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うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話  作者: 桜月りま
12月8日

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402/531

デート?中です3(子馬と海さん)

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情報を集めに。

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 母屋は見た目は丸太で作られた二階建てのシンプルで大きなログハウス。俺の一族が経営する農場関係の中枢で、中のエレベーターで降りた地下にその本部がある。コンクリで作られた地下深くにあり、堅牢だと言う。一体何のためにそこまでやったかは知らない。その中にある事務所と言った場に入ると皆の視線を受けた。

「あら、高馬様」

 そこにはツインテールに見える髪型の女性達が居た。中でもひときわ目立つ女性が俺に膝を付く。その後ろの女性達も倣ってそうしようとした。だが、手を振って止めさせ、膝を真っ先に付いた女性の手を取ってすぐ立たせる。彼女は柔らかく笑った。

「気さくなのは嬉しいですけど。時には威厳も必要ですよ」

「いいや。挨拶はイイよ。必要な時には時子さんにも意地でも傅いてもらうから。で、十一月の報告は来てる?」

「ええ、こちらへ」

 年齢は母さんより少し上だが、兎の血が混じっていると言う彼女の年齢は俺くらいにしか見えない。

 土御門 時子ときこ

 彼女は元々土御門の分家『月矢つくや』の占い師で、六角の妻としてココの責任者でもある。その髪は、右が金、左が黒、面白いほど半分で塗り分けられた真っ直ぐな髪、そして瞳。その色は月矢家の特徴だけど、彼女の様にくっきり分かれたヒトは珍しい。

 彼女の動きに合わせて別室に入る。そこは書斎と言った趣で、時子さんの仕事部屋だ。普通の人が使う書斎と違うのは水晶玉や壁にかけられた星座のタペストリーなど、占いに関すると思われる物がちらほら見受けられる事だった。

「例の件で、対象の数人は救助され、そして我が当主である貴方が怪我をしたと。十二月の一日になりますが、その時も宵乃宮の刀で怪我を」

「後半は要らない報告だなぁ……」

 笑って誤魔化しておく。

「十一月に助けた彼らが落ち着いて、人間に混じって生活出来る程度だったら、ある程度の年でココに回すから頼んだよ?」

「はい。わかりました」

 彼女は静かに頭を下げ、俺は当主として与えるべき人事などを素早く行ってから、今日の本題に入る。

「で。俺の父親、土御門 和馬は何の名義でうろなに在中させられていたんだ?」

「それにつきましては前当主様の命により、封印の対象となっておりますれば」

「俺が。今の当主だ」

 ちらっと色の違う瞳を向ける時子さんに俺はじっと視線を投げる。昔、小さかった時はこの先読みの出来る占い師の金と黒の瞳が恐ろしく感じられたモノだが、今は……揺れない。俺は俺の道を作って行くのだと決めているから。

「……立派になられて。和馬様が生きておられればどんなに喜んだか」

 そう言いながらそっと大きな水晶玉に触れる。

「この土御門の仕事の中でも案件としては古く、千年はくだらない過去からの流れとなっています。『禍止めし刀は、彼の地に攫われ人柱を築く神剣として崇められん。ただ其が神の意思と別れ、また禍を呼ぶ時、断ち打つ力として、新たなる刀を鍛えねばならぬ』……このように、ある刀の打ち直しは昔より示唆されており、その案件を扱う者として幼き時より和馬様は行かれました。ただ、うまくそれが済めば、速やかに戻る様、命が下っていましたのに。和馬様はお戻りにならず……将来はこの土御門を背負って立つはずだったと前当主様がいつも……」

「俺が生まれたから?」

「我が先読つくやの家からは和馬様に幾つかの助言を。その中に『我が園ではなく、行きし地で見初めし女と結ばれれば命短し』と……予てより告げておりました。それを知りながら高馬様の母上と深い仲になられ……」

 俺はその続きを片手を上げてストップさせた。

「うん、わかった。俺が居ようといまいと父さんは母さんの所を選んで、そして悔いはなかったと思うから、その辺はもう、いい。母さんには知られない様に、いいね? で、その刀は神に捧げられ、賀川と言う『刀守』を得た」

「本当は貴方様に巫女を射止めさせ、その力をモノにしたい方も多くございました」

「これ以上、うちには力は要らないよ。武装しているなんて思われて睨まれても困るからね」

 時子も同意見なのだろう、クスリと笑い、貴方様らしいと言ってくれる。

「で、宵乃宮が『あの日』に出てきた見解については?」

「かぐつち神が貴方がたを招き入れるのに結界を一部解いていますね。その事により、巫女を隠すため全国にばら撒かれたというネジのジャミングが、緩くなっていたのではないかと技術部が申していました。もう、巫女の位置は特定できているのに、ネジを稼働させ続けているのは、宵乃宮を縛る意味もあるのかと」

「なるほど」

 俺の腕に付けていた水晶は結界を張る時に使う。宵乃宮はあの水晶を好んでいるように見えなかった。

 コレが何か攻略の糸口になれば良いがと思う。だがそれだけで、あの太刀筋で巫女を狙われたら助けられるか正直苦しい。もう少し刀について学んだ方が良いかもしれないと思った時、ふっと魚沼の小父貴の顔が過ぎる。

 俺達が刀について何か聞くとしたら、カッパに見える剣道に通じている小父貴だ。

「もしかしたらそれが嫌で小父貴を狙った? そういえば『『剣の師』として間違った使い方をしない様に伝えて欲しい』って若い父さんが小父貴に言ってた。父さんは刀流兄の名付け親だって言うし……父さんへ与えられた助言を一括して俺のデータバンクへ頼む」

「はい、高馬様。私はその御名の元に」

「いつもありがとう。じゃ、時子さん。また色々と頼むね」

 そう言って部屋から離れようとした俺の背に、時子さんの声が飛んだ。

「そう言えば、可愛らしい人をお連れですが、複雑なようでございますが」

「彼女は大丈夫じゃないかな? いろいろあるのは妹の五女うしおちゃん。彼女も縛りが『ない』訳ではないだろうけれど、俺は守りたいし、まあ、守られてるタマじゃないよ、海さんは。いつまで俺に付き合ってくれるかはわからないし、まぁ家はだいぶ落ち着いた様子だけど」

「貴方にはヒトを選び、側に置く資格も資質もありますから。相手の目が曇ってなければ、きっと従ってくれるでしょう。どうぞ目指す所を貫き、おいきなさい」

「許嫁を解消した。……伯父貴連中は怒るかもしれない」

「いつも怒らせておいでなので、大丈夫でしょう。ふふ、六角と時子はいつでも味方にございます」

「うん。苺と葡萄、貰って行くね」

「もともと貴方の物ですから遠慮せずに。それより六角を怒らないでやって。私の、時子の大切なヒトですから」



 そんな時子さんの言葉に少し首を傾げながら、母屋を出た。



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キラキラを探して〜うろな町散歩〜 (小藍様)

http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/

海さん 汐ちゃん



お借りいたしました。

問題があればお知らせください。

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