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うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話  作者: 桜月りま
12月30日

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482/531

呼出中です(悪役企画)

llllllllll

血の海の中にタカが見たモノは。

三人称です。

lllllllll




 タカは目の前の光景に言葉を失った。

 桜色の少女、桜嵐の少し後ろには扇子で口元を隠してはいたが、にんやりと笑っている事がわかる表情を浮かべた青色の女、余波教授が立っていた。

 更に二人の奥には死んだはずの親友、土御門和馬がその妻、葉子を抱きかかえている。

 そして少女が振り上げた緑の鈍器トンファは朱に塗れ、血飛沫の飛んだ顔に浮かぶは無邪気な笑顔。

「綺麗に散って下さいね……」

「貴様らっこんな事をして、宵乃宮様が許すとでも……」

 桜嵐の前には、不自然な青みがかった髪に覆われた頭部をべっとりと血で濡らし、服は泥まみれで地面に手をついている男が居た。

「うふふふふっ……貴方の弟同様、もう使えないから潰して来い……ですって。二人とも私の手で……素敵でしょう?」

「まさ、か、お前らがおとうとを……」

「あら? 失敗するのが悪いのよ。お客も来た事だし、もう手間をかけさせないで」

 仲間割れ……見るからに不意打ちを食らった所を、何とか地面を転げるように逃げたのだろう。しかし今までここは不可視の壁で覆われて逃げ場はなかった。右足首を砕かれたのか引きずるようにして真面に立てない状態であった。

「君は……鴉古谷君の……息子じゃぁ…………」

「なんで、何でここにおんまが居やがるんだ……おんま、おめぇ……生きていたのか?」

 香取は血まみれの男特徴的な髪色に覚えがあって呟いたが、掠れたタカの声でハッとする。

「アレは死体、おんま君じゃない……」

「おんまじゃないだと? あいつはどう見ても……」

「だから操り人形だよぅ。もう魂はココにないんだからっ」

「……そういや、あの女達、蜘蛛公に札貼ってなんかしやがっていたな……カトリーヌ、珍しく顔色が悪いと思ったら、おんまがこうなっている事、知ってたなっ!」

「う、……ん」

「お前ぇは! 何でもかんでも抱え込んでんじゃねぇよっ後から説教だっ、覚悟しとけや」

 タカは勢いよくそう吐いて、桜色の女に飛び掛かる。本当は自分の行く予定だった場所……そこで死んだ親友の姿を見て揺らがないわけはなかった。

 だが前に小さな蜘蛛を大きく変化させ、使役していた女達。元の戻った小さな蜘蛛が子馬の手で震えていたのを思い出せば、非現実的であろうと目の前の光景はいろんな所が、許される行為ではないのが容易にわかる。

「…………っ!」

 血塗れの男は自分へ注がれていた桜嵐の気がタカに向くのがわかると、動く方の足と両手で地面を掻き、人間にはあり得ない跳躍力で近くの木に飛び移った。それは彼、鴉古谷 泉が父親から受け継いだ唯一の力らしい力。

「君っ!」

 香取は教会の残したユキと賀川の方に、彼が向かうのではないかと一瞬危惧した。が、仲間に裏切られた今、巫女を攫うと言う使命も彼からは失せているようだった。別の方向に気配が向かうのを確認しながら、

「風蛇よ!」

 生身で飛び込んで桜嵐と揉み合うタカの横から、余波教授が素早く投げ込んできた鎖付の鉄扇を防ぎにかかる。手にした錫杖に巻きつけようとしたが、意図を察して余波が引く方が早い。それに合わせて桜嵐はトンファにまだ伝う血を払うように横薙ぎにし、飛びずさるタカに合わせて身を引き、教授に寄り添った。

「教授、申し訳ありません、逃がしてしまいました。……あんな男でも少しは雲隠の餌に出来たのにっ」

「いいのよ、桜嵐……弟も大した文字にはならなかったのだから、その兄も知れているわ」

 二人はクスリと笑い、微笑み合う。

「気を付けるのよ、桜嵐」

「はい、教授」

 桜嵐はうっとりとそう返事をし、その後、目つきを変え、二人の動きに注意を払いながら構える。

 香取は後ろに下がったタカの横に並んでいた。タカが前に出るのを防ぐかのように白き錫杖を傾ける。

「柏木。その女の首に手をかけなさい」

 余波教授に柏木と呼ばれたおんまの右手が、胴体から無慈悲に葉子の首に移動した。意識は戻らないまま、だが苦しげに呻き、血管が詰まったのか葉子の顔色が一気に変わっていく。

「っ!」

「ダメだよぉっ、投げ槍くんっ!」

 葉子の様子に無言で香取の錫杖を押し下げて再び飛び掛かるタカ。その激昂ぶりが面白かったのか、余波が声を立てて笑った。

 タカは合わせるように踏み込んできた桜嵐のトンファによる攻撃で、葉子とおんまの死体に近寄れない。タカは攻撃を素早く受け流し、蹴りを入れる。桜嵐もそれを躱しながら、必殺の殴打を狙う。

 そんな攻防の中、タカが吠える。

「何、オレのダチを気味の悪ぃ名前で呼んでんだよっ! そいつは土御門 和馬っ! 誇り高い男の中の男だっ。お前もそんな女に従ってんじゃねぇよっ」

 タカの怒声はおんまの身にも向けられる。

 死体や仲間が敵から操られている時、一番危険なのはソレに情をかけてしまう事だ。仲間だった、親しかったという思いが、手を緩ませ、もしかしたら『届く』のではないかと思ってしまう。

「だからっ! 声なんて届かないんだってぇっ投げ槍君っ。それはただの、ただの死体なんだよっ」

 一番いけない方向だ……香取はそう思って叫べど、タカは桜嵐と戦いながら首を振った。

「死体でもだ、オレらのダチであった事は変わらねぇ事実だっ。誰に手をかけてっかわかるだろっ、葉子さんだぞっっ! お前ぇが『最後』に会いたいって思ったのはその女だろうがっ」

「投げ槍君!」

 香取は錫杖を構えたまま動けない。目の前の教授は再び優雅に扇子で口元を隠し、笑う。棒立ちしているかのようだったが、その立ち位置自体が彼女にとっての臨戦態勢で隙が見出せなかった。

「ねぇ、あの大きな子、どこにいるのかしら? それと引き換えにならこの女を渡してもいいわ」

 香取に付き従っている風蛇、ユキが白王と呼ぶソレの事だとわかる。今、手にしている錫杖こそがその化身であるのだが、そこまではわからぬようだったが。

「……もし渡しても、葉子君を帰す気なんてないよねぇ?」

 香取の目の深い部分が輝きを帯びているのを見ながら、女は笑いを収め、命じる。

「そう、わかったわ。貴方から無理矢理いただく方法を考えるわ……しかし、きっとその女も喜ぶわね。好きだった男の手で死ねる、それは一つのロマンだわ。さぁ…………その首……折ってあげなさい」

 桜嵐の攻撃を躱しながら、葉子達に近寄れないタカは焦れたように更に叫ぶ。

「お前、お前だろっっ! さっきのアレはお前ぇだろうが! ぎょぎょへ繋がる道を教えてくれたのもっ! 死んでもココに、小さくてもまだどっかに居んだろうがっ。根性出せやぁっ」

 その台詞を聞いて、香取が叫ぶ。

「そうだっ! 投げ槍君っさっきのおんま君の蝶! どこやったぁっ」

「ん? ぁ?」

「無知な男……傀儡に意志なんてっ……きゃぁ!」

 タカがポケットに押し込んでいた和紙の蝶を取り出した瞬間、



『死体に鞭打つって……この事かなぁ? ホントに凄いよ、投げ槍……カトリーヌ。他の皆も俺と『友』でいてくれて……ありがとう。さよなら……これからも葉子の事……』



 タカとカトリーヌには懐かしすぎる声と共に、閃光が辺りを満たした。

lllllllllllll

URONA・あ・らかると(とにあ様)

http://book1.adouzi.eu.org/n8162bq/

るぅるぅの基本設定

(とにあ様宅るぅるぅとは別個体、風属性、白色成体(錫杖に擬態中)です)


『以下3名:悪役キャラ提供企画より』

『桜嵐』呂彪 弥欷助様より

『余波教授』 アッキ様より

『鴉古谷 雫』パッセロ様より

以下二人は、雫の家族として創作

『鴉古谷 霙』(父)

『鴉古谷 泉』(兄)

お借りいたしました。

問題があればお知らせください

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