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うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話  作者: 桜月りま
12月1日

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327/531

捜索中デス1(悪役企画)

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場面替わって。

皆様お忘れでしょうが、主人公は賀川によく似た者と外出しております。

高馬……子馬目線です。

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「紙! 出来るだけ多く出してよ、かーさん」

「古新聞でいい?」

「そ、それはちょっと……せめて白い紙を……」

「紙って言ったじゃない。文句が多いわねぇ、高馬。大丈夫よ。賀川君と一緒なはずよ?」

「うーん。それがおかしいんだよ……」

 俺が異常に気付いて駆けつけた時、巫女の姿はなかった。巫女の回りに仕掛けておいた式鬼……何かあれば異常を知らせ、陣を張り、巫女を守るはずのモノ……が全て破られていた。

 一枚も残らないとすればかなりの高速でやられたはず。賀川の戦いを拝んだ事はないが、彼の過去の記録やタカの小父貴の入れ込み具合から察するとやれない事はなさそうだ。

 だが、あの男が巫女を連れて行くのに式鬼を潰していく、そんな事をする必要はない。

 更に電話を入れてみるが繋がらないのである。香取の小父貴が昨日の今日でまさか何か……と、電話を入れてみると、

『ユキ君が消えましたか? でも僕は前々から今日、教会本部に行くと言っておきましたよねぇ? 朝日を避けたので、やっと着いた所です。軽く半日はかけないとうろなへは戻れませんよぉ? 何とかそちらでして下さい。あ、うちの白るぅが巫女は『うろなには居ない』と言ってますよぉ、参考までに』

 そう返ってきた。

 何羽か鶴を折って式鬼として空に放つが、四方八方飛ばすには数が足りない。俺の鬼道にも限りがある。それでも限界数までは飛ばすつもりで母に紙をもらう。

「じゃ。これでいいかしら?」

 母が出して来たのは美しい和紙。小さな箱に何も折られていない数枚と、一羽だけ雅な雰囲気の折りがされた蝶があった。

「これ、父さんの……?」

「あの人の物は全部持って行かれたけれど、これは貴方のおもちゃ箱に残っていたから」

 懐かしい気がした。

 今はそんな事を言っている暇はない。けれど、丁寧に折られた蝶に触れる。微かに残った土御門の力は、遥か昔に感じた父親の残り香。羽がふらりと揺れた気がした。

「ココに居たなら知っている? 俺に教えてくれないか、巫女の向かった先を」

 ひらり……蝶が舞う。

 まるで今まで忘れていた呼吸を思い出したように、軽く、しなやかに。

 その時、玄関があいた。

「ユキは居るか!」

「タカの小父貴! どうして……」

「子馬よ、おめェ……俺は清水先生から変な話を小耳に挟んでよ。現場からここは近かったからそのまま来たんだが……」

 視線で自分達が同じ理由でココに居るのを悟り、頷く。

「小父貴、あの蝶を追って」

「ありゃ、懐かしい……おんまの蝶じゃねぇか……子馬、お前ぇが動かしてんのか?」

「基本は。でも残っていた力があったので足して……」

 小父貴の軽トラに乗り込んで情報を交換しつつ、蝶の式鬼を追う。

「葉子さんがユキは賀川と一緒に出て行ったって言ったんだろう?」

「家を出た賀川かれに付けていた式鬼は二匹でしたが、それも破壊されたんです。その時は巫女を連れて居ず、空港方面まで行ってます。足取りが途絶えた彼が、巫女の式鬼まで壊して連れて行くなんておかしい。賀川が迎えに行ったと言う仲間を母さんは見ていないし」

「ユキの事だ。出て行きたくなりゃ、一人でも出て行っちまうからなぁ。それに式鬼って奴の仕組みは、相手に対しどれだけユキが畏れたり、悲鳴上げたり……つまり警戒するかで決まんだろう?」

「概ねそんな感じです」

「んーーユキに警戒なんて文字があったかが微妙だからな……」

 まさか敵にノコノコついては行かないだろうとそこは流石に笑ったが。タカの小父貴は腕を組んだ。

「早束っていうどっかの会社のお偉いさんが、何だってユキの話を口にしたかも気になる所だが……」

 巫女が森で一人籠城し、具合を悪くした時に、頑なに森へ居たがったが、それを説得した中学の先生。その清水という先生から情報を耳にしたタカの小父貴は動いていた。何かが水面下で動いているのは間違いないと見てイイ。

 留守電を賀川に入れていると、ひらひらと舞う蝶は森の入り口に舞い降りた。

 香取の小父貴は『うちの白るぅが巫女は「うろなには居ない」』と言っていると言ったが間違いだったのだろうか。森の途中からは正確にはうろな町から出てしまうが、それは地図上の事であって、風域などからすれば全然うろなに組する場所。

「ただただ賀川とアトリエに居てくれれば助かるんだが」

「でも少し方向が違う気がします」

 紙で作られた艶やかな蝶に一匹の本物の蝶が寄り添い、俺達が車を降りたのを確認する様に再びひらりと飛び始める。

「な、何だ……」

 小父貴が驚くのも無理はない。

 一羽だった蝶はひらりひらりと、そしてどんどんと数を増し、いつしか空を流れる橋のようになりながら俺らの行く手を流れて行く。

「この先に巫女が居るかが定かじゃないですが、普通じゃない」

「ふぅ、こりゃ美しいが……足が六本もある奴が、こうも群れを成してると怖い感じがするな」

 もう随分と寒くなる時期にこれだけの蝶が集まるなど、作為的なモノを感じざるを得ない。更に自分が『結界』を通らされている感覚がする。

「何かオカシイな?」

「小父貴にもわかりますか?」

「何となくだが、誰かの『敷地』に踏み込んだ感覚がすんな……攻撃、来たら逃げ場がねぇ感覚だ」

 俺達は話しながら大き目の水の流れを横切り、深そうな泉を横目に蝶の群れを追う。

 普通の人間なはずのタカの小父貴だが、空手の道に通じているせいか、感覚は鋭い。正確にその場の状況を言い当てている。

 蝶達が深い森の中に入って行く。その時、銀色の閃光が先頭の蝶を目掛けて走った。

 砕かれる!

 俺は父さんの作った和紙の蝶を必死で回避させる。俺に呼応して何とか回避したが、付き従っていた蝶が数羽断ち切られた。

 見えないが今まで確実に周囲にあった結界と言う『壁』がすぅと消える感覚がする。結界と言うのは自分の自由になるスペースだ。それが消えると言う事は、蝶を断ち切った相手と結界の主は別者だろう。自分の為に張った物ならこの戦闘に入るようなタイミングで自分の有利となる『結界』を消すわけがない。

「可哀想なことしやがるっ」

 タカの小父貴はそんな事に終始してはおらず、瞬時に前に出る。そして銀色の閃光の先を掴みとった。扇子、見た目は透かしが入り美しいが、とても重い、重い銀色の刃物。それは鎖に繋がっている。小父貴の強力な力で引っ張り、その先を握っていた持ち主をあぶり出す。

 だがタカの小父貴が引っ張り込む事も予測の範囲だったのか、動じることなくふわりと地面に舞い降りる青い衣装の女。そのままじりじりと小父貴は引き寄せながら、

「こないだ葉子さんを狙ったやつじゃねぇかよ!」

「狙いは貴方よ。前田 鷹槍……」

「ちぃ」

 小父貴は切迫して拳を叩きつけようとするが、片目を髪で隠した女は難無くその攻撃を避けた。巻き添えで殴られた樹がその太い幹をズンと折られる。

「上っ、来るぞっ! 子馬っ」

 俺は注意を受けるまでもなく、折れた樹から目の前に舞い降りた桜色の舞姫が握る、緑の鈍器の攻撃を咄嗟に避けた。

「あら? 私がこの樹に隠れていたのも気付きましたのね? 喰えないお年寄りです事……貴方もごきげんよう。こないだはよくも邪魔してくれましたわね……」

 少女に近い桜色の女が舞い降り、妖艶に笑う。お年寄りと称されたタカの小父貴は鎖を持つ青い女を眺めながら、不機嫌そうに眉を寄せた。




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更新タイミングが掴めません。不定期更新となります。

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"うろな町の教育を考える会" 業務日誌 (YL様)

http://book1.adouzi.eu.org/n6479bq/

清水先生お名前


白るぅの基本はとにあ様宅より


『以下2名:悪役キャラ提供企画より』


桜嵐さくらん』呂彪 弥欷助様より


余波なごり教授』 アッキ様より


問題あればお知らせください。

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