奪還戦デス10(悪役企画)
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煌めく刃
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『現在小藍様の所で汐ちゃん奪還戦(11月4日付)に賀川参加中。
当方現在12月1日。『アリス奪還戦』は『汐ちゃん奪還戦』より一か月ほど『後』の話になります。メンバー構成的にも混乱するかもしれませんが各々『別日』の話になります。
では、お楽しみくださいませ』
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「おやめなさい、田中」
「……撫子」
降り上がったナイフが俺の指を断ち切る前に、静かに、そして冷たい女の声が飛んだ。撫子、そう呼んだ女に、ピンクの田中は切れて二つに割れた舌ではあったがはっきり舌打ちをした。だいたいなんで舌が千切れているんだろうか? その上、服は綺麗になったし、焦げは取れているのに、舌は元に戻ってない。どういう仕組みと基準かわからない。
「今日はその男、出来るだけ無傷で欲しいと、まなぎ様が考えてるの。手塚が目を欲しがっているしね。後は私に任せて引きなさい。ココの爆破も始まったわ。退避命令が発令中よ」
「せっかくここまで追い詰めたと言うのに?」
「手塚の毒のおかげでしょう? 魔力を持たないこの男を酔わせる事の出来ない田中に、戦闘だけで勝つのはムリよ。私程度ならともかく、格上よ、この子。一度は金剛を粉々にしたのよ?」
「私が相手している時にその毒が効力を発し始めた、その運も、私の実力ではないでしょうかね?」
くすり、彼女が笑う。
「必死かしらね?」
可愛らしいが、すぎると言う事もなく、凛とした美しいという印象が強いその女性。それに笑われると、ピクリと田中が反応した。撫子の方はそれを知った様に、声音を優しくし、
「全て貴方の実力よ。何も手柄を横取りに来たわけじゃないわ。貴方が掴まえたともう報告はしてあるの。安心して。私は彼の懐柔に来ただけ。使える者は使う、まなぎ様の考えを頭のいい貴方ならわかるでしょう? 田中」
かつりかつり、高いヒールを鳴らしながら、さっきまで俺が居た階段をゆっくり降りてくる。俺が毒で痺れて動かないのを田中は蹴って確認する。体が跳ねたが、出来るのは唸る事ばかりで、手足を上手く動かせない。俺が焦る中、田中は撫子を腕の中に引き寄せた。
「っ……」
撫子の首筋に切れた舌をペロリと這わす。耳の中にそれを捻じ込みながら、
「この頃、早束の専属になって、御無沙汰ですよね。この男はいいのですが、嫁を追うのを諦めるのですから。それ相応の対価がいただけると期待していいのでしょうねぇ。撫子……」
「……まなぎ様の目が届かない所でね。さ、行きなさい」
てろりとキレた舌が、彼女の耳から抜ける様は、女が美しいだけに、田中のグロテスクさがはっきり浮かび上がる光景だった。
何ともつかないアヤシイ色を帯びた瞳で俺を一瞥すると、田中は階段を上がってその場から姿を消した。その後ろ姿を見送りながら、
「時貞 玲、ですね。私、ある会社の使いの者で、撫子です」
「会社?」
「ええ。硬直が始まってまださして経ってないようですし。このブロック爆破まではまだ少しありますから。毒で死んでしまうまでに、少しお話をいたしましょうか?」
息が苦しい。こんな女と話している場合じゃ無い。それも爆破が始まったと聞いて俺は気力を絞って立ち上がった。
するりと彼女の腕が俺の襟首を掴む。いつの間にその間合いに居たのか、考える暇もない間に、俺は彼女に楽々と投げ飛ばされていた。さっき格上と評してくれたが、彼女から感じるのは本物の気配。体が普通に動いていてもその攻撃を避けるのは無理だったかもしれない。酷く打ちつける背中。彼女はしんなりと足を上げ、そのヒールで田中が開いた指一本分の傷口に正確に体重を乗せてきた。
「う……い、たぃ」
「ねぇ、貴方。お話をしましょう? そう言ってるのが聞こえないかしら?」
ダメ押しのようにぐいと踵に重みをかけられ、本当に俺はゴミ扱いだ。彼女は俺から離れると、近くにあったキャスター付きの椅子に腰かける。
「バイトをしないかと思いまして」
「……は?」
今、毒で致死に達しそうな人間を前に、何を言っているかわからない。にこりと形の良い唇に笑みを乗せ、優雅に紅茶でも差し出しそうな声音で俺を見下ろす。
「貴方と一緒に来た、白髪の少年。彼が守っている少女の事は知っているでしょう?」
ユキさんの友達である少女汐ちゃんの事だと即わかる。
夏のある日、ユキさんのアトリエに来てくれて。日本人の割に漢字を知らない大人な俺に、子供の汐ちゃんがそれを読んで教えてくれたり、ユキさんの絵の具で遊んだりした。『賀川のお兄ちゃん』と呼んでくれて、本当に楽しく笑いあった。
「『七の継承者』、だったか?」
「知っているの?」
「聞きかじっただけだ。彼女を連れようとした頭らしい男が、そう呼んだ」
彼女はクッっと笑った。
「私的にはどちらでもいいの」
「どちら、でも?」
「そう。どちらの少女でもいいから欲しいのよ。その力は多少違っていてもいい。でもその力を上手く分配すれば、どちらかの少女は無傷で済むの。ねぇ、良い考えと思わない?」
「何が、言いたい……」
「わかっているでしょう?」
彼女はその耳から下がったピアスを見せた。それはアンプル、何かの薬が入った瓶の形をしていた。
「貴方がこのまま死ねば、巫女は人柱として完成してしまう。本当は目の前で殺す方が悲しみが深まって良いけれど……神が降りていると聞くから、そこまでしなくても欲しいだけ力が絞れる事でしょうね。残酷な方法で『女』にされて、次代の巫女の『母』とされ、その後は『人柱』として血の一滴まで喰いつくされるの」
想像したくない、そんな光景。暗い時代に見た人間の悍ましいまでの欲望や歪んだ笑いは、その記憶の奥に確実にあって俺の脳裏に虫酸が走った。
「これは解毒剤。貴方へのバイト代として先払いしてもいいのよ?」
「……その薬の、つまりはユキさんを人柱にしない代償として、……汐ちゃんを連れて来いって言うのか?」
「悪い話じゃないでしょう?」
ゆっくりとではあるが確実に自分が死に向かっているのを感じながら、大きな声で高笑いした。
「馬鹿言うなよ、確かにユキさんを人柱にしたくはない、だからって汐ちゃんを? そんなの計算にないよ。彼女はユキさんの友達であり、俺の友達でもあるんだ」
「強がっても、一番は彼女でしょ? なら、比べるまでもないでしょうよ。この薬を受け取って、早く彼女を連れて来て……」
「断る!」
守る者が多くなればなるほど、人は大きく腕を広げればならなくなる。その為に弱くなる事もあるが、その為に俺達は繋ぐ手を持っているのだ。だから安心していい。俺は『その人達』を思い浮かべる。
「俺に『もしも』があっても、だ。ユキさんはタカさんや魚沼先生や……、汐ちゃんはレディフィルドやシャボンの少女や……必ず、必ず、誰かが彼女達を守る。絶対にだ。だから俺はお前の口車になんか乗らない。それに俺は俺でここを切り抜けるさ」
仲間になるフリをしながら解毒剤を手に入れる、そんな器用な芸当が出来るほど演技は上手くない。だから他の方法でどうにかしないといけない。俺は薬で震えながらも気力を振り絞り、先程銃を打ち放った時に壊れた何かのガラスの破片を拾う。
「そんな物でも私に投げるつもり? そんな震える手で当てられるわけ……」
「違うさ、こうやって、使うんだよ!」
俺は掌の破片を自分の腹の傷にゆっくりと押し当てる。身が切れる痛みに毒のせいか上手く手が動かないが、確実に出血は増え、地面を濡らした。
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自転車操業中。
書けない日が続きますので更新は未定とさせて下さい。
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キラキラを探して〜うろな町散歩〜 (小藍様)
http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/
レディフィルド君
アプリちゃん(お名前のみ)
夏に遊んだ事、そして十一月四日の話題(現在展開中!)
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『以下5名:悪役キャラ提供企画より』
『田中』
さーしぇ様より
『撫子』
YL様より
『まなぎ』
とにあ様より
『手塚』
『金剛』
弥塚泉様より
お借りいたしました。
問題があればお知らせください。




