基本的に男が苦手なJK。
アーニャやお嬢と別れようとした所で、基地の中になんか知らない人が現れた。
「げっ、何しに来やがった」
「あ、イル君じゃん久しぶりー」
「お、お、お嬢!? ど、どどどどうして……いや、そんな事より、お勤めご苦労様です!!」
「いや、人を懲役帰りみたいに言わないでくれる?」
やり取りを聞く限りこの男の人は、課長とかが言ってたもう一人の仲間、イルって人のようだ。
「お嬢! おじょう……!!」
イルがお嬢に物凄い勢いで飛び掛かって、アーニャにボコボコにされてる。
「お前一体何しにここに来たんだよ! 用がないならさっさと帰れ!」
「そんな冷たい事言うなよ愛菜……お嬢が帰ってきた素晴らしい日だっていうのに……」
このイルって人ちょっと苦手かもしれない。
なんていうか、いい人オーラ出てるんだけどそれが過剰っていうか暑苦しさの方が上回ってる。
……というか愛菜ってアーニャの事か。
「むしろなんでこんないい日に馬鹿兄貴がここに来るんだよ。一気にケチがついちまったじゃないか!」
あっ、なるほどね。いろいろな事を一気に理解した。
「そ、そうだった……! みんなをオペ室に集めてくれ! 大事な話があるんだ」
オペ室って言うなよ手術でもするの?
「なんだよ急に来やがったと思ったら……これからいいところだったって言うのに……」
アーニャめっちゃ残念そう。ほんとに部屋に帰ってイチャつくつもりだったのか……。
「ん、そう言えばもちゃと一緒に居る子は……? 報告にあった新入りさんかい? えっとカナちゃんだったかな?」
「私ゆゆですけど」
ちゃんと報告は入ってるらしい。
イルは私に「そうかごめんな」と言って手を差し出してきた。
断る訳にもいかないので握手に応えようと手を出したところで、イルの手をもちゃが叩き落とした。
「いってっ! 何するんだよ」
「汚い手でゆゆに触るな」
もちゃがそう言って私が差し出してた手をぎゅっと掴んで自分の方へ引っ張って行く。
なんでだろうね。少しだけほっとしている自分がいた。
「クソ兄貴、セクハラはやめろ」
「これもセクハラになるのか!? 大丈夫だって俺は女に興味ないから」
「そうそう。イル君は男の人専門だもんね」
あー。そっち系の人だったか……。
別にもちゃとかアーニャとかお嬢とか見てたら否定する気にもならないけどね。
いいんじゃない? でもなんでここの関係者は恋愛対象がぐずぐずなんだろう。
「……で、急にこんな所に人を集めて何の用なのかしら?」
オペレーションルームに全員集まったけれど、課長はかなり眠いらしくとても機嫌が悪い。
今日はいろいろな事が起きてるので何の報告なのか気になるというか心配というか……。
そういえばイルって全体的にみんなからの扱い酷くない? 別にどうでもいいけど。
「あぁ、それの事なんだけどよ……冷静に聞いてくれよ? 実は……」
イルはそこで一度言い淀んで、爆弾を投下した。
「ここ、あと一週間で解散になっちまった」
ここから一気にいろんな事が動き出します。
良くも悪くも今まで通りではいられません。






