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うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話  作者: 桜月りま
8月21日

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続・入浴中です(紅と白)

ちょっと、悔しいような。

くすぐったい気持ち。



 




「え、えーと、それじゃあ洗わせていただきます」

 ベル姉様が余り胸を触ったので、触り返してみたのですが、効果がなかったです。

 胸が小さめだと我慢できるんでしょうか? それとも触り方の問題でしょうか? それはもともと問題なのかはさておいて、ちょっと悔しかったりします。

 うーーーーあんなに私、声あげちゃったのに。

「いや、すまなかった。しかし雪姫、その胸は自信を持っていいぞ」

 なんて言われましたけど。

 何だか何だか悔しいのです。

 とにかく私は髪と背中を流してもらったお礼に、ベル姉様を洗い返します。



 それにしても綺麗な髪です。

 サラサラとしているかと思えば、触るととてもしっとりとしていて長いのに全く痛んでいません。そして美しい炎のような色。

 縺れる事無く指通りの良い髪に少しの泡にしたシャンプーを混ぜつつ、シャンプーの泡と髪、水を同時に馴染ませながら軽く汚れを落として、泡を立てる準備をします。

 顔にかからないように注意しながらしっかり濡らした所で、適量のシャンプーを掌でふんわりと泡立てから、頭皮を洗っていきます。

「良い泡立ちだな」

「初めに馴染ませているので、泡立ちやすいのです」

 馴染ませているのもありますが、ベル姉様の髪質がとても良くて、細かい泡ができやすい気がします。頭皮を優しく指の腹で洗って。

 手で取れるだけ泡を捨て取ります。流しが楽になるのです。それからたっぷりのお湯で泡を流して、トリートメントをつけます。

 そんなのいらないくらい綺麗ですけど。これはとても良い匂いがするので、おすすめなのです。それもお揃いの匂いって良いです。髪は背中を洗うのに邪魔にならない様、とりあえず一度まとめあげて放置します。



「馴染む間に背中洗いますね」

 さっきベル姉様が教えてくれたので、泡立てたボディソープで、そっと背中を掌で洗います。

 そっと。

 そーっと。

 そーーーーーーっと。

 うん。

「っ……ちょ、ちょっと待て」

「え?」

「何かえらく……」

「もしかして、これ……ですか?」


 とん、っとなーーーーがく……うん。



「ふぁ……や、何……ふふふ、ははははっ」



 絵の具を筆ではなく、指で置いていく事があるのですが、何げなく泡を使い、ベル姉様の背中でその動きをしてしまったのです。途端にベル姉様が飛び跳ねるように身を逸らします。

 泡付けて撫でられるの、弱いのでしょうか? でも普通に洗っているときはそうでもないのに、描く時の動きをすると。



 つーっとね。



「ふぁっ……雪姫っ! 何、遊んでいるだっ……ああああっ」

「あ、すみません、つい……」

 私はそれを止めて普通に洗います。普通に、普通に……



「雪姫……」

「はい?」

「……も……もう少しやってもいいんだぞ?」

「は?」

「いやいや、何でもない」

 ベル姉様が異常に頬を赤らめながら、そう言いますが、ちょっと意味が解らないので止めておきます。

「流しますね」

 そう言って、肩からシャワーをかけている時、小さな声でベル姉様が、

「ほ、放置なのか、放置なのか、雪姫……」

「はい」

 そう答えると、音が聞こえそうな勢いで振り返り、

「な、なんだとっ」

「え、背中の泡を流してから、髪のコンデショナーを流しますね」

 な、何か悪い事をしてしまったでしょうか? あ、後から流すっと言う意味で馴染ませる間と付けましたが、意味が分かりにくかったか、音が反響するので言葉が聞こえなかったのかもしれません。

「きっとこうやって五分くらい放置しておくと、いつもより柔らかくなりますよ。ただ寝癖が付きやすくなりますけれど……どうしたんですか?」

「そっちか、いや、いいのだ、気にするな」



 そ、そっち?

 どっちでしょうか。

 ま、いっか……



 えっと、背中を流して、髪もしっかり濯いで。髪は綺麗にタオルで上げて湯船に一緒に浸かります。

「なあ、雪姫……」

「何ですか?」

「さ、さっきは何をやったのだ?」

「さっき?」

 何の事かわからず、首を傾げます。

「その、ベルの背中で何かやらなかったかと」

「ええと、泡が絵具に見えてしまって。こう……」

「ひゃ……」

 ちゃぷんと水の中で手を泳がせた途端、ベル姉様が声をあげます。

 暫く身を竦め、息を止めていたベル姉様。何か堪える様に頬を染めながら、

「……いい、実にいいな。いや……そういう事か、雪姫は絵を描く、その時に意識する事もなく、とても集中する。それが絵の具の水分を揺らし、美しさに反映するのか……しかしイイ……」

 私には良くわかりませんが、ベル姉様は何か感じたように、ゆっくりと湯船のお湯を楽しむのでした。


 そしてこの時、私もベル姉様も、家の誰も知らなかったのですが、部屋に入り込んでいた蜘蛛を外に出すのに、窓を何気なく開けた賀川さん。

 彼の鋭い耳は、ベル姉様があげた声を拾ってしまっていたのです。

「じ、自分が車で轢いた女の子のそんな声、想像するっておかしいだろ? てか、聞こえたよな? 聞こえたよ……いや、俺がおかしいんだ。だいたい車であんなに激しく吹っ飛んだ人間が生きている事こそおかしい。もしかしてあの瞬間から、死んでるのか? 俺?」

 彼は『もう入って来るなよ』と言いながら、すーーーーーーっと、窓を閉めると、夏だと言うのに毛布を被りこんで、無理やりに寝付く努力するのでした。




朝陽 真夜 様『悪魔で、天使ですから。inうろな町』より、ベルちゃん。

夏なので、回りの家は窓を閉めてクーラーが入っているので、誰にも聞こえていません。

更に裾野辺りは建物込み合って建っていないので、間違っても乙女達の声を聴いてしまったなどと言う町民が現れないでしょう……


ココからコラボ相手様と打ち合わせつつの更新となり。少し更新が空くかもしれません。


朝陽様、よろしくお願いいたします。

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