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うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話  作者: 桜月りま
12月1日

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308/531

奪還戦デス4(悪役企画)(リズさん)

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血の匂いと花の匂いが入り混じる。

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『現在小藍様の所で汐ちゃん奪還戦(11月4日付)に賀川参加中。

当方現在12月1日。『アリス奪還戦』は『汐ちゃん奪還戦』より一か月ほど『後』の話になります。メンバー構成的にも混乱するかもしれませんが各々『別日』の話になります。

小藍様。うろなで少し前に一周年だったそうで。おめでとうございます。

では、お楽しみくださいませ』


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 空の色も、海の色も美しい。

 四角の建物のゴシックも、空を飛ぶ飛行機の流線形も。世の中綺麗なモノに溢れている。

 美しい物を愛でている時はとても幸せ。

 けれど私を見ないで。

 私はとっても醜い姿。骨と皮ばかりでどんなに笑って見せても気持ち悪がられて。せめて私の前で醜い、気持ち悪いと言わないで。そうでないと……

「またやってしまいました……」

 彼の足元にはポニーテールの少女が血を流して力なく転がっていた。

「血は美しく、苦しがって悲鳴を上げている時は好みです。でも……死んでる者には興味ありません。ああ、せっかくなら美しい獣姿をもう一度見たかったです」

 彼が思うほど、……その容姿は酷くはなかった。

 だが人間に生まれながら小さな魔力を持った彼は、人に敬遠され、迫害された。その力に気付き、操れるようになってから『魔力持ち』を酔わせ、その指から生み出す細工物で支配し、玩具にするようになった。魔力持ちを解放してやると言う条件で普通の人間を捕まえさせ、時には玩具として人間も飼った。

 醜い行為は次第に彼の心を侵食し、不細工にしていく。魔力などわからない人間にさえも田中ソレは敬遠したいほどの生き物になって行くのに彼自身が気付かない。

 どの玩具もその最後に、自分が『言われたく』ない言葉を吐かれて、切れた結果……刺殺。そうして既に田中は何十人ものヒトを殺していた。もう……そうやって手にかけるのが普通になってしまい、長く生きてくれるモノは、ほぼなくなる程に。

「素敵な飼育箱を作るつもりだったのに」

 彼の刺殺者名簿にまた一人名前が加わった。

 興味を失った死した獲物の鎖をチャラリと捨てて、

「もう二匹、建物に入ってきたはず。黒い方には魔力の匂いはしなかったです……白い方の子供が微妙にしたような。定かではないけれど、何とも生意気でそれはそれで美しい……」

 自分勝手な事を呟きながら、せっかくの獲物たのしみを失ったショックで、ふらふらと廊下を歩いて行く。集中力を欠いた田中は、自分の背後で死んだと思った少女の手が動き、緩慢に、だが確実にその首輪を外していく事に気付かない。

「ぷっ!」

 外し終えた瞬間、止めていた呼吸を開始するのに、余りの苦しさ故に、何かを連想させる『ラッパ音』を口に出してしまったリズ。

「しまったっス!」

 そう言いながら出来るだけカサカサと田中から離れる。首輪を外したリズの体は魔力を急激に取り戻し、堕天使としての自己治癒能力がその傷を修復していく。まだ花の匂いがするが、何とか耐えれる距離をリズは確保し、酸素を吸い込む。

「く、苦しかったっス」

「し……死んだハズじゃなかったのですか」

「堕天使を舐めるんじゃないっスよ。その賀川さん並みの強烈な臭さで体が酔っているなら、その効力が弱まるまで呼吸しなきゃいいんス。心臓まで刺されて止められるとは思わなかったっスけど」

 手の震えが残っているものの、リズは自分の首を今まで絞めていた首輪とその鎖を握った。首輪は触っているだけでは効力を発しないようだ。

 リズが生きていた事に田中は急に泣き始めた。

「おおおおお……これは素晴らしい、そして美しい……多少刺しても殺しても生きてるなんて。私にふさわしい生き物だ。私の嫁にぜひとも!」

「こ! こんな求愛はイヤっスぅ!」

 感涙、だが近寄られると鼻が曲がるほどの香りに酔ってしまうリズは後ずさる。田中の手には一つの指輪が……

「まさか……」

 後ろに下がりながらリズの背中に冷たい汗が流れる。

婚約指輪エンゲージリングですよ。もちろん魔力剥奪が出来る上に、指に装着すると針が皮膚に刺さり、外す事は出来ず、私との永遠の愛が誓えるように……」

「絶対イヤっス~」

 呼吸も戻り、傷は修復され、血液も増産されつつある。だがまた近付かれて酔わされたら今度こそ、魔力剥奪エンゲージされてしまう。乙女の危機にリズは手に持っていた首輪をブンブン振り回し、思い切り投げた。

 かしん!

 偶然にもそれは田中の首に嵌る。

「あれ?」

 別に酔っているわけでもない田中に、その首輪を外す事自体は至極簡単な作業だ。だがその首輪が嵌った瞬間、リズの鼻を苦しめていた『花』の香りが消えた。その一瞬を抜群の格闘センスを持った彼女が、逃そうハズもない。握った鎖をジャラリと言わせながら、目にも止まらぬ速さで田中に肉迫すると、

「あの匂い自体がこの男の魔力だったスね!」

 漆黒のライダースーツに変身したリズのヒールが、田中の顔にメリ込む。その手に握った大ぶりのナイフも魔力を込められないため、彼女の装甲のように厚い黒服スーツを破く事は叶わない。もしそれを破った所で一瞬の内で修復されてしまっていただろう。自己治癒能力を持つ彼女を突破するためには普通のやり方では元来無理なのだ。

 更にこんな男の求愛を受けるつもりはないリズは、首輪を外されぬ様に殴り続ける。更に逆の手に握っていたリングを奪い取り、拳と共にその口に捻じ込んだ。歯が折れた男の舌にリングが針を突き立て、ガツリとハマる。

「ぎゃああああああ!」

 味覚をつかさどるその部分に何本もの針を受け、叫び転がりまわる。歯が折れたその男は唇を閉じる事も出来ずに、流涎を撒きながら実に不細工だった。

「ええい、気持ち悪いっスよぉ~」

 手に付いた唾を田中に擦り付けるようにしながら、リズは更に容赦なく殴り飛ばす。そして回復した魔力で火球を作り、

「あんたの臭い愛なんて……消毒してやるっス!」

「グェ~……」

 火球を浴びながら素っ飛んで行った田中の体が壁に激突し、醜いカエルの様な声を出した。


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『悪魔で、天使ですから。inうろな町』(朝陽 真夜 様)

http://book1.adouzi.eu.org/n6199bt/

リズさん



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『以下1名:悪役キャラ提供企画より』


『田中』

さーしぇ様より


お借りいたしました。

問題があればお知らせください。


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