捜索中デス5ユキ(悪役企画)
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逃走した先は。
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遊具に乗って遊ぶのも楽しかったのですが、こうやって抱きかかえられながら遊園地を飛んで回るなんてなかなかない事ではないでしょうか? 髪がふわふわしますよ。スカートは下から見ちゃダメです。そ、それに金剛さんがちょうど太ももの辺りを押さえて抱えているので見えませんよ? 見えませんったら。
とにかく遊園地、楽しい所です。遠くにさっき乗ったタコさんの遊具が見えますよ。
金剛さんはジェットではなく、脚の筋肉で高く跳ぶ事を可能にしているようです。なので長い距離は飛べず、ぽおんと跳ねるボールのように曲線を描いて跳躍し、移動して行きます。
「凄いです。ほら、池のボートがとっても可愛いし、コーヒーカップがぐるぐるですよ。目が回りそうですねぇ」
「めがまわる? 大丈夫デスカ?」
「ああ、えっと楽しいのです」
「楽しい……デスカ? デ、ですか」
「言い直さなくていいですよ。本当に綺麗に喋れるようになったら賀川さんと見分けがつかなくなるかもしれないです。あ、でも色が違うのですぐわかりますけど」
「色? デ、です? か? 人間も温度感知を搭載しているのデスカ?」
「それって温度が目に見える奴ですよね? えっと、うーん、そんな感じですかね?」
私も返答に困りながら、
「人を眺めているといろんな色が見えたり、イメージが見えたりするのですが。賀川さんは何でなのかわからないのですが、ほとんど見えないのです。でも金剛さんはちゃんと色が見えますよ。その色は、冷蔵庫や洗濯機などには見えないので、やっぱり金剛さんは生きてるんですよ」
「冷蔵庫などにも温度はありマスガ。……生きてイル、いきて? 正しくは『稼働してイル』デス」
「そうじゃないんです、貴方は冷蔵庫さんとは違って、ちゃんと……」
金剛さんは不思議そうに首をかしげていましたが、他の何かをキャッチしたかのように無表情になると、
「マスター及びアンノウン二体、レーダー圏外へ。現時点では逃走成功と判断シマス」
「現時点では?」
「マスターには私が二キロ圏内に入ると居場所は特定可能デス。また、一キロ圏内に入ればマスターは私の遠隔爆破スイッチが起動できマス」
「ば、爆破って……そんなの。は、外せないのですか?」
「自爆装置として自分で起動させる事は可能デ、です、が、取り外しは不可の仕様デス」
手塚さんに頼んだら外してくれるって事は……なさそうです。
こないだ同じようなアンドロイドさんに会いましたが、自由にうろなの町を歩いているようでした。学校にも行って、妹さん達もいると言っていました。もしかして彼女に頼んだら、彼女のマスターがその爆弾を外してくれないでしょうか……でも彼女は他言はしないでと言ってましたから、無理でしょうか。彼女の事は話さないで、金剛さんを連れて行って、彼女をつかまえたらとも思いましたが、
「今日は学校が休みだから、張っていても会えませんよねぇ……」
「何デスか?」
「いいえ。これからどうしましょうか?」
私達は遊園地の壁を越えて抜け出していました。園外に出ると緑の公園を抜けて、いつの間にか船着き場の様な所に来てました。
そっと金剛さんは私を降ろしてくれます。
ここは。
さっきまで居た場所の様なパステル色は目に付かなくなって、錆び汚れた鉄色の柱や、剥げた原色の青ペンキのシャッターがあります。枯れた草や、焦げた黒やグレーの無彩色が何だか気持ちを重くしていきます。
今日なのか時間帯なのかわかりませんが、一部を除いてお休みのようです。動いていたら活気付くかもですが、今はとても静かです。たくさんの倉庫や物流を運ぶ、汚れたままの車などが、無造作かつ静かに並んでいます。
うろなで言うなら、南の方の感じでしょうか?
あそこよりももっと大きな感じで、外国からの船などもたくさん停泊し荷物を降ろす所のようです。
湾の様になっている海を船がたくさん行きかっているのとか、カモメの声とか楽しそうですが、何だか気分は余り良くないです。
だって……どうしていいかわからないのです。少しずつ気温も落ちて、太陽の光も黄味を帯びている気がします。
「もしかして、金剛さん、怒られますか?」
「爆破されなかった場合、八割の確率で現在のデータを分析、更新、その後、現在の情報は消去が行われると思われマス」
「で、後の二割は?」
「一割は…………鉄やレアアースとして、必要部分を接収。解体……廃棄処分デス」
「は、廃棄処分にならないとしても……現在の情報って記憶って事ですよね?」
あんまり私は詳しくないけれど、予測した事をされれば、金剛さんは金剛さんじゃなくなるような気がします。怒られるどころじゃなくて、命の危機ですよ? これでは。
「まだ一割、残ってますよね? の、残りは何ですか?」
「私には知らされていないのでお答えできまセン」
「あんまりイイ感じはしないですねぇ……廃棄処分も消去もイヤですよね?」
「たぶん、……『悲しい』に相当しマス」
悲しい、そう言いながら眉じりを下げると本当に賀川さんが泣きそうな顔をしているようで、私も辛くなります。けれど私に何が出来るでしょう? やはり付いて行くしかないでしょうか。
「そろそろ貴女を安全な場所に送り届け、離れねばなりまセン」
「そ、それは……でも……金剛さん」
私はどうしていいかわからないのに、金剛さんはもうどこかに離れていくようです。
金剛さんは説明してくれます。
「ある架空世界で作られたロボット工学三原則と言うモノがあり、現在ではそれが現実に使われているのデス。『……人間に危害を加えてはならナイ、しかし与えられた命令に服従しなくてはならナイ。又自分を守らなければならない』……しかしマスターが望むのは貴女デス。マスターの言う通りに出来ナイ。このままだと起爆されると理解してマスが、命令が聞けないのデス」
「命令が聞けないのは、約束したからですよね」
「約束……」
私が約束を解けば命令が聞けるようになるでしょうか? でもそれって手塚さんの所に私を連れて行くって事になりますけど。金剛さんは暫し固まって、
「わかりまセん」
「え?」
「約束がなくとも、命令に従いマスターに渡したなら、貴女は消エル。それを考えると記録が混乱スル……命令違反を何故こんなに重ねるのかわからないのデス。ともかく私は、起爆され貴女を傷つける前に、側から離さなければならないデス、それだけはわかりマス」
そう言いながら私の手を結んでいたバンダナを外してくれます。
「ありがとうございます」
「……嬉しいデス」
「はい?」
「また会えマシタ」
「そうですね。でも今、離れるのは嬉しくないです。金剛さんがどうなるか心配です」
そう言うと、金剛さんは無表情になって。暫く考えてから、
「嬉しいデス」
「し、心配されてるのは嬉しくっちゃ駄目ですよ?」
そう言うと酷く難解な顔をして、
「やはり感情と言うモノはまだまだ学習不足と確認しまシタ」
そう真面目な顔で言うので、私はただおかしくて笑ってしまいました。
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二人、静かに。
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コラボ様返信待ちが続いていますので更新は様子を見ています。
その為、不定期更新となります。
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奏さんと会った時のお話
『以下2名:悪役キャラ提供企画より』
『手塚』『金剛』弥塚泉様より
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