捜索中デス7(悪役企画)
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更新するの忘れてました…
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今まで土蜘蛛と戦い、体は燃え上がる様に熱かったが、もう12月、冬の水は冷たく二人の熱を奪う。水から上がろうとした所で、二人はそこに眼鏡をかけた、眼の細い、少し童顔に見える青年を見つけた。
「し、篠生 誠!」
子馬はその顔を写真と『夢』でしか知らなかったが、すぐにその名が口に付いた。
賀川の幼き頃の友人『篠生 誠』。死んだその体は燃やされる事なく、動いていた。子馬の調べたところ戸籍や過去の足取りに若干の詐称はあれど、間違いなくその人間は存在しており、ある大学の助教授として籍を見つける事が出来ていた。ただ『まことくん』と賀川が呼んだ少年は永久の眠りにつき、その望みをかなえる代わりにと、何かがソコに生き、今ココに佇んでいた。
「賀川のの幼馴染、て奴か。ただ中身が違うとか、何とか。情報屋と知るまでは文具屋のにーちゃんだとしか認識がなかったがな」
「情報屋ではなく、仲介屋ですよ。私は」
「宵乃宮が奉じていた神『水羽』様の兄神、御神体の剣におわす……『かぐつち』神ですよね?」
自分の肩から流した血で染まった水からザバリと上がると、子馬は傷ついた土蜘蛛を手で守りながら片膝をついて礼を取る。
「初めてお目にかかります。私は土御門 高馬。現土御門当主にして、母は刀守の縁となります」
漆黒のスーツに身を包んだ篠生はさした感慨も見せず軽く頷き、怪我をした子馬の肩に触れる。ジュっと何かが焦げる音。子馬が喉奥で悲鳴を上げたが何とか耐えた。傷が治ったとは言えないが、傷が焼けて血が止まる。かなりの荒療治は鬼の血にある子馬の体だからできる方法。子馬が戸惑っているうちに彼は口を開いた。
「玲様は……やっと誠のピアノに触れられたようですね。あの志高き、少年の心に」
「はい、動かなかった指も上手く動いてくれてます。私達を……ココへ招いたのは貴方ですか?」
篠生の手には戦いの内にいつの間にか零れたのか、それとも式鬼として動いていたのか、子馬の父親が作った和紙の蝶があった。
子馬の言葉を肯定する様な間があって、手の蝶をふわりと空に放つと、
「その土蜘蛛が可哀想でね。でも私自体がどう出来るわけでもなかったから、貴方達を仲介したのです。その子の世話は任せますよ。それから仲介したのは貴方もです」
「俺も、ですか」
「そう、玲様の情報源として、うろなに貴方が戻る様にしたのも、ですが? わかってますか?」
子馬は疑問詞を顔に浮かべ、一瞬考えた後で、
「……それもあって俺はココへ来れたんですか……そうですか……聞きたいのですが、かぐつち様。貴方は『火』、基本的に破壊の神、戦神、だと聞いています」
「ですから、私は直接だと壊す事しかできないのです。ですが、仲介と言う方法なら『生かす』事が出来ます。玲様は本当に彼との契約に沿って生かしていいのか……と思いましたがね。それから私は貴方のいう所の『御神体』じゃなく、その模擬刀に……」
「何だか難しいな、おい。何て呼べばいいんだよ、まったく」
タカもいい感じで冷えた体から、水を垂らしながら、ひたひたと篠生に詰め寄った。
「名前なんてさして意味もないと思いますが。篠生、でいいですよ」
「じゃあ篠生さんよ、神だか何だか知らねぇが、オレはユキを探してんだ。ここにユキはいるのか?」
「いませんよ。今度、玲様を連れて来て下さい。先代の巫女、秋姫をお返しします」
「あ、アキ……アキヒメさんがココに居るのか!」
素早くタカは篠生の体を掴もうとしたが、その時にはもうそこに彼の姿はなかった。幻影だったのだろうか、彼の影は森の奥へと消えていく。
「現巫女の雪姫はさしてしないうちに戻って来るでしょう。気になるなら遊園地にでも行ってみると良いかも知れません……後、サービスしておきますよ。お二人共、風邪をひいてもいけないですので」
「何っうぉ!」
追いかけようとするタカと子馬の回りに熱風が舞った。この場所だけまるで夏が来たか、砂漠にでも来たかというような熱。だが彼らを焼く様な事はなく、すぐに気温は戻った。その時にはもう篠生の姿はなく。追っても無駄なのは二人にはわかっていた。そこには不可視の『結界』があって、始めにこの森に入った時に作ってあった物と同じ気配がするのを子馬は確認する。
間違いなく彼の導きで今日はココに来たのだろう。そう考えている子馬の横で、タカは訳が分からないと言った顔で舌打ちをする。
「何しやがんだ、神ってのは全く勝手だな。その蜘蛛公を助けるのに、ユキを探してる俺達を使ったっていうのか」
「あの女達は明らかに小父貴を狙ってこの土蜘蛛を操っていましたから、いずれ戦わねばならない相手だったのもあるでしょうが。それにココに来る事で巫女の位置がわかったですし、服を乾かしてくれたようですよ」
「ん? ああ、髪型が崩れちまった……」
タカのいつも固く整えられた髪がふんわりとして前髪の白い房がさらりと下がっていた。子馬はいつもタカは額を上げている所しか見た事がないのだが、髪型一つ替わるだけで、とても雰囲気が柔らかく変わるなと思う。子馬の視線に気付いたのだろう、タカは側の水で手を濡らして髪を整え、
「遊園地、行ってみるか」
「その方が良いでしょう。彼は巫女が『戻ってくる』と言いましたが、彼女が『生きて』とか、『無事に』とかは言わなかった……気になります」
紙で出来た蝶が舞い降りてくる。タカとしてはアキヒメが居るかもしれないと聞いて気にはなる所だったが、今はユキの行方を追う事が先決と思われた。
「アレに付いて行けば森の外に帰れるでしょう、行きましょう」
「おうよ。まあ、お前は車に戻ったら傷の消毒しろ。救急箱があるはずだ。後、大き目の作業服捜してやっから着替えろ。泥は落ちたが、その背中はみっともねぇし、痛いだろう」
「ありがとうございます」
子馬は手にした土蜘蛛に鬼道で少しでもと癒してやりながら、森を出て、手早く身支度を整え、車を遊園地に走らせる事となった。
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更新タイミングが掴めません。不定期更新となります。
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『以下2名:悪役キャラ提供企画より』
『桜嵐』呂彪 弥欷助様より
『余波教授』 アッキ様より
存在のみ。
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