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うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話  作者: 桜月りま
12月28日

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470/531

凝視中です(ユキと白王)

lllllll

あらすじで『2013』書かないけない所を間違っていました。

訂正済です。

失礼しました。

現在2013年12月28日です。

lllllllllllllll






 お布団の中、くるんと腹這いになって枕元の毛玉を見つめます。

 じぃ……

 ゆっくりと、まばたき一つの後、見返されたので……私も更にじーっと見てみます。

 じぃ……

 そんな状態で長い事いたと思いますよ。お互い息のかかる距離です。

 そこに居る真っ白な毛玉は、綺麗で大きな目の生き物。でもてぶくろちゃんと似てはいるけれど、何だか違います。色が、というわけではないのですよ。形が、です。前足は手袋ちゃんに近いですが、背中や足の骨格の流れはワニのような爬虫類で、毛がフカフカしているのです。

 今は片手でも掴めそうなサイズ。

 サイズに対して『今は』って付けたのは、本当はとっても大きいみたいなのです。見た事はないのですが、本当はとても威圧感がある体躯で、見上げるほど大きく、その姿はたぶん竜とかドラゴンとか言うのではないでしょうか? 小さなサイズにどうやったらなれるのでしょうか。それによく観察すれば、カトリーヌ様が握っていた錫杖と同じ気配なのです。

 物にも生き物にもなれるなんて凄いし、今の姿はモフモフ柔らかそうで、可愛くて……触らせてくれるかなぁ?

『寄るな……巫女おんな………………』

 不機嫌そうな誰かの声が聞こえます。

「貴方の声、ですよ、ね?」

 そっと白い生き物に手を差し出すと、カパリとあけられた口に中には白い歯がずらりと並んでいて、小さいけれども鋭くて噛まれるととても痛そうです。

『寄るなと言うた』

 この声、さっきカトリーヌ様に話しかけていたヒトのものです。重い感じがする男性の声。とても年配に感じます。怒っているのか、トーンは低く、口数がとても少なくてどう聞いても不機嫌そうです。

「あの、私はユキです。前田 雪姫です……あの、お名前は?」

『……』

 パクンと口を閉じて、返事は暫くなかったのです。じっと見つめ合いが続きます。

『……言うか』

「イウカさん?」

 舌打ちをする間を挟み、

『……ある者は……ハクオウと……』

「はくおう……白王さんですか……」

 背の前の小さな生き物が、本当はとても大きいのがわかるから、とってもお似合いだって思いました。けれども怒ったようにグウっと籠った音を作って鼻を鳴らし、

『…………』

 ぷいと横を向いて、丸まって寝てしまいました。嫌われてしまったようです。っと言うか、初めから私が余り好きではないような気がします。何か悪い事をしたでしょうか?

『存在自体が邪魔いらん

 あれ? っと思います。私、口に出していないのに。

『……巫女なら星の声とて聞えよう』

 わからなくて、首を傾げます。そう言えば白王さんの声は口から声が出ているわけではないですね。そんな事を考えている間にも、増して機嫌を悪くした声がします。

『もうよい。早う絵でも描いておれ』

「あの……白王さんに、ちょっとだけ触ってもイイですか?」

『……』

「一度触ったらもう触んないので」

『…………』

「その後は静かに絵を描くので」

『………………』

「ダメですか?」

『………………………』

「あの……」

『………………………………………………』

「……」

『……………………………………………………………………………勝手にせい』

「あ、ありがとうございます!」

 救い上げて、ぎゅっと抱きしめます。

『さ、触るだけではなかったのか、お主、昔とちっとも変わらぬなっ』

 昔?

 私は白王さんを抱っこしたまま、首を傾げて考えます。

 昔から動物は大好きで、おとなしく抱かれてくれるコはよく抱っこしてた気がします。人間のお友達はなかなかできなかったけれど、手袋ちゃんのように懐いてくれるコはどこにでも居て。でも引っ越しが多かったので飼う事は許されなかったのです。

 抱っこしたコの中に、白王さんがいた?

「どこで……?」

 頭の中に流れ込む映像。

 さっきも小さい頃のお母さんとカトリーヌ様を見たのですが。

 今回見えたのは顔の半分が血まみれのまま笑うカトリーヌ様。耳たぶから落ちる赤い血。よく見れば紺色のいつもの服も、赤く染まっているようです。ひっくり返った一台のトラック。地面には倒れている人がいて。これはこないだ見た……刀流さん?

『また倒れたいか!』

「ぁ……」

 ぺしんと白王さんの手が頬に触れた気がしました。が、よく見ればそれは手ではなく、背から生えた翼でした。よく見れば額には角もある不思議な生き物で、ずっと不機嫌そうですが、それでも悪意は感じないのです。

「その、カトリーヌ様が……」

『我が君?』

「あの、片耳が聞こえないのは事故? ですか? 耳からの血が……」

 私は今見たシーンを頭で繰り返して気付きます。カトリーヌ様の顔半分を覆った血。それが綺麗で整った顔のラインに沿って、下顎に集まって、ポトリと落ちた時……その血潮は私の額で間違いなく『あたたかく』感じたのです。

 だから私は気付いたのです。

 さっきお母さんの『昔』を覗いた時のように、過去の残像とかではなく。

 私はとても幼かったけれど。

 そこに『居た』のだと。

 けれどそれがどういう意味なのか、誰がどうなっているか……私にはよく理解できないのでした。

lllllllllllll

URONA・あ・らかると(とにあ様)

http://book1.adouzi.eu.org/n8162bq/

るぅるぅの基本設定

(とにあ様宅るぅるぅとは別個体、風属性、白色成体(幼い姿に擬態中)です)

本当は白王ではなく、白翁と呼ばれています。ユキの中では白王に固定ですね。

問題があればお知らせください。

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