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うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話  作者: 桜月りま
11月30日

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286/531

反省会中です(賀川2)

llllllll

誰?

賀川目線で。

lllllll







 誰かが俺の頭を撫でる。

 幼い時に父がそうしてくれた事はなかった。母や姉の手にしては大きくて、武骨で。体が怠い、そう思いながら何がどうなっているのか……意識が途切れる前の事を思い出し、ハッとした。

「起きやがったか?」

 次の瞬間に頭にポンと氷の袋を置かれた。静かな声。そう思った。

「もう落ち着いたから、腕は離せや、賀川の……」

「あ、はい」

 雰囲気も心臓の音も、全部いつものタカさんだった。俺はそれでも腰に抱きついたまま、タカさんの胡坐の上で寝込んでいたようだ。ギリギリと握っていた為か、指の痛みを感じながらそれを解き、慌てて飛び起きようとしたが、体をそのまま押さえられ、

「俺から腕を離したら、そのままもう少し横になっていろや、賀川の。かなり殴ったし、足、まだ立てないからな」

 俺はタカさんの胡坐を枕にしたまま、色々と確認する。頭には大きな絆創膏が貼られていた。右足には既に包帯が巻かれていて、いつ来たのか八雲先生が居た。八雲先生は左足裏にライトを当てて、ルーペを覗き込む。自分が何かを踏んだにも拘らず踏ん張った事を思いだした。

「無茶させちまったな……」

「くっ……」

 傷みがしたと思ったらピンセットで、カチャリとベースンに血塗れのガラスの破片が落とされる。

「トキ、痛み止めを打つさね?」

「クラウド女史、いや、八雲先生止めて下さい」

「部分麻酔だけでもすると楽になるさね?」

「……足は嫌です」

「頑固さねぇ。足じゃなくても嫌なんだろうさ?」

「……ですけど」

 とにかく自分の力で体が動かない事は嫌いだ。何かあった時に対処が難しい。なのに足を無茶にしたり、腕を折ったり、もう言えた事じゃない。とにかく難癖を付けてもイヤなモノは嫌なのだ。

 悪戯に八雲先生は笑ったが、俺には笑えず、小刻みに頭を振って拒否するとそれを了解し、針先を収めてくれる。

「じゃ。まだかかるから動くんじゃないさ。全く……こっちの足の方が大物を踏んでるから切り開くよ。ま、取れても立つと痛いだろうさね。覚悟しときな」

「うううううっ」

 口に布が放り込まれ、途端、思い切りメスが突き立てられた感触と激痛、見てる子馬の表情が歪んだ。

「き、鬼道、かけましょう。痛みと出血が少し緩くなるはずです」

「お願いするさね。全く寿々樹は今、役に立たないから」

 葉子さんはいない。だがだいぶぐちゃぐちゃになった雑誌が置いてあって、オレが意識を失った後、皆をパコパコ叩いて行ったのではないかと思う。氷枕はきっと作ってくれたのだろう。

 自分で頭の中で音楽を作り、意識を流す。子馬が何かしてくれたのと相まって、痛みが和らぐ。俺はタカさんの足に恐縮しながら体を預け、力を抜いた。

 タカさんはそのタイミングで口を開く。

「で、どう言う事か説明してくれるか? ……カトリーヌ」

 部屋の隅には仔猫の様な小さな白い生き物と膝を抱えている神父がおり、傍らには抜田先生が座っていた。

 先程まではタカさんを煽る口調だった神父は黙ったままで返事はしない。あれだけ殴られ蹴られたと言うのに、殆ど怪我は見受けられなかった。

 ただただ手元の不思議な生き物を眺め、撫でていた。動くのでぬいぐるみではないと思う。もしかしたらロボットなのかもしれないがとても滑らかな動きだ、本物の生物に見える。ただ、どこに持っていたかわからないが。丁度帽子のように頭にでも載せられそうなサイズ。俺と目が合うと暫くジッとこっちを見ていたが、ふん、と、鼻を鳴らし、神父を心配げに見上げた。

「言えねぇ、か」

 暫く待ったが何も返ってこない。時に上目使いでタカさんを見やりながら、香取神父は沈黙した。

 何度も口を開きかけては、手元の白い生き物に視線を落とす。何も、進まなかった。

「もう良い、わかった。……でっかい子馬。この件はもう蒸し返すな」

「え?」

「ユキを守るのに手が要る最中、カトリーヌを失うのは痛い。急な話で取り乱しちまったが……何よりこいつはオレのダチだ」

 その言葉に香取神父は顔を上げた。一瞬だけ、右と左の目が緑と金に輝いて見えたのは俺の気のせいだろうか? つっと一粒の涙が頬を伝う。

 子馬は逆に表情を歪めた。

「でも、もし!」

「もし、何だ???」

 タカさんはぎろりと子馬を睨んだ。

「あん? ユキの回りに誰を置くのか、お前ぇが決める事か? 決めるのは家族オレだ。ユキが未成年で、ココに居る限りは、な。もしそれで香取がアヤシイって言うなら、それからもお前が守れや」

「です、が…………わかりました」

「賀川のも同様だ。オレの判断が間違っているならそれも入れて動け。いいな」

「無茶言いますね……」

「オレを説得したのはお前だろ?」

 荒く俺の頭を撫でながら、そうやって言うと、

「カトリーヌ、ユキを、オレの家族を守ってくれるよな? その為に来てくれたんだろう?」

「……はい。必ず。神に誓って」

「なぁ、いつか。話す気になったら、何故あいつらが死ななきゃ、……お前に殺されなきゃならなかったか……聞きてぇ。それだけは忘れないでくれ」

 どれだけ気持ちを抑え、積年の謎を解く鍵である親友にそれを告げるのだろう。

 神父にその気持が伝わっていないわけではないだろう。微かに息を飲み、それでも言う事が出来ず口ごもる。その頬から顎に伝った涙は、彼の胸に輝く銀の十字架を濡らした。


llllllllll

URONA・あ・らかると(とにあ様)

http://book1.adouzi.eu.org/n8162bq/

るぅるぅの基本設定

(とにあ様宅るぅるぅとは別個体、今日は小型化中)


『以下1名:悪役キャラ提供企画より』

『鈴木 寿々樹』吉夫(victor)様より。名前のみ


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