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うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話  作者: 桜月りま
11月30日

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275/531

清水夫妻の結婚式8(会場外へ)

lllllllll

そろそろ。

lllllllll






 白無垢姿の司先生が感動の『ご両親への手紙』&『他諸々への思い』で感動に包まれた会場。黒紋付の渉先生の表情はもう表現できない感情が渦巻いていて。

 そんな二人が『最後の』お召替えに行ったのを見送りながら、私達はニヨニヨしています。今のスピーチの凄さも残っているんですけれども。

「自転車で出て行ったら、移動、ですよね?」

「素直に乗ってくれるかな? とりあえず一度服を変えるよ。肌を晒した服では森は危険だからね」

 前にベル姉様と夕闇の中、不調を押してゴスロリ服で歩いて行ったと言えずに。私は苦笑しながら一番初めのタキシードとウェディングドレスとは別の服に着替えてきた清水先生二人を私達は迎えます。



 そして…………



「あーっはっは。皆のもの、かかれ!!」



 暗闇の中の高笑いと共に。現れる人影。



「結婚式、誠にめでたいことではあるが、そこにいるマゾ清水が真に我らが小梅先生にふさわしいかについて、小梅ファンの学生たちからは疑問の声が上がっているのも事実である!! うろなの多くの若者の成長を見守ってきた彼女の伴侶としてそなたが相応な存在であることを、この会場に招かれた大人たちだけでなく、うろなの未来を背負う我らにもしかと示すがよい!!!」

「っということで、小梅先生と汐ちゃん、結婚指輪は預かったから、返して欲しかったら、シアンちゃん達を捕まえてね♪ じゃあ、カラスくん、撤収といっちゃおうか」

 こんな劇があって、攫われる司先生とリングガールの汐ちゃん。

「小梅ファンの学生たちからは疑問の声が上がっているって本当ですかね?」

「きっと一部、本当なのかもな」

 私の疑問に賀川さんは考えてから、

「でもちょっと薬品は可哀想だな。あんまり賛成しない」

 攫われた二人を前に、渉先生は動けません。

 何か薬を使われたようです。でもそれを解くのに差し出されたのが『中和剤』ではなく、『解毒剤』って言ってるのが確かに少し怖いですよね。危険はないのでしょうが、毒使ったよって言ってるようなものですから。でもそのくらいしないと、秋に鍛え上げた渉先生だと効かないかもと判断されたのでしょう。

 解毒剤と共にARIKAの娘である渚さんが『超力電動ハイパーアシスト自転車』を差し出して。渉先生は言われるままにその後を追って行きます。

「大切な花嫁を奪われたとは言え、あのノリは元来のノリなのか、もしかしたら薬品で多少思考能力か判断能力鈍らされてるのかもな。誰かが車を出して追う方が早いだろうに。気付かれたら面倒か。さ、こちらも準備にかかろう」

「そーっスね。その前にユキちゃんから手を放すっスよ? 賀川さん」

 ひょっこりと背後に現れたリズちゃんは、私の手を賀川さんから奪い取りながら、

「森組は一度服をハイキング用にするっスよ。タカさん達荷物搬入組もよろしくお願いするっスよ。学生組は既に森の入り口から出発したッスからね」

「行くぞ、ヤローども。作業服に着替えろ。タダ酒飲ませだけに来たわけじゃねーからな」

「ういーっす」

 工務店のお兄様二人が返事します。もうタカおじ様は酔いが抜けたみたいですよ。良かったです。

「空さんも着替えに行くっスよ」

「あ、はい」

「鎮く……いや、ロリマ……じゃなくて、白色カラスマントが気になるっスか? 大丈夫っスよ」

「見惚れていたんですよ、きっと」

「えっ!? あ、あのそのっ、そんなんじゃなくて、ですね」

 さっきの攫う口上役の鎮君……じゃなくて、白いカラスマントさんの方が、空さんの恋人のようです。空さんはARIKAの娘の一人。とても美しい声で先程も歌っていました。羨ましいです。

 私達は服を着替えます。いつものワンピはやはり身軽です。空さんは学校のジャージのようです。

「そんな軽装で行けるんですね。もっと行程が大変かと思っていました」

「森は流れに乗るように行けば、そんなにきつい所じゃないですよ」

「空さん、ユキちゃんの言う事、真に受けちゃダメっスよ? 空さんは基本歩かせないっスけど」

 私はコテンと小首を傾げます。

「気を付けていくんだぞ、ユキも、空も。タカさんも色々と、そのご迷惑かけます」

「ん? ああ、賑やかな事は嫌いじゃねーからな。じゃ、ちょっくら行ってくらぁ。葉子さん、ここは頼んだぞ」

「ええ、梅雨ちゃんもお見送りしてね」

「なぁ~♪」

「抜田先生と私の生徒達が先行しているんでよろしくお願いいたします」

 こうやって葉子さんに梅雨ちゃん、それから『ある人』に私達は丁寧に見送られながら、モールの送迎専用車で森の入り口に移動し、そこからは徒歩です。

 森は色付き、紅葉の美しい季節。盛りと言うには少し外れていますが、この森の美しい季節の一つです。

 途中、先に出ていた学生集団と合流しました。

「ま、まだ歩くんですかねぇ」

「はぁはぁ……足は草が巻き付くし、ぬかるみは多いし」

 皆さんもう疲れかけている様子です。雨でもないし、昔と違って橋になった道も使っているし。何より紅葉も綺麗ですから、歩くには良い環境と思うのですが。

「マジ、疲れたんだけど。何で歌姫(セイレーン)だけ背負われてんだ」

 そうそう、空さんはタカおじ様の背負った『しょいこ』に乗って移動です。

「あ、あのっ。私、大丈夫ですから。降りて、歩きますから……」

「駄目っス! 空さんは今日の歌姫だから息を切らしたり困るっス」



 実は森の入り口ではしょいこで空さんを運ぶのは賀川さんの担当の予定だったのです。

「で、乗ってくれないかな?」

「そ、それは。え、でもあの……」

 でも空さん、何故か私を見て

「そ、それに私だけ背負われるのは……」

 ぶんぶん手を振り赤面しつつ断るのです。しょいこに乗るの恥ずかしいみたいです。

「空さん!」

「は、はい」

「しっかり歌ってもらうんスから、体力、温存しとかなきゃダメっス!」

「でも、その」

「ああ、賀川さん、におうっスもんね」

「あのあのあのっ……そんな事では! な、なくてですね、リズさん」

「酷いな、俺の扱い……」

 賀川さんは地味に落ち込んでいましたよ。

「じゃあ俺ならどうだ?」

 タカおじ様が賀川さんからしょいこを取り上げ、

「ほれ、時間ねぇ~かんな?」

 アワアワして赤面している空さんをひょいと椅子部分に腰掛けさせると、さっとベルトで固定して、背負って歩き出してしまい、今に至ります。

「嬢ちゃん一人、問題ないぞ」

 タカおじ様が余裕の表情で笑います。

「あの構図は……山の少女の親友ソララのようではないか」

「ソララが立った! ではなく、ソララが歌った! と言うのか?」

 荒い息を付きながらも会話しているので、元気な人は元気なようです。

「早く着かないと着替えとかもあるんで頑張って下さいね」

「な、何でそんなに軽く動けてるんだろうね、あの白髪の子」

「きーつーいー」

「誰だ、森林浴程度の行程って言ったのは」

「おめぇら! 荷物は俺んちのが持ってやってんだ! 早く動けやっ」

「工務店のおっちゃん怖ぇっ」

 タカおじ様が追い立てるように進み、先に学生を引率していたバッタのオジサマがタカおじ様と隣に並びます。

「水分補給は欠かさない様に。……しかしこれだけの人数を森の家に案内したのは少々不味かったかもしれん」

「何故だ、清水先生達には出来るだけ、縁の地を回らせたいと言うおもちゃ屋次男の要求に、ユキが答えたんだが」

「ユキ嬢ちゃんが普通の娘ならな。彼女にとってあの森の家は隠れ家になる。だが今回のこれでその意義は失われたに等しい」

「大丈夫ですよ。バッタ君」

 ひらっとどこからか現れたのは、神父のカトリーヌ様でした。

「普通の体力や能力であの家まで引率無しに歩くのは普通じゃないですし」

「だが後から痕跡等は消したほうが良いな」

「設置した縄や梯子などは間違いなく処分を。でも来る時はどうやっても来るでしょうからぁ。ただ沢側からルートで新郎が来るんですよねぇ。そちらは侵入時間が今までを考えると恐ろしい時間短縮ですから使う可能性が高いと思いますよぉ。実際ねぇ……」

「あの沢を超えたり跳んだりが、可能なくらいの敵は想定しておけって事かよ?」

「ですよ、投げ槍君。私は昨夜からの成果をちょっと確認と、情報流出させない様にアミをかけてきます。決まったルートはほぼ安全ですから、ここで抜けますよ」

 そう言ったかと思うと、紺色の服を揺らし別の小道を抜けて行きます。

「あの、もしかして、ご迷惑をかけたでしょうか」

「イイって事よ。どうせうちに居りゃ、居場所はすぐに特定できるんだしな。冬になれば雪が積もって使えねぇから、春の頃には道も生い茂っている事だろうよ」

 タカおじ様が二カッと笑って私の不安を消そうとしてくれます。賀川さんも結構な荷物を背負っていますが余裕の顔でその会話に頷いてくれます。

「ユキ嬢ちゃん、俺と一緒に先導頼むぞ。君がふわふわ歩いてる方が森が楽に見える。さ、早くしないと、このペースじゃ、時間に間に合わないかもしれないから。今はイベントの成功、だろう?」

「は、はい」

 出来るだけ出来る事をしないといけませんよね? 私はバッタのオジサマの言葉に促されて先頭に付くとなるべく楽そうなルートを選んで、美しい紅葉の中を歩いて行ったのでした。

llllllllll

"うろな町の教育を考える会" 業務日誌 (YL様)

http://book1.adouzi.eu.org/n6479bq/

清水先生夫妻の結婚式の設定

清水先生夫妻、梅雨ちゃん


「URONA・あ・らかると」(とにあ様)

http://book1.adouzi.eu.org/n8162bq/

カラスマント シアン君


キラキラを探して〜うろな町散歩〜 (小藍様)

http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/

汐ちゃん 渚さん 空さん


悪魔で、天使ですから。inうろな町(朝陽 真夜様)

http://book1.adouzi.eu.org/n6199bt/

リズちゃん ベル姉様


他学生さんの声。


台詞などだいたいYL様の結婚式流れに合わせていますが、

http://book1.adouzi.eu.org/n6479bq/106/

この辺りです。


問題があればお知らせください。

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