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うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話  作者: 桜月りま
12月1日

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336/531

捜索中デス2ユキ(悪役企画)

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初期型の金剛。

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 私は学習型アンドロイド、形式番号TD-017『金剛』。基本制作者は『TUDA』と記録されていマス。基本介護用ロボット製作として始まった企画デス。

 現在一緒に居る情報入力型アンドロイド、形式番号TD-061妹機『恵』改め『アリス』機より、かなり前に製作開始されマシタ。

 60番より前の初期型プロトタイプには人間に細かな部分を近付けようという熱意の余り、表情筋へのアクセスや対人間への表情読み取りなど、完成品とされた100番台には搭載されなかった機能が多数付加されていマシタ。

 ただしたくさん詰め込んでいながら、中途半端、またスペック的に対応できませんデシタ。尚、高番号になると武器等を付けた戦闘色の強い型が作られていまシタ。

 私の場合、まだ身体介護用の用途しかなく、搭載された機能の解凍機能の欠如、マニュアルは後程学習にて付与される予定が、開始されなかった為、先程の様な『表情』プログラムなど、使用方法のわからないデータが今も数多くアリマス。

 また初期型は私を含め、バグが多く、いろんな情報が入り込み過ぎると処理できなくなる為、制作途中で放置されていマシタ。

『アリス』も型番的には私より新しかったデスが、更に機能を絞ってスペックも高く、情報も洗練された90番台や完成した100番台に性能は追いつかず、私の隣に並んで埃を被っていマシタ。

 ですが100番台のアンドロイド達も、ある日工場に捨て去られ、誰も来なくなりまシタ。理由は試験中の『暴走』の為だと、体内に偶然残っていた僅かな予備電源で、廃品扱いされた後も、工場の片隅で『学習』し続けていた私の耳に届きまシタ。そうやって学習している事さえバグだったのかもしれマセン。

 他の兄弟達は予備電源もなかったせいか、沈黙していマシタ。

 そしてもうすぐ、ココにいる皆が全て、レアメタルなど再利用可能な金属を搾取されるために、ふたたび鉄屑に戻るのだと知りマシタ。



 それは……後続機の為ではなく『形式番号TD』は完全に製造凍結されたと聞き、壊されるだけなら私達はどうして作られたのか、と、私は思いマシタ。



 その時、やってきたのがマスター、『手塚』デシタ。

 彼はアンドロイドを触って行き、私の前に立ちマシタ。正確には隣の妹機の前で、

「ちょっとあの魔女に似てるか」

 そう言いながらデス。

「……私は学習型のアンドロイド、形式番号TD-017『金剛』。私も連れて行ってくだサイ」

 今までバグと思われて解体されない為に喋った事はなかったのデス。

 突然喋りかけるとマスターの心拍数が上がっていマシタ。それが落ち着くと、『廃品が喋るとは。型番は古いが面白い』と、連れて行ってくれマシタ。

 私には100番台にしか施されなかったリミッター解除が行われ、暴走の危険はあるモノの私の機能は格段に上がり、格闘、戦闘を想定した形に生まれ変わりマシタ。



「もし手塚さんって人が連れていてくれなかったら、金剛さん死んでいたんですね」

「修復不可能状態になるだけで、死ぬ事はアリマセン。私達アンドロイドは生物と違い、命を持ちマセン」

「でも……壊されるって知った時、どうしてって思ったって。きっとそれは命があるから。悲しかったんですよ」

「それは私達は『誰か』の役に立つ為に作られているからだと推測されマス。誰に役にも立てない事は『悲しい』に当たるのかもしれマセン」

「悲しい、とか、楽しい、とか。命がないモノは考えませんよ? きっと金剛さんにも私達とは違っているかもしれない、けれど命があるのです」

 巫女の考え方は私にはない思考パターンをしており、今まで『学習』ではわからなかった事がわかり、ただ更なる疑問を私に投入していくのデス。

 今まで『楽しい』か、と聞かれた事はなかったデス。

 提示された意見に『許可』を出すのは、マスターであって、私に『アレでいい』ですか? などと、聞いて来る者は居なかったデス。『ありがとう』と言われた事もなかったデス。



『ねぇ、アナタは命令されてるからやっているんですよね? お願いだから、こんなのやめて?』

『どうして、戦わないといけないの? どうしてこんなことになるの?』

 前に会った時、巫女と呼ばれるこの白髪の女子はそう言いマシタ。それは命令に対するノイズであり、処理の対象デシタ。しかし消す事が出来ないのは何故かわからないのデス。

 捕獲対象であった巫女の血が入ってから疑問が66パーセント程増えた気がシマス。もう記憶情報チップにしかその時の『私』は残っておらず、チップも洗浄済みデス。しかし何らかの影響が何故か残っており、マスターへの報告をしなければならないに関わらず、どうしてもできまセン。

 この『ためらい』はバグと思われマスが、この情報は貴重だと私の回路が消さない様に働くのデス。命令を聞けない私はアンドロイドとしてすでに破綻してイマス。それでも私は学習していたいと考えてイマス。

 命令遵守のアンドロイドである私がこのように変化した原因を探す為、また巫女の投げた言葉に答えを得る為、一度は私を粉々にした、巫女を守ろうとする男に、『何故、人は戦うのデスか?』そう聞いてみマシタ。

『今は……自分の思いの為に、戦う。守る者、そして己の心の為に。たまに間違う事やヘコむ事があっても、戦い方はそれぞれ違っても、己の信念に従って『人間』は……自分の大切と思った者の為に、自分の存在をかけて戦うんだ』

 不思議そうに、『……ああ、そうだな……命令だけを聞くように作られたお前達にはわからないだろうな……俺は人間だがかつて痛みや生存欲を操られて生きていた頃は、同じようにわからなかったよ』と言った後にデス。



「彼はかつて理解不能でしたが、今はわかっていると言う結論が導き出されマス。私もわかりたいと思いマシタ。もしかしたら時貞玲に話を聞けば何かわかるかと思い、追いかけてきたのデス」

「何で知りたいのですか?」

「それは私が学習型アンドロイド、形式番号TD-017『金剛』だからデス」

「つまり、お勉強が好きなんですね」

「お、べんきょう? デスカ?」

「そう、学ぶ事は良い事です」

 そう言って笑う巫女の顔を見ていると、私も笑うべきだと思い、笑うのは『楽しい』と記録を残して学習して行くのデス。


llllllllllllllll


更新タイミングが掴めません。不定期更新となります。

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ユーザーネームを入力して下さい。(綺羅ケンイチ様)

http://book1.adouzi.eu.org/n9290bv/


津田サイエンスグループにて作られた形式番号TD

その変遷について。(確認ありがとうございました)


『以下1名:悪役キャラ提供企画より』


『金剛』弥塚泉様より


問題あればお知らせください。


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