表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話  作者: 桜月りま
7月6日(小題に『お祭り』と付いているモノが会場内)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/531

お祭り:夕暮です

盛り上がってますねーーーー

 








 からおけ、すごく盛り上がってました。

 途中からみたのですが、ギターの音がとても滑らかで、歌っているのが清水先生で驚きました。

 Tシャツを受け止める司先生の顔がとても恥ずかしそうなのに、嬉しそうで。

 今は話しかけるのには向かないので、音楽を楽しみます。恥ずかしくて合わせて声は出ませんけれど。



 一区切りしたので、きょろきょろしていると、わたあめが売っていたので、近寄ります。

 わたわたをくるくる取って、形にしている男の子もかなりくたびれているっぽかったけれど、綺麗な形に仕上がってます。

 私は食券を買いに行きました。

 そこにはすごく綺麗なお姉さんが座っていました。うろなって綺麗な人多いから、せめてもうちょっと私も普通だったら良かったな。

「えっと、わたあめと、リンゴ飴、の券下さい」

 ちっちゃな声でそう言うと、一瞬私を見て驚いた顔をしたけれど、すぐに微笑になって、

「一枚ずつ?」

「リンゴ飴は二枚で」

「はい、夏祭り楽しんでね」

 優しい声でそう言って、券をくれました。

「ありがとうございます」



 擦れ違う人の視線を少し感じながらも、お祭りの熱気で私の異色も少しは目立たない…………みたい。いや、たまに見られている気もします。でもいいや、あんまり気にならないかも。ここはみんな楽しそうで。

 ふと見ると、沢山の食べ物に埋もれて幸せそうな「にゃー」と言う可愛らしい語尾の女の子と、白髪の男の子が居ました。

「あれ? 梨桜ちゃんじゃないけど、稲荷山くんじゃないかな?」

 声を掛けようかな? そう思っているうちに違う男の子が来て、引っ張って行ってしまいます。

「ま、いいや」

 わたあめとリンゴ飴を買って、一つずつ食べます。

 そう言えば、さっきのわたあめを作っていた少年は休憩中なのか、女の子から買いました。

 甘いのは、幸せです。

 太るけれど。

 か、考えない事にして、食べちゃう。うーーおいしい。リンゴ飴なんて久しぶりです。



 食べてからもう一度ステージの方に向かうと、かなりセクシーな格好をしている女性が三人、ステージから降りて来る所でした。

「あれ? 司先生じゃ」

 目を疑った所で、

「袋のままじゃ食べられないからね?」

「ふ、袋のまま食べませんよ」

 賀川さんの声に振り返ります。

 最後に残していたリンゴ飴を何げなく口元にやっていたのを見られていたようです。



挿絵(By みてみん)



「探したんだよ、居ないから」

 私を探してくれてたのもあるのでしょうが、なんだか疲れた感じの賀川さん。タカおじ様と何があったのでしょうか?

 でも私の顔を見るとついっと手を伸ばして、頬に付いていた欠片を取って、ぺろりと嘗め、

「リンゴ飴食べてきたの?」

「わたあめも」

「甘いのダブル?」

「うん、あ、あれ、清水先生?」

 次にステージ上の制服を着た男の子の中に、二人ばかり男性が混じってます。その片方が清水先生で驚きました。

「……俺、あれに巻き込まれなくてよかったな」

「賀川さんの学生の時、学ランだった?」

「ブレザーだったかな……マトモに学校行ってないんだ……」

 賀川さんが遠い目をしながら、舞台を眺めています。私も学校はずっと同じ所に通った事がないです。学ラン集団の歌が素敵に終わった所で、

「これ、猫ちゃんと犬ちゃんのお礼です。リンゴ飴」

 帯に挟んで止めた、小さな二つの動物が揺れます。とてもかわいいので気に入りましたから、ささやかなお礼。

「自分のじゃないの? 俺にくれるの? お礼なんていいのに」

「はい」

「ビンゴに間に合わなかったから、さ」

「はい」

「気にしなくて……」

「はい」

「……あ、ありがとう」

「はい、美味しいですよぉ、でも歯に付きますよ」

 リンゴ飴を渡すと、賀川さんはビニールをあけて食べます。

「ん、甘いけど、リンゴ美味しい。一口齧る?」

「うん、いただきます」



 遠慮なくもらって、暫く歩いていると陽が随分暮れました。提灯の光が映えだす中、素適な後姿を見つけました。

「あ、司先生!」

「おー、ユキ」

 約束通り、お揃いの髪飾りを着けて来てくれています。

 お化粧がいつもよりハッキリしているからか、凛として見えるけれども優しさもかわいさも内包した美しい姿。清水先生も甚平姿で満足そうにしてますし。

 ただ、お二人が相手していた二人の子が私の手をペタペタ触ってます。

 飼育小屋のウサギに見えているようですけど。あんなに可愛いならいいなぁ。

 私も撫でたいけれど、泣かれたら困るし、触っていいか迷っているうちに、司先生の一言で退避しちゃいました。

 でも司先生とのお揃いに気付いて、何だかうれしそうです。



挿絵(By みてみん)



 長さ調節できるイヤリングが司先生のは長く揺れていて、とても大人っぽい艶を醸し出しています。

「またお買い物、行けると良いですね?」

「そうだな。お? そのキーホルダーかわいいな」

「賀川さんが射的で落としてくれたんです」

「ふうん、賀川が? 猫は良いが、こっちは黒犬ムサシの宅急便じゃないか?」

「でも両手が白いから違うんです。ほら、軍手みたいになってるんで、賀川さんみたいに見えて」

「……なるほど、賀川が犬に見えると」

「そ、そう言う意味では」



 私達が話している後ろで、清水先生がカメラを撮ってくれています。その後ろで、賀川さんがその画面を覗きながら、

「清水先生の所は子供二人でしたっけ?」

「まだ一人だよ」

「確か、女の子でしたか?」

「そうそう、やっぱり梅原先生に似て可愛いよ」

「ふ、二人共、何言ってるんだ? 特に清水……」

「梅原先生、どうしたんですか? つ、梅雨の事ですよ。こないだネットで頼んだ梅雨の玩具を届けてもらった時に話になって、首を傾げる感じがどことなく似てると……」

「ま、紛らわしいことをっ! そこ、賀川っ!」

「はい?」

「笑っているところ悪いが、ユキを無断で病院から連れ出した件、まだ直に弁明を聞いていない!」

「ははははは、俺、タカさんに手伝ってほしいって言われてるからそろそろ行きます」

「え? 司先生、又!」




 賀川さんに手を引かれて、その場を離れます。

「俺、タカさんにテーブルの片付けを頼まれているんだ。行ってくる、その辺に居て」

「はぁい」


 テーブルが片付けられ、花火が配られます。私も少し貰ってうろうろしてました。そしたらアスレチックが見えて、その近くに不審な人が二人、追っかけっこをしています。

 一人は天狗のお面を付けたヒト。

 一人はマントを付けたヒト。

 その後ろには子供達が集ってます。周りの大人も温かく見守っているので、何かの企画なのかもしれません。とっても楽しそうに走っていました。私も走りたかったけれど、ちょっと足がくたびれて来たし。大人しく見ておくだけにしました。



YL様の『"うろな町の教育を考える会" 業務日誌 』より、清水先生と梅原先生、果菜ちゃんと美果ちゃん


ディライト様『Vivid Urona』より、日比野正宗君 (わたあめ)


シュウ様『『うろな町』発展記録 』より、秋原さん(食券売場)


三衣 千月様『うろな天狗の仮面の秘密』より、天狗仮面さん

とにあ様 URONA・あ・らかると」より、怪人カラスマントさん



寺町 朱穂 様 『人間どもに不幸を!』より鍋島 サツキちゃん、稲荷山君を引っ張っていく吉祥寺君(梨桜ちゃんお名前だけ)


お借りいたしました。すれ違い、見ただけ程度で構成した方もありますが、ちょっとだけ付け加えた感じもあり。

何か問題がありましたらお知らせください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ