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うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話  作者: 桜月りま
12月30日

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484/531

再会中です?(赤薔薇の妖精)

llllllllllllll

現在13年12月30日。

まだ正月超えてません。

ユキ目線です。

今年もよろしくお願いします。

lllllllllllll








「投げ槍君が頑張るからぁ、ヒビが入っていたとはいえ、大きな結界を一撃で破っちゃったんだぁ。けど、即席で教会にも結界張った後だったから……かなぁ。何か疲れが……ちょっと休ませてぇ」

 そう言って車の後部座席で寝転んでしまったカトリーヌ様。本当は聞きたい事があったのですが。

『我が君を無理させるでない。だまれ』

 そんな白王さんの声もしたのです。だから私は口を閉じました。

 仮眠をとって貰う為に発進からずっとエンジン音と賀川さんの頭の上の鳥さんが時折くるると鳴くだけで。誰も口を開かなかった中、

「うーん、と。この辺で降ろしてくださいねぇ。周りを見まわってきますからぁ」

 家まで後少しの所で、計った様に起き上がってそう言ったカトリーヌ様の言葉を受けて、賀川さんは無言で車を停めます。

「そ、その……カトリーヌ様っ! 私の為に、あ、あのっ」

「……そんな事、良いんだよ、ユキ君。僕は貴女の為にココに派遣されているのですからぁ。じゃ賀川君、頼むよぉ? 君も気を付けて。いいね?」

 頷く賀川さんの肩を叩き、間延びした語尾を残して。カトリーヌ様が銀の十字架を揺らしながら、車のから出て行きます。

 裾野の家まで後、少し。私はぽつりと呟きます。

「……葉子さんが襲われたのは、私のせいですよね……アキさん……」

 ココに着くまで、誰も責めなかった事を口にすると、賀川さんは車を発進させ、黙ってカーステレオを弄ります。すると優しいピアノの曲が車中を満たしてくれます。

 彼が弾いた物ではないようだけれど、とても澄んだ綺麗な音。虹が浮かぶかのような多彩な色に溢れた音楽、煌びやかで未来を明るく照らすような美しさです。

「……これは俺の幼馴染、まことくんが弾いてくれたんだ」

「とても綺麗です」

「彼と約束したんだ、……世界で会おうって。でも俺は日本に戻れなくて、この頃まで忘れていたくらい、遠く昔の親友で……」

 賀川さんの黒い黒い瞳が遠くを眺めやります。

「俺を待っていてくれたけど、幼いうちに亡くなったんだ……この音が録られたのは亡くなる少し前だったそうだよ。彼は自分が死ぬのを知っていた……それでも、それでも必死に生きたんだとこの音から感じられるだろう?」

 綺麗で曇りなく、よどみない音。音から光があふれ出るようなのに、自分の死を目の前にして、こんな音が出せるなんて凄い事なのだと思います。

「彼の為にも俺は俺として生きていく。それは自分の為に。そして好きな人の為に。雪姫、それは君の側だ。そして君の家は森の家があるうろなであり、何より今は……ココだろう?」

 車が停まります。

 タカおじ様の家……その駐車場にエンジンをかけたままで、ピアノが満たされる車内。賀川さんは頭に鳥を乗せたまま、膝の上でポケット越しに黒軍手君をぎゅっと握っていた私の両手を取り、

「自分を責めないで。人間は自分で自分の居場所を決めていいはずだ」

「それはどんなに……人を傷つけても?」

「違う。それは君が傷つけてるんじゃない。俺も昔、自分はいない方がイイと思っていた。姉も母も苦しまずに済んだのではないかと。けど、違う。雪姫が……いや、人間が求めていい当然の権利を奪おうとするやつが悪いんだ。葉子さんも、タカさんも、神父だって……そんなの皆わかってる。そう言えば意味わかんなかったけど、なんか葉子さん、旦那さんに会えたらしいし……」

 ざっとタカおじ様が話してくれた葉子さんの救出話に触れながら、賀川さんはぎゅと私を引き寄せて、苦しい程に抱いてくれて。

 賀川さんの頭上の鳥はひらりと速度計の前に降りて、私達を見ながら首を傾げてクルクルと鳴いてます。

「泣いて良いんだよ……そんな顔されている方が辛いから」

 彼はゆっくり唇を重ねてきました。溢れだした涙は止まらなくて。その涙を唇と舌で舐められて、びくりと体を揺らしてしまいます。賀川さんは微かに笑って、そのまま首まで嘗めてきて恥ずかしいのです。体の底から溢れてくるくすぐったい感覚が、何かわからなくて。

「あの教会でユキさんのお母さんが歌っていた……って言っていたよね」

「はい、夢? に見た場所と同じで。それに、あ、あの、その……首元で喋ると息がかかって……」

「うん。今度、機会を見て聞いてみよう、香取神父に」

「それは、そ、その、そうなのですが。あ、かがわさ、……ア、キさ、ん……あの……ダメです。何だか恥ずかしいし、見られてて……」

「ドリーシャなら気にしなくていいよ」

「い……いえ、車の外に誰かが」

「誰が……?」

 ココはタカおじ様の家の隣にある、広い駐車場です。通いの従業員のお兄様の車も工務店の作業車も、全部止まっているのです。商店街にある事務所の裏にも駐車場はありますが、あの辺りはお店が密集しているので、車はほとんど全部がここからの出発になります。

 昼間なので正月前とはいえ仕事で出払っている車が多く、空きの多い駐車場。あまり余所の人が入ってくるような場所でもないのですが、そこに居たのは美少年とも呼べる、薔薇色の髪をした糸目の人が居ました。賀川さんと仲の良い、レディフィルドさんよりは少し大きいでしょうか?

 その糸目から覗く瞳も薔薇色! つまり私の赤瞳の仲間ですよ! へこんでいたけど、ちょっとうれしいのと、キスを見られて恥ずかしいのとで涙がひきます。

「ああ、ベル姉様の炎色の瞳とも違ってます。とっても上等な薔薇の赤色です……きっと薔薇の妖精さんですよ?」

 触ったなら、花びらのようにしっとりしてそうな髪も同じ色で。見つめられると心がドキリと跳ねるような美しい人。……この人何処かで……

「ダっ……ぁ~……っ」

 その時、賀川さんの口からは今まで聞いた事のない濁点が付いたような声が漏れます。そっと私から離れる賀川さん。

「お知り合いですか?」

 質問してみるのですが、賀川さん右手に作った拳を唇に当てて、何か考え込んでいて返事がないです。鳥さんがばさりと賀川さんの視界を覆って、

「わっ、ぷ。こんな狭い所で飛びつくなって……あ、雪姫、何か言った?」

「あの、知っている方なのですか?」

 賀川さん、鳥さんを肩に乗せようとして、また頭に乗られています。

「ああ、たぶん」

「たぶんって?」

「昔、何度か会った事がある。情報屋? かな……あいつ」

「じゃあ、アリスさんみたいに仕事の仲間?」

「仲間、じゃない……なぁ? とにかくちょっと待ってて……」

 歯切れの悪い賀川さんは先に車外に降りると、私の方に回って来て扉を開け、手を取って降ろしてくれるのでした。

lllllllllllll


『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』(小藍様)

http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/

ドリーシャ(ラザ) レディフィルド君 赤薔薇の妖精さん?


URONA・あ・らかると(とにあ様)

http://book1.adouzi.eu.org/n8162bq/

るぅるぅの基本設定

(とにあ様宅るぅるぅとは別個体、風属性、白色成体(声のみ)です)


『悪魔で、天使ですから。inうろな町』(朝陽 真夜 様)

http://book1.adouzi.eu.org/n6199bt/

ベル姉様お名前


お借りいたしました。

問題があればお知らせください。

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