突然の別れを突き付けられるJK。
「あ……あ、あの人って……」
キャロが顔を真っ青にして震えだした。
このおっさんがどうかしたんだろうか? 組織の偉い人とか?
「なんでお前がこんな所にいるんだよっ!!」
アーニャも滅茶苦茶怒ってる。凄い剣幕だ。
「うっわ、こんな所まで迎えに来たの……? 私だって予想外だったんだからしょうがないじゃん。しつこいなぁ」
お嬢は普通に会話してる。
でも待って。
こんな所まで迎えに……? って事はこの人……。
「儂がせっかく推薦してやったというのに……まだ人の世に未練があるというのか?」
「悪かったってば。でもこっちに恋人がいたんだから普通未練たらたらでしょうよ」
「恋人……ふむ、それが例の百合という物か」
この人絶対神様とかそういうやつだ。お嬢ってば百合とか神様に何教えてんの。
「まぁまぁ、来ちゃったからにはしょうがないからさ、おとなしく帰るよ。それでいいでしょ?」
「なっ、ふざけるなよ! お嬢を連れて行かせはしない!」
アーニャは必死にお嬢を庇おうとするが、きっとお嬢はここに居る人を守る為に自分が戻ろうとしてる。
それを遮るって事は……ここで戦いが始まってしまうんじゃないか?
「ふむ……無論お主を連れ戻しにきたのだが……こちらも少々事情が変わってな。別にいいかと思っている」
「……私を見逃してくれるって事?」
「そうなるな。その代わりと言ってはなんだが……本人からありがたい申し出があったのでね、他の人員を頂いて行く事にするよ」
……本人から申し出?
お嬢の代わりに誰かを連れて行くって事なんだろうか?
それって、この中の誰が……いや、そうだよ。ここに居ない人が一人いるじゃないか。
「さぁ、皆に最後の挨拶でもしたまえ」
そう言って男の後ろから、こじこじが前に出た。
「こじこじ!? どうして? 私を連れて行けばいいでしょう!?」
「君は確かにもはや人と呼ぶには進化しすぎた。儂の血を体内に取り込んだ事で人でありながらその上位存在となったと言っていい。だが、……いや、だからこそ我々は君を人の中へ戻す事にした」
「……どういう事?」
「無論きっかけは今回の事だが、ダンジョンをこの世界に配置した理由はダンジョンマスターの彼女から聞いただろう? 人の進化を促す為だと。儂らは人より抜きんでた存在である君を世に放つ事で世界の動きがどうなるかを様子見する事にした。しかしそうなると人員がこちらも不足するのでね、彼女ならば資格も資質も十分だ」
それはこじこじが普通の人間ではないという意味だった。確かにちょっとおかしな子ではあったけれど……。
「お姉ちゃんたち、ごめんにゃ。でも私が自分でお願いしたのにゃ。だから、今日でさよならにゃ」
そう言ってにっこりと笑うと、男とこじこじはこの場から消えてしまった。
お分かりかと思いますがこの男は以前あちらで戦った龍神のおっさんです。
基地は使えなくなり、組織は解散し、こじこじは連れていかれてしまいました。
ここからそれぞれがどう動くのか、第二部も残り少し。この先もお付き合い下さいませ。






