奪還戦終結デス1(リズさん)(悪役企画)
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『現在小藍様の所で汐ちゃん奪還戦(11月4日付)に賀川参加中。
当方現在12月1日。『アリス奪還戦』は『汐ちゃん奪還戦』より一か月ほど『後』の話になります。メンバー構成的にも混乱するかもしれませんが各々『別日』の話になります。
では、お楽しみくださいませ』
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時間を巻き戻し、アリスを探す賀川の目線へ。
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「大丈夫っスか?」
「ああ、問題ない。急がないと」
もう時間がない、撫子が教えてくれた場所へ走る。レディフィルドは間にあっただろうか。俺様の事だ、きっと間に合っているに決まってる……彼女の事は気になるが、それ以上は今、心を割けなかった。
アリスと自分の事で精いっぱいで。走れば響く痛みと血が出て行く感覚を、ガムテープで封じ込めて。義理を返すと言う彼女の助言と手助けを無駄にしない事。それしか出来なかった。
息が上がる。
血液が、酸素が回ってない。
こんなに足を上げるのが辛いのはどのくらいぶりだろう。
そう言えば先月も腕を折ったりしたっけ、怪我多いなっと反省しつつ。
もっと前の、飢えと痛みとで苛まれながらただ行き抜く為だけに続けたサバイバルの時間を思い出す。
でもこれは自分の生存だけをかけた戦いではない。
俺には『責任』がある、俺はユキさんと一緒に居たいと思っている。未来を一緒に過ごしたいと願う、それに巻き込まれた彼女を失う訳には行かない。もし失ったなら、ユキさんは自分を責めるだろうし、俺は何より彼女を失うのは嫌だ。アリサの妹、失った彼女の姿。
二度と悪夢は見たくない。
「これは……」
もう少し、そこまで来た時に目に入る人影。俺は蹴りを、リズさんは素早く手刀を振るい、手近な相手を倒したが、俺達の目に入った雑兵の数は両手の指を超えていた。
背後の防火壁が閉まるのを感じる。退路を断たれたと言うより、ココにいる人間の安全確保の為だろう。この建物部分を爆破する前、その短い間に相手も集中して、俺達を攻撃をする気のようだった。こんな所で時間は使えない、素早く決着をつけ、アリスが居るのかいないのかはっきりさせねばならない。
「居そうっスね……でも同時に罠、そう言う匂いがするっスよ。あの女性信じて良かったか悪かったかはよくわからないっス」
「罠でも何でも見切りを付ける前の一仕事だ。居なきゃいないで、素早く撤退しよう! ……俺の酔狂に最後まで付き合ってくれてありがとう、リズさん」
そう言うとリズさんは夕日にも見えるオレンジ色の瞳を丸くして、ニコッと笑って親指をピッと立てた。俺もできるだけ笑ってから正面を向くと、
「お願いだ、アリスの目を頼む!」
「まっ……」
彼女より先に出る。痛みを完全に自分の意識から外し、気を集中させた。
自分の手が赤く染まるのが見え、それでも迷いなど感じる事がないように昂らせて鎮静、一点に絞り上げていく。自分の力がどんなに穢れた過程で出来ていようと、今、自分の想う者を守れるならば、俺は迷わずその拳を高く振り上げる。
「はああああああっ!」
ラッシュ。
タカさんはこれをラッシーって呼ぶから間抜けな感じがするが、生じる連打はそこに居た者達を圧倒した。そのたった一撃で当てた者以外の側に居る者も巻き添え、それでも飽き足らず近くの扉もへし折る。彼らが持った棍棒を掴み、顔面に拳を入れ込んで頭蓋骨を逝かせる感覚の後には、裏拳で他の者の肩を殴打し、鳩尾を打って胃袋を破り壊す。
「賀川さん、堕天使並みに容赦ないっスね。そんなに根性あるとは知らなかったスよ! ベル先輩がユキちゃんを任せる気になったのが少しだけ見えたっス。でも邪な目でユキちゃんを見てるのはやっぱり気にいらないっスけど」
「言っておくけど、リズさん。男は皆、好きな女を抱きたいんだよ! 初心なリズさんには酷だけど、男に幻想を浮かべても、結局だいたい同じモノだって」
「……やっぱ、賀川さんは駄目っス! イヤラシイっス。絶対ユキちゃんは任せられないっス」
「えー……何で?」
「何でってわかんない所が、既に、ホントに堕めんずっス!」
リズさんは顔を赤くしながら、俺の外側をすり抜けて迫った敵をぼこぼこに殴る。
その照れ方は可愛らしい。ぼこぼこにされている奴には酷だが。彼女が恋をしたら一途なのだろうと思う。ただ今は彼女の未来の想い人より、血塗れになる有象無象の山を築く事に専念した。
俺は誰かの手に持ったナイフを弾いて手に入れると、迷いもなく煌めかせ、ぶった切った。
「何だ、こいつ……手塚さんに痛めつけられていた奴だろ。何でまだ動けるんだっ」
「忘れろっ!」
深く刺し過ぎてナイフが骨に埋もれ引き抜けなかったので、素手でそいつの鼻頭を叩く。
そんなこんなでリズさんも思い切り暴れ回り、気付いた時には終わりが見えていた。初めの数と倒した数が合わないのは、途中何人かは逃走を図ってしまったようだ。
「こんなもん、っスかね?」
ボコりと立っていた最後の敵を床に叩き伏せてリズさんがそう言った。俺は自分の中で回っていた歯車にブレーキをかける。しゅぅっと、歯の隙間から肺にたまった呼気を抜いて一気に鎮める。間違うと見境なく殴り倒してしまうこの力。一撃目はいい感じで制御できていると実感する。
「ユキさんには見られたくないな」
「褒めたくはないけど、戦う男はかっこいいっスよ?」
「それはリズさんの趣味? 強い男が良いんだ?」
又、顔を赤くする彼女をからかいながら、気を抜いた為か強い痛みを覚えた。それを見せぬ様にさっと階段を上がって、撫子の言った場所に近付いていく。それらしき扉が見え、それを目指す。
防火壁が弾き飛ぶような音がして、下階から叫びが上がる。さっき倒した者達が倒れる階に火の手が上がったらしい。撤退を促す言葉や怒声、悲鳴が続いて、慌てた者が地雷原に落ちたのか、外でも爆音が響いた。
俺の聞こえすぎる聴覚が下階に傾いていたその瞬間、
「危ないっっス!」
リズさんの声に前へ進もうと前のめりになっていた体を半身だけ引けたが、僅かにタイミングが遅れた。突然現れた男の右手に握った刃先が俺の下腹を下から上に引き裂いていた。正確には段ボールとガムテープに押さえられていた応急処置のされたコートを切っただけで、そんなに身は切れていなかったが。
ドぼぼっと惜しげもなく床に血が撒かれ、それによって滑った俺の体は完全にバランスを崩した。
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『悪魔で、天使ですから。inうろな町』(朝陽 真夜 様)
http://book1.adouzi.eu.org/n6199bt/
リズさん
キラキラを探して〜うろな町散歩〜 (小藍様)
http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/
レディフィルド君
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『以下1名:悪役キャラ提供企画より』
『木曽 撫子』 YL様より
お借りいたしました。
問題があればお知らせください。




