよ。ってうわびっくりした!」
もちゃが物凄い速さで私の目の前から消えてお嬢に飛び掛かっていた。
でもお嬢はもちゃの腕を掴んでいて、そのまま振り回して遠くに放り投げる。
「うーんなかなかのスピードだね。しかもそれって……才能じゃなくて素の運動能力だよね? こっわ」
「いつの間に掴まれたのか分からなかった……」
「ほら、もう一回おいで。自分でこの力の正体を暴いてみせなよ」
お嬢はなんでこんな回りくどい事をするんだろう。
本気で戦う気があるようにはあまり見えないんだけど……。
「じゃあ次は……これ!」
もちゃの姿が四人に分れた。確かあれは才能の力だったかな?
「分身の術とか凄い!! カッコいい!!」
「馬鹿に……するなぁっ!!」
四人がバラバラの方向からタイミングを少しずつずらしてお嬢へ短刀で切りかかる。
「!?」
結果は、全員空振り。
それどころかそのうちの一人がお嬢に背後から羽交い絞めにされて身体をわしゃわしゃ触られてた。
「ばっ、やめろーっ!! ボクに触るなっ!!」
もちゃは顔を真っ赤にしてジタバタ暴れるけどお嬢の力は凄いらしく全く離す気配がない。
「四体とも全部実体がある分身かーそれは結構使い勝手がよさそうだよね。分身してる時に一人がこういう事されたら感覚とかはどうなってるの? 共有してるの?」
「やめっ、ヤダ! ゆゆ助けてーっ!!」
あらあら……こりゃもちゃの完敗だねぇ。
「お嬢、その辺にしておいてあげて。もちゃが私に助け求めるなんてよっぽどだよ」
「ちぇっ、これからいいところだったのになぁ」
お嬢が拘束を解くと、もちゃは涙目で私の後ろまで走って逃げてきた。
かわいい。こんなもちゃは初めて見た。
「で、結局私の才能がなんなのか、その秘密は分かったかな?」
「うるさいばかーっ!!」
「あっれー。もしかして嫌われちゃった?」
もちゃが落ち着くまでしばらく私は頭を撫でてぎゅっとしてあげた。
完全に彼女の中にトラウマが刻まれたぞ。これでダンジョンが発生したらどうしてくれる?
もちゃに新たなトラウマが刻まれてしまった……(;´∀`)






