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うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話  作者: 桜月りま
12月2日

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合流中です

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わ…

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「あきらぁ~! てっめぇええええええぇヤツはぁ! 殺されたいか!」

 乱暴なタカさんの言葉が内勤の職場に響いたのは昼を回った頃だった。

 タカさんと所長は知り合いだったらしい。所長が俺に帰れと言ってくれ、会社から解放される。

 余りの勢いに『お前の越した下宿先がタカ先輩んとこだったとはなぁ~住所変更だしなよ。しかしあの勢い、本当に殺されるなよ』っと囁き付きの送り出しだったが。幼い頃から住んでいる町、仕事柄もあってタカさんこの町じゃぁ結構有名人だからなぁ、などと考えながら作業着のまま会社を出た途端、再度怒鳴られた。

「どういうつもりだよ、ああん? 賀川のよ。昨日、切り口はなかったが大量失血なんて訳のわからない事になりやがったそうじゃないか!」

「いや、貧血かなぁ~今は体調良いんで大丈夫で……それに何が何だか訳が分からないのはこっちで……」

「なんだとぉ~! 本当にお前って奴ぁは……まぁ、八雲さんは『動けるんなら良いさね』と、笑っていたがな」

さすが戦場やエンジェルズシールドに居て医師を務めてきたクラウド女史だ。手足を失ったとしても戦場に戻り行く男達を相手にしていただけの事はある。ただ次の病院に行ったらベットに拘束されそうだなと思う。タカさんは俺を睨み上げながら、

「少しは親友って奴の気持ちを汲んで、自分の命を大切にしよう、命が惜しいって考えられるようになったかと思えば、無茶苦茶ばかり……」

「でも……」

「だああああっ! 槍で刺された奴がこんなに何で元気なんだよ。どう考えてもあり得ないだろうっ! 全く……薬は飲んどけって寿々樹が怒鳴っていたぞ。忘れたら確実に熱が上がってくるかんなって。靴と服は洗って返せと、よ」

「わかりました」

 たぶん傷口がないのは……起きた時には目の前には居なかった白髪のレディフィルドが何かしてくれたのだと思うが。その『方法』はどこか嫌な予感がして聞きたくなかったし、本人も海のホテルに帰ってしまっている。

 胸ぐらを掴まれながら、ぼんやりリズさんにももう一度お礼を言わなきゃと考えていると、ドリーシャが俺の頭に舞い降りた。

「な、何だ、こいつは。そう言えば白いの、この所、よくうちの軒下に居やがるような……」

「たぶんドリーシャです」

「どり? 洒落喰った名前だな。つまり『トリ』って事だな?」

「まぁ……トリですね、マメ鳥。『おいしそう』でしょ?」

「焼き鳥ならな。食用か?」

「くるぽ!?」

 好かれているのか、レディフィルドに見張られているのかはわからないが、この所は間違いなく懐かれている気がする白い鳥。クルポ、クルッポッ! と、何かタカさんに言う。意味は分からないが、タカさんも驚いた感じで手が緩む。

「まぁ、まぁ。時間も出来たし。小父貴、車に乗って……」

 そう言って、喧嘩腰のタカさんをドリーシャと共に宥めてくれたのは子馬だった。

 大きなバンには義兄の魚沼先生が後部座席に座っている。ちょこんと小さく、そしてカッパ顔でギロッと眼鏡をズラし睨んで来るのが相当怖い。服装はいつもの甚平やスーツではなく、作業着だった。

 俺は目を逸らして、離れようとしないドリーシャを仕方なく膝に乗せて隣に座る。運転席に子馬、助手席にタカさんを乗せると車は静かに走り出した。

「今日、ユキさんは?」

「抜田と香取の小父貴、二人が見てくれているから。食事だけしか部屋から出てこないかったけどね。疲労については香取の小父貴がキ……いや、その、きっと金剛君が出て行ったのがショックなのかも……」

「金剛、く、ん?」

 子馬が少し慌てていたのにも気付かず、その名前に俺の思考が引きつる。それは俺に似せた機械人形、ユキさんの前にも現れていたのかと。だが聞けば、ユキさんを連れ出したと言うより、彼女が付いて行ったようだ。その先でユキさんを彼は庇って……色々大変だったらしい。

「金剛君、俺に『あの少女が好きと言ってまシタが、好きとはどこで決めるのデスカ』とか『想うとは何デスカ』とか、まじめにきいてくるんだよなぁ~哲学だよぉ」

 子馬がぼやく。確かに機械人形にしてはどこか変わっていたような気がする。俺に『何故戦うのか』などと聞いていたし。

 きっと色々聞かれた子馬は照れながら、海さんの事について語ったんだろうなっと思う。

 そんな事を考えながら。

 俺は昨日、ユキさんにもう会えなくなるなんて思いもしなかったけれど、もしかしたらそうなっていたかも知れないと思考が過ぎると、会いたい言う気持ちが募った。だが車は家の方向には向かっていない。

「警戒心薄いですね、巫女は。想像以上に」

 子馬はたぶん海さんの事を考えてニヤ付きそうになった顔を引き締めて、タカさんに話を振る。

「それが良い所っていや、そうなんだが。わが娘って言っても数か月の付き合いで。わかったつもりだったが、まぁ相当だな」

「賀川、これを身に付けておけ」

 黙って俺を見ていた魚沼先生が綺麗に洗濯された例の布を渡してくれた。自慢のリーゼントを揺らしながら必死で血を落し、アイロンをかけてくれた鈴木の姿が目に浮かんで、感謝しながらもつい笑ってしまう。

「笑い事じゃないぞ。今、生きているのを幸運に思え。揃って命知らずな奴等を守る義務はない」

 低い声で言われた義兄の小言。俺は顔を引き締めて頭を下げ、詫びる事しか出来なかった。

「……して、そのアンドロイドの、つまり敵側の情報は全くだったんだろう? 子馬」

「本当に消えたのか、義理立てで口にしないのか、微妙でしたが」

 その後、話題を変えた魚沼先生の質問に、子馬は残念そうに返事していた。


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『悪魔で、天使ですから。inうろな町』(朝陽 真夜 様)

http://book1.adouzi.eu.org/n6199bt/

リズさん


キラキラを探して〜うろな町散歩〜 (小藍様)

http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/

レディフィルド君 ドリーシャ


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『以下2名:悪役キャラ提供企画より』


『鈴木 寿々樹』吉夫(victor)様より

『金剛』 弥塚泉 様より


お借りいたしました。

問題があればお知らせください。

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