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うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話  作者: 桜月りま
12月25日

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431/531

クリスマス:夜も遅く(香取と抜田)

llllllll

結界を。

三人称です。

llllllll





 ユキと賀川が泊まり込んだ部屋の扉前に立ち尽くした白い神父服の男。手にした袋を備え付けの箱に静かに押し込むと鍵をかけた後、手をクルリとさせる。するとその手の中に白い鉄の錫杖が現れる。

 半世紀を生きたとは思えない日本人から外れた風貌の男。厳粛さを感じさせる純白の服。風もないのに揺れ始めた髪はオレンジに近い金。握る錫杖には三つの石が輝き、神父の髪色と同じ房が揺らめく。

「友よ……」

 するりと振り回し、何かを中空に描く。その動きは余りに澱みなく、非現実だが滑らかで何の戸惑いもない洗練された動きだった。

「主よ……罪深き我に、与えて下さった御力を振るう事をお許しください……」

 コトンと地面に落とすと、錫杖はスウっと地面に溶けて行くかのように吸い込まれていく。

 力を同じくする者が見れば、その扉の向こうがこの世界から隔絶されたのを感じ取る事が出来ただろう。明日、この中の二人が扉を開けるまで、この部屋は閉ざされる。

「君のお腹の中、一晩だけ貸してね? 溶かしちゃダメだよぉ」

 香取が連れている風蛇と呼ぶ生き物の腹は『ポケット』を持っていた。その中にはティーカップやスプーンなど彼にとって大切なモノがしまってあるが、その扉の更に奥にある扉の先には空間がある。それを使って香取はこの部屋を世の中から隔離した。

 賀川とユキの居る部屋は、見た目はどの部屋とも大差ない扉になっている。無理な事さえしなければ、何も起きない。が、外から無理矢理こじ開けた時、ソコは風蛇のお腹の中の扉に繋がるような仕組みになっている。

 自分の体を貸しているのだ、あんまり長い間この状態を続けるのは風蛇が嫌がるが、短時間なら香取が出来る限りで一番完全な防御だった。

「ここはぁ~お願いするね、風蛇」

 きゅぅ、聞いた事がある様な無い様な、ともかく動物だろうと思われる生き物の声がしたが、姿は見えない。聞けば、とても悲しげで胸が締め付けられる様だったが、香取は笑った。

「置いていく? だってここも守らないといけないんだぁ。るぅ、君が頼りだよ?」

 きゅう、きゅうとますます何か鳴いて訴えるが、香取は笑うだけだ。

「私の愛は我が神と風蛇きみが知っていればいいんですよぉ。さ、頼むよっ」

 そう言いながら神父はその場を離れる。



『愛は寛容であり、愛は親切です。また人をねたみません。

 愛は自慢せず、高慢になりません。

 礼儀に反することをせず、自分の利益を求めず、怒らず、人のした悪を思わず、不正を喜ばずに真理を喜びます。

 すべてをがまんし、すべてを信じ、すべてを期待し、すべてを耐え忍びます。

 愛は決して絶えることがありません』



 聖書の言葉を口で転がしながら下階に降りると、そこにはパッと見るだけでも高級とわかる艶々の車が一台停まっていた。

「お待たせぇ」

「早く乗れ、寒いだろう?」

「ありがと~バッタ君」

 車は抜田の物だった。重厚なドアの閉鎖音と共に、質のいい皮張りシートへ転がり込みながら、香取は礼を言った。

 抜田は夏に具合を崩して部屋で倒れていた賀川を助けたので彼の家を知って居た。その為、案内を兼ねて車を出してくれたのである。

「帰ってもまだ不機嫌かなぁ。投げ槍君」

「ああ、間違いなくな。これを見るか? 敵の構成員だ」

「結構居るねぇ」

「半分以上は意味も分かってない、雑兵だがな」

 渡された紙切れを覗き込みながら、香取はタカの事を考える。

 ユキはタカにとって可愛い愛娘であり、孫の様な少女。純白の髪に、赤い瞳が印象的な柔らかな少女……体調不良と言う理由はあっても、男と一晩同室などタカにとっては気が気ではない。前にもそんな事はあったが、親としての心配が勝り、現在タカは無言で不機嫌になっていた。香取の案内を頼める状態じゃなかった。だから葉子が気を利かせて連絡し、抜田が車を出したのである。

「この星付きは何ですぅ? それから消してあるのはぁ?」

「星付きは主要メンバー的なヤツら、だ。消してあるのは買収したり、犯罪者の場合はリークして逮捕させたりして現在使えなかったり、動けなかったりする奴」

「だいぶ消えてるよ。うわぁ~黒バッタ君、全開してる?」

「半数は金目的だからな、その辺ならどうにかできる。後、ぎょぎょの嫁が株式で『おかしな』動きをされたと聞いて、辿って、宵乃宮の資金元の一部らしいのを見つけて凍結させ、後は手先っぽい仮会社はインサイダーとか脱税とか適当な罪状を見付けて取り締まらせたり……まぁその程度、カワイイもんだ」

「どこがカワイイかはわかんないけど、冴君も面白い人だよねぇ~」

「それより上から三番目の『松葉』と言う名だが、投げ槍が雇っているバイトに同じ……」

「ね……車、出せるぅ?」

「あ、ああ」

 抜田は何か言わんとしたが、香取に促され、エンジンをかけ、アクセルを踏む。だが、車は全く動き出さない。後輪は溝に宙ぶらりんになったかのように空回りし、前輪はキュルキュルと砂を巻き上げるだけで一向に進まない。

「……どう、なってる?」

「やっぱ、無理なんだ? あ、バッタ君、させといて悪いけど、あんまり踏み込まない方が良いかもだねぇ、急に『手』を離されたら、こんな狭い路地じゃ壁に激突でおしまいですぅ」

「いつ気付いたんだ、カトリーヌ」

「いやぁ~つい今だよぉ。雑談は投げ槍ん家ですればよかったねぇ」

 とりあえず香取はいつもの口調で抜田に返した。


lllllllllllll

更新予定は未定です(今週に後一度更新できればと考えてます)

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URONA・あ・らかると(とにあ様)

http://book1.adouzi.eu.org/n8162bq/

るぅるぅの基本設定

(とにあ様宅るぅるぅとは別個体、風属性、白色成体です)


『以下:悪役キャラ提供企画より』


『松葉』

とにあ様 パッセロ様、提供分。名字のみ使用。


問題がありましたらお知らせください。


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