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うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話  作者: 桜月りま
12月8日

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400/531

デート?中です1(子馬と海さん)

lllllllll

少し時間が経ってます。

子馬が嬉しそうです。

lllllllll

 





 

「海さぁ~ん、あれから一週間ぶりだよ~久しぶり、元気してた? 大好きだよぉ」

「おま、どんな挨拶……で、今度は何だよ~ぉ」

 冷ややかな海さんの反応、少しは俺の訪問にもなれてくれたようで良かった。とにかくいつ見ても素敵な人だ。

 砂浜、晴れているけど、そこそこ寒い海風。冬だからこその海の青さに、透明な冷たい空気の中に彼女が居るというだけで、本当にドキドキしてしまう。

 それで俺がニコニコ笑って見ていると、彼女は悪戯に、にやりと笑う。

「で? こないだは金剛君の事で聞きそびれたけどさぁ、アンタ、腕の調子は良いのかよぉっ」

 そう言いながら、右腕の辺りに素早い回し蹴りを放ってくる。こないだは巫女を連れまわしたアンドロイドの件で偶然会えてうれしかった上に、今日は怪我をしていた俺の調子を気遣ってくれている。その事に感激しながら俺は素早く身を翻して左の手首で足先をいなし、軽い突きを海さんに返した。

「お、いいね~ぇ子馬! こうじゃなきゃね」

 その突きを掌で逸らせながら発した彼女の台詞に、応える様に手刀を降ろす。それも完全に腕で塞がれたので、彼女への衝撃を緩める為に身を引こうとする。だが海さん構わずその腕を取り、嬉しそうに俺を支えにそのまま俺の腹にキックを放つ。

 良い動きだ、普通の人間ならすっ飛んで行ってるだろうし、俺の体に触れた足の方を痛めるかもしれないが、力のかけ方がうまいのだろう彼女に変化はない。凄く鍛えられていて、今日も彼女は最高である。

「せぃぁっ!」

 気合を入れて、俺は思い切りよく腕を振ってその手を払うと、彼女は中空へ飛ぶように後ずさり着地した。着地の時に得たバネと腕をついてさらに勢いを持って俺の懐に飛び込む。だが当たらないと見るや、切り返して俺の足を崩そうとした。俺はスレスレでクルリとそれを避ける。

 途端に、逆回しで俺の足を絡めようとする機転に、俺はステップを踏みなおし、間を取って対応し、質問する。

「海さん、楽しい?」

「お前が元気で良かったなと。けどまた、手首、怪我してるじゃん」

「ああ、これ? 刀で切られた~」

「は? 刀ぁ? この日本でそんなもん誰が持ち歩いてるのさ?」

 目ざとく増えた傷を見つけられた。袖を伸ばして包帯は隠しているはずなのに。あの時、壊れたから新調した数珠がキラキラしたから目立ったのかな?

 それにしても宵乃宮の顔がかぐつち神に似てたのも驚いたけれど、あれは酷い出血だった。後から回復にたくさん肉食ったり、魚食ったりしておいた。おかげでだいぶ早く治ったと思う。他の命を食事として貰う、その事に感謝しながら、海さんから放たれた正拳突きを掌で受け止めて。

「この頃、おかしなヤツがいるからね。海さんも気を付けて」

「いや、既にあたしの後ろにいるんだけどっ。おかしなヤツが」

「ん? どこかな?」

 俺はかまわず彼女をそのまま引き寄せて、やんわり背後からその体を抱きしめていた。髪から良い匂いがしたので、ついクンクンする。うなじの柔らかい産毛が俺の強い鼻息に合わせて揺れる。

「ばっ、反則セクハラだろ?」

 肘での攻撃をされない様に彼女の両手をクロスさせ、しゃがんだり跳んで頭突きされたりをされない様に脇で固定、そこまでしてから耳の後ろで、

「ねー……一緒に出掛けようよぉ。デートしよ。元気になったから」

「い、言う事は毎回同じかっ!」

「だって。やっと箸でマメが掴めるようになったんだよ」



 母さんが昔住んでいた児童の施設に行って、その帰りに海さんと水炊きを堪能した日、俺は怪我していて。

 結局スプーンさえまともに掴めず、お椀は飛ぶわ、フォークをグルグル巻きにしてみたが、肉を刺そうとして皿を何枚か割ってしまい。左手でチャレンジしたかったが、これ以上は破壊するなと止められ、飲み物以外、海さんの全介助で食事をする羽目になった。それって俺得だったけど。熱いのをそのまま突っ込まれたりもしたけど、俺は元気です! 口腔内の火傷はすぐに治るし。

 その後から技術部に行ったら、神経を殺る毒だったらしく、俺が飲んだ解毒剤は余り効かないと言われて。

 逃げようとしたら、不覚にもすぐさま固定されて点滴された。

 でも本来ならもう逝ってたとか、何で逆に中和できてるんだとか、首を捻られたんだ。良く聞いていると点滴は要らず、ただ俺を調べたかっただけで。科学者集団の技術部はこれだから。それにしても『やっぱり鬼の血のせいか』って。いつもあそこに行くと実験動物みたいな気分になるんだよね。

 まぁ、うちの他の仲間からの供出を押さえてる分、俺や賛同者のみが検体を多く出す事で合意してるから仕方ない事なのだけれど。年に一回の定期検診はどこの企業とも同じくさせてるけどね。

 俺が言い出す前には毎月検診やら、業務に支障が出るほどの者もいて、最悪だった。ここ三年ほどで結構その辺は大きく変革できて、うるさい御爺方も喜んでくれて、その功績で味方になってくれる身内は増えたんだ。

 それにしても毒に負けなかった理由は、『血』のせいじゃなくってきっと単純。だって、海さんと一緒に居られて、食事も出来たから。ずぅっと嬉しくて笑っていたからだと思う。たぶん毒なんか吹っ飛んで行ったんだよ。

 その後、宵乃宮に切られたせいで巧緻性が戻るまでに思ったよりかかってしまったけど、もう大丈夫。

「ねぇ~行こうよぉ。退屈させない場所だと思うんだ。海さん、行こう、早く」

「どこにだよ?」

「いいとこー」

 俺は小父貴に借りた軽トラに海さんを押し込む。人攫いじゃないからご安心を。

「デートで軽トラ?! ありえねぇ~よ。ありえねー……あ、ありえなさすぎて笑う所か!」

「見た目より、機能性! 行こ」

 そうして今日のデートに出発したんだ。



llllllllll

キラキラを探して〜うろな町散歩〜 (小藍様)

http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/

海さん


llllllll

『以下1名:悪役キャラ提供企画より』


『金剛』 弥塚泉様より



お借りいたしました。

問題があればお知らせください。


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