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うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話  作者: 桜月りま
12月30日

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478/531

復讐中です(悪役企画)

吊り下げられた葉子。

悪役の絡む中。

三人称です。

llllllllllll

 





 鴉古谷 泉の前に居る巨体の男は死体で、余波教授と仲間内で呼ばれている女に呪符で動かされていた。その隣で桜色のまだ少女とも呼べる桜嵐が可憐に笑う。

「柏木、もっと抱きしめてさしあげたら? まだ殺さない程度にね」

 柏木と呼ばれた死体は、乞われるままに手に力を込める。生きていた時に誰よりも愛した女をその手にしているなど、死体にわかるはずはない。その女は何処にでもいる『おばさん』で、特記すべき事は何もなかった。

「ねぇ、鴉古谷。彼は何故、この女とあの男を殺すように言うのかしらねぇ? あの男なんかは結構前から狙っているらしいし。まぁ私的に死体が増えるのは歓迎だけども?」

 そう問われて鴉古谷はぶっきらぼうに答えた。

「あの男を殺した方がイイと言うのは、黒雪姫シリーズの前にいた、六花シリーズから続いているお告げだ……」

「お告げ? 黒雪の前代から?」

「ああ。『あの男が生きていると宵乃宮様の『祈願』は達成されない』と。それからこの女は刀守……その譜系を繋ぎし者。だが『刀』は宵乃宮様の物だ。それ以外の存在など、排除したいのだろう。『次代の刀守』は不要という事。撫子の母親や伯母、そして従兄弟、この女の姉も数年前に交通事故に見せかけて殺してある」

「あら、あの撫子も……巫女守の女だったの?」

「本人達は記憶も記録もない遠い過去。だが実験の材料に、少しでも巫女に近い物体を選ぶのは当然。撫子を引き込んだのには元代議士を釣る効力もあったしな」

 彼女を迎えに行ったまなぎが彼女に傾倒して、支配下に置いたのは宵乃宮様が意図した訳ではなかったろうがと鴉古谷が呟く。

「ねぇ……撫子はともかく、葉子さんにしろ、姉にしろ、そんなおばさん達はもう子供を産む年齢でもないでしょう?」

 桜嵐が大袈裟にそう言って鼻先で笑いながら、葉子の脇腹にトンファの先を捩じり込む。意識がないが、痛みに襲われた葉子が呻く。それを感慨もなく眺めながら、鴉古谷はさらりと青みを帯びた髪を揺らし、

「経産婦ならまだ育めるし、この年ならまだ女だから卵子が採取できる。撫子の様にな。それに仕える者を見出し、自らをソレと知らずに存在するだけでその屋根を共にする者に庇護を形成するのが刀守。それ故、男は刀の、そして巫女の守り人であり、女に巫女を育成させていた。流石に女達の間に口伝された育成手順については失われたが……」

 そこまで言った辺りから鴉古谷は気色の悪い笑みを浮かべ、

「土御門に紛れた刀森の男である高馬はもう捕えてある。記憶を改竄して、狂わせて自滅させるつもりだったが、逆に術を仕掛けてきて一人逝かせた。生意気な奴だ……アレには母親の死を伝えて絶望させた所を殺してやる。それも今、ちょっとした制裁がエスカレートした風を装えるように、水に浸して遊んでやっている所だ」

「それって柏木の息子ね。その遺体、手に入るかしら?」

「現土御門当主を殺す作業だ。僕は責任を取ってという態で、ほとぼりが冷めるまで暫く一課を離れる。だが部下に出来るだけ融通してもらえるように話しておこう。あの男の体は契約により、死すれば国の物になる。積むモノを積めば如何様にも……」

「そう、恩に着るわ」

「後、魚沼 冴という女と、巫女の強化にも必要な、時貞 玲と言う男を殺せば、刀森に関する件は……終わる」

 喉奥でグズっという響きの悪い笑いを鴉古谷は鳴らした。

「でも宵乃宮の黒雪達の言葉への信頼度は…………まるで本物の巫女のようね」

 ハラリと銀の扇でその口元を隠し、余波は上品に微笑む。

「アレは培養された事により、本物の巫女よりも本物で、使いやすいだろう。特化されたのは『未来視』……だが所詮は偽物。それも原料は巫女ではなく刀森のモノ……最終的な『潜在能力』では遠く及ばない。例えばアレを切って壊した所で、この国を沈める程の力は得られない」

「そうねぇ……で、あの鷹槍と言う男が『争乱』を持っていると言う噂は本当だという事かしら?」

 鴉古谷は目前の女を睨んだ。

「お前らの目的は沢山の死体、それも苦しんだ者なら尚いいんだろう?」

「そうね、けど情報はいくらあっても不足はないわ」

 宵乃宮の手の内で、余波達は協力者であり、更に新参者であった。同じ組織内にいて、功績をあげていつしか情報は手に入れてきた。だが中核には入れてもらえていなかった。それは宵乃宮の信頼度と対をなす。

 鴉古谷は口を噤む。

 目前にいる男を鴉古谷は恨んでいた。彼さえ至らない事を言わねば、父は死ななかった。その男が愛した女に、その息子を死地に追いやる事は、彼にとって念願だった。それも少し前に巫女を守る者に弟は殺されたのだ。復讐の達成を目の前に、鴉古谷は口が緩んでしまったのに気付く。

「貴方は良い部下だと宵乃宮には言っておくわ」

 余波がクスクスと笑う。

 今更、口を噤んだ所でそれは情報の肯定でしかないのであるから。



 それも鴉古谷が知らない事を余波は知っていた。

 彼の父親は一度壊れたが、何とか気を取り戻した事。

 しかし下の息子、雫に刃を向けられ、『息子を殺されたくなくば、宵乃宮の手下としてもう一度働け』と強要された。それに歯向かったが、力及ばず、何とか雫を取り戻し守ったまま絶息。握ったバタフライナイフは自殺の為ではなかったのだ。

 だがそれを見ていて一本キレてしまった雫は、兄の泉のそれを説明する術はなかった。

 全てを知らず丸め込まれたまま、宵乃宮に引き取られ、忠誠を尽くした兄弟。

 しかし少し前に情報の漏洩を防止するためと理由を付け、雫を遺体にしたのは桜嵐であり、『雲隠』の餌にしたのは余波だった。



llllllllllll

『以下6名:悪役キャラ提供企画より』

『桜嵐』呂彪 弥欷助様より

『余波教授』 アッキ様より

『木曽撫子』 YL様より

『早束まなぎ』 とにあ様より

『黒雪姫』 小藍様より

『鴉古谷 雫』パッセロ様より

以下二人は、雫の家族として創作

『鴉古谷 霙』(父)

『鴉古谷 泉』(兄)

llllllllllll

『六花』と言う名につきましては

小藍様との絡みで使用する予定の名前を

前借いたしました。


問題あればお知らせください


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