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うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話  作者: 桜月りま
12月25日

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429/531

クリスマス:夜です2(ユキ)

lllllll

ユキ目線です。

駆け寄る賀川。

llllllll

 






「雪姫、怪我はないか? お願いだから向かって行ったりしないで……」

「だってですね」

 賀川さんは私をまじまじ眺めて、ぎゅっと抱きしめてくれた後、ポケットからハンカチを出してイキナリ私の唇をぺちゃぺちゃと犬のように舐めて濡らした後、ぐいぐいと拭きます。

「あ、あの賀川さっ、うぅんっ!」

「消毒代わり。俺の雪姫にふざけた事を……」

「ちょ、も、舐めないで下さいっ。篠生さんが見てますっ」

 彼はそれでやっと舐めたり拭いたりするのをやめ、じとっとした視線を篠生さんにむけると、

「本物?」

「なんですか、玲様。その疑いの眼差しは」

「本当に昔から何を考えてるかわかんない奴だったけど、本当にふざけてるな、お前。同じ顔の奴が二人もいるって。もう一人くらいいたりしないかと」

 手を伸ばしてバシと賀川さんは篠生さんを叩きます。でも一瞬でも離してしまった事を反省するかのように、私を抱きしめます。

「こないだも、あのマジックは何だよ。すっげ~痛かったんだけど」

「まじっく? ああ、刀を差し上げた時の事ですかね」

「差し上げた? 刺し上げたな? ガッツリ刺さったよな?」

「そんな……刺されたら死んでるんじゃないですか?」

「そうだな……そうだよな? で、あれはどこに行ったんだ」

「貴方が持ってますよ。出そうと思えば出せるはずですけれど? あぁ……貴方じゃ無理そうですね。土御門当主にでも聞いてみてはいかがですか?」

「その『あぁ』って言い方は何だよ。なに薄ら笑ってんだよ」

「いえ、そんな」

 こうやって会話する間も私を抱きしめたままなのですが。髪を撫でてくれるのはとても嬉しいのですけれどもね、篠生さんが賀川さんだけじゃなく私も見て薄く笑っていますよ。

「よいの先生をそろそろ放した方がイイかも知れません。沸騰しそうな顔になっています」

「それより色々、どうなってる?」

 そろりとも離してくれる気配を見せない賀川さんは篠生さんに話を振ります。

「祝福の準備は軌道に乗ってきましたから御心配なく。年末は人間としての仕事もありますし、当たらないでイイ予測は当たるものです。それで様子を見に来たらこんな感じで。取りあえずアレが宵乃宮と呼んでいる者です。ちょこちょこ波状攻撃なのは、よいの先生の様子が流石に気になってきたのでしょうね。まだ本調子じゃなさそうですが」

「あれで本調子じゃないのか」

「秋姫の歌がまだ効いているのでしょう。それでも二月には総力を結集してくるでしょうけれど。やはり祝福の力を求めているようですから。それにブレインとなりそうな男を本気にさせてしまったようですし」

頭脳ブレイン?」

「早束まなぎ、と言う男です。側には撫子という女と、田中と言う男を置いて居ました」

「撫子ってアノ……」

「そう。もともとはそこまで関わる気はなかったようですが、彼女が死んだので。意趣返しに来るでしょう」

 彼が『宵乃宮』。お母さんを傷つけて、全部を持って行こうとした人。その人がさっき口にした言葉が気になりました。

「私の事、娘って呼んでました」

「貴女をそう思っている者は多いでしょう。我こそが貴女を『授かった』とね。でも遺伝子上の繋がりはないですよ。貴女は我らが神が遣わせし『みこ』ですからねぇ」

 まるで当たり前のように言う篠生さんに、賀川さんは首を捻り、

「おいおい。そりゃないだろ?」

「彼女の誕生日、この場所にほんで耳馴染が良い日がイイかと思ったのですが……」

 私はいろいろ混乱して来ます。賀川さんも理解不能そうですけど。

『きにするコトはないわ~』

 頭の中で水羽さんののんびりとした声が響きます。

『あきがのぞんだのは愛してるヒトとの結晶みのり。だいじょうぶ、ちょっとかわってるのは今に、はじまってないよね? みこはヒトでしかないからぁ~』

「刀流さんがお母さんの好きな人、ですよね?」

 頭の中でしか聞こえない声に、言葉を出して返してしまうと、篠生さんがニッコリと返事をくれます。

「はい、よいの先生」

 お母さんと最後に居た人を私は見やります。

「篠生さんはどうして母を……」

「助けなかった? ですよね……破壊と戦が私の本分です。そして神だからと好き放題やれるわけでもないのです。それでも秋姫が宵乃宮を殺す事を選んでくれたなら私は迷わずそうしたでしょう。祝福の力を絶やし、森を焼き払い、人も住む場所も空をも飲み込むほどに強い劫火を放つ事も……けれど、彼女は貴女への祝福を、貴女達の未来を、この場所の命の存続を優先させたのです。結果、秋姫はわたしで……」

「……神と言うのは大変そうです」

 私がそう言うと、彼は空を見上げ、

「そうですね。人間から逸脱し、長きを生きるようになった宵乃宮の様な者の方が、神よりも、よほど好き放題できるんですよね。それも申し訳ないが私の刀が今は彼を強くしているのは確か」

「お前じゃどうにかできないのか?」

「出来ればとっくにやってますよ、玲様。いえ、今、この過程自体がどうにかやっている事になるのでしょう……さぁそろそろ水羽と共に行きますから。ああこれは、庭に挿し枝でもすると良いですよ? では気を付けて」

『ん、じゃねぇ~。いそうろうに、たくさんちゅーしてもらっといてぇ~? あ、それいじょうでも良いけど?』

「み、水羽さん?!」

「では玲様。お邪魔しました。さぁ行きますよ?」

『いるみねーしょん、みていこうよぉ~』

「キラキラしたものが好きですね、水羽は」

 タイミング的に水羽さんの声が篠生さんには聞こえているみたいです。うふって可愛らしい笑い声を残し水羽さんの気配が消え、篠生さんも切られたヒイラギの一本を私に渡すと、光で飾られた公園へ行ってしまったのでした。



llllllll

彼らは光あふれる夜の公園へ。

llllllll


『以下3名:悪役キャラ提供企画より』


『木曽 撫子』YL様より


『早束 まなぎ』とにあ様より


『田中』さーしぇ様より



お借りいたしました。

問題があればお知らせください。

(そろそろ本格的にストック無しになります。今週は後、金曜更新予定。春休みも近く来週以降の更新は未定です。それでも二月に向けて動いていきますのでよろしくお願いいたします)


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