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うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話  作者: 桜月りま
11月30日

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270/531

清水夫妻の結婚式3

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葉子から眺めてみます。

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「それでは新郎が入場します。拍手でお迎えください」

 予定通り始まる結婚式。披露宴と言った感じが強いわね。絞ったようだけれど、うろなではチラチラと見た顔がずらっと並んでいるのは壮観だわ。全員が全員を知っているわけではないけれど。たぶん私の事を知っている人は少ないわね。

 朝から着付けやら細かい指示で五月蠅いオバサンやってたら、私の事を知らない子達からは『メイド長』なんて呼ばれちゃったわ。ま、いいの。言ってちゃんとしてくれる子達だったから。こういう晴れ舞台は何事も滞らせちゃダメ。

 今日は夕方まで。二部構成の随分『長丁場』だから、小梅先生を出来るだけ疲れさせないのが私の役目だしねぇ。お腹の子達を驚かないようにしないとね。

 司会の目配せで始まったそれに添える賀川君の演奏。初めて聞いたのだけど本当に上手いの。でも上手いからこそこういう場所で、人を引き立てて目立たないように弾くって難しいと思うわ。

 ピアノは昔、よく聞く機会があったけれど、その人の感性っていうか、改めて素敵だと思うのよ。私は全く弾けないし、隣のタカさんはちょっと驚いた感じだわ。

「本当に弾けやがんだな」

「もどってきたら褒めてあげて下さいよ?」

「やっぱり俺にゃ音楽はわからん」

 そう言いながらもニヤッと笑い、

「悪くはないようだな。ココの建て作りも音響用にしっかりしてやがる。しかしこの頃、具合が悪そうだったのは緊張してやがったのか?」

「さぁねぇ」

 そんな会話をしているうちに清水先生が入場するわ。

「清水くん、男前!」

「渉くん、もげろー!」

「佐々木くん、素直に祝福したりや。」

「渉、いいぞー!」

「ワー君、しっかりねー!」

 いろいろと声と拍手が飛ぶ中、ヴァージンロードの傍らには男性陣が並んでとても賑やかね。女性陣の目もキラキラよ。

「続いてブライズメイドの皆さんが入場されます」

 ユキさんはこれに含まれるのね。

 ベビーピンクのドレスを基調に、オレンジやピンク、水色など、それぞれのイメージカラーのリボンをチラリと織り交ぜたドレスは、皆ラッピングプレゼントの様よ。スカート丈やレースの配置で、可愛らしさや艶やかさまで見事に個性を出しながら、統一感もある衣装。

 これを作った果穂先生は凄いと思うわ。デザインにはユキさんも参加したらしいけれど、『どちらかというと、私は皆さんのアイディアを絵にしただけです。それを形にした果穂先生達が凄いのです』だ、そうよ。

「田中先生、流石ー!」

「澄君もメロメロよ!」

「ユキちゃん、賀川さんが見てるよー!」

「萌ちゃんも可愛いー!」

「あーきーはーらーさーんーーー!!!」

「叫びすぎや佐々木くん」

 女性の可愛い姿はやはりいいわね。

「ユキさん綺麗ね」

「オレの娘だからな。ただちょっと丈が短すぎやしねぇか?」

「あら、足がスラリと見えて素敵よ。賀川君もきちんと着こなしてるわね」

「アイツはもともとは育ちは悪くないんだろうよ。だが簡単にユキはやらんぞ」

 私達が喋っている間にも、

「続いてフラワーガールの皆さんが入場されます」

 次は可愛い小さい少女達。花を撒いている姿が微笑ましいわ。

「三人ともこっち見てーー!!」

 あの子達のママさんでしょうね、とっても嬉しそうに少女達が笑うの。

「そしていよいよ新婦が入場されます。いっそうの大きな拍手でお迎えください!」

 注目が本日の主役である彼女に注ぐようにピアノが音を若干変え、大きく開かれた扉の向こうには小梅先生。

「「「「おおおおーーーー!!!」」」」

 隣には凍った表情の体格のいい紳士が彼女をエスコートするわ。

「綺麗だな、小梅ちゃん」

 タカさんが呟くのよ。

「さえちゃんも着せてやりたいがな」

「そうねぇ。でもぎょぎょさんが乗り気じゃないのよ。アレだからねぇ。ドレスの引き立て役とでも思って覚悟を決めてくれると良いのだけど」







 今日、ぎょぎょさんと冴ちゃんもこの会場に招かれているのだけれど、招待状を清水先生が渡す時にまぁ驚いたみたいよ。彼の弁護士事務所で差し出された招待状。

「遅くなりましたが、招待状です。こないだの試合で剣の指導、試合の主審を引き受けて下さり、誠にありがとうございました。でも司さんのお義父さんと幼い時からの知り合いって、正直驚きましたけど」

「まさかコロッケ甚平が父上の幼馴染なんて思いもしなかった……」

「俺もこまし勝也の子供が、こんなに小さく育っているとは思わなかったな。お使い少女。嫁も立派な女で、並々ならぬ気配はアイツの子だと聞けば納得がいく。どうしてそうコンパクトになったかがわからんが」

「褒められているのか貶されているのかわからないんだが、コロッケ甚平」

 その時に差し出されるお茶。

「先生達、ご結婚おめでとうございます。この前の試合の粘りは素晴らしかったですわ。どうぞ」

 冴ちゃんが差し出したお茶を啜りながら、清水先生が聞いたらしいのよ。

「試合見て下さったんですね。でも、あの、新しい事務員さんですか? どこかで見た事があるんだけど」

「……嫁の冴だ。籍はほんの数日前に入れた」

「ばはっ! ごほごほ……と、魚沼先生、結婚したんですか! こないだまで腕にぶら下げていた子供はどこに行ったかと思えば、次は嫁って! ととと、年幾つ違うんですか? 俺達の比じゃないでしょ!」

「渉、汚いぞ」

「…………倍、だな。だいたい。二十ちょっとだ」

 照れているぎょぎょさんの前で冴ちゃんは頭を下げて、

「旧姓は時貞 冴と言いますわ」

「とき? ……時貞って細密電子TOKISADAの女社長じゃないですか! 経済誌で見た事が……」

「そうなのか? 渉。この女性があの大会社の社長? 私はどちらかというと、あの腕の下がってた少女に似ているような気がしたのだが……」

「今は父に代表を戻して、私は退陣しておりますのよ。私、いつも魚沼に付いていたいのですわ。あの魚沼に下がっていた子は、私の遠縁の子ですわ。お気になさらず。それよりも弟のあきらが大変世話になっているようで」

「弟?」

 二人が首を傾げたのを見澄ましたように、

「時貞 玲。賀川急便の一番賀川と言った方がわかり良いかもしれませんわね」

「うっ! ごほごほ……賀川、あいつの姉が元会社社長だと……てか、大企業の……そう言う家庭環境でピアノか……」

「司さん大丈夫ですか? 苦しげな顔も素敵です……じゃなくて、と言う事は、賀川君の義理の兄が魚沼先生!?」

「うぬ……」






 こんな会話の後で、夫婦御一緒に参加して下さいと声掛けがあったのだそうよ。

 そんな事を聞いたのを思い出しているうちに、小梅先生のベールを持った西洋人形の様な少女達を見送って。

 新婦の隣の鉄面皮の男性は、小梅先生のお父様。とても緊張しているのか、照れくさいのか……何より大切な娘を貰われていく、その事に嬉しいやら悲しいやら、涙をこらえているのかもね。そこと入れ替わって新郎が立ってエスコートしていくわ。



 そして入場のピアノ演奏を終えて、ほっとした感じの賀川君とユキさんが隣り合わせの席に座るわ。ユキさんはすぐに小梅先生のお着換えに付いて行くとかで忙しそうだけれど、しっかり何か言っていて。しれっとユキさんの手を取ってキスしてたの、タカさんが睨んでいたのに気付いたかしら? いや、あれはアピールなのかもね。

 始まったのはケーキ入刀。

 変則的なパーティね。

 その後のケーキの写真を撮ったり、乾杯の音頭はタカさんが取ったりしたのだけれど、

「あー、本日は実に素晴らしいヘディングで」

 何て言うモノだから、

「タカさん、ウェディングですよ」

 って、突っ込んじゃったわ。

「む・・・、とにかくめでたい! 乾杯!!!」

「「「「「乾杯♪」」」」」



 さ、食事をしたら、猫の梅雨ちゃんの様子を見に行こうかしら。

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"うろな町の教育を考える会" 業務日誌 (YL様)

http://book1.adouzi.eu.org/n6479bq/

清水先生夫妻の結婚式の設定

清水先生夫妻、清水母姉、梅原勝也氏、小林先生家族、萌ちゃん、田中先生、高原直澄さん


ばかばっかり!(弥塚泉様)

http://book1.adouzi.eu.org/n1801br/

佐々木さん、香我見さん



『うろな町』発展記録(シュウ様)

http://book1.adouzi.eu.org/n6456bq/

秋原さん


「URONA・あ・らかると」(とにあ様)

http://book1.adouzi.eu.org/n8162bq/

芹香さん、みあちゃん、のあちゃん、お母さん達



くるみるく(パッセロ@大学受験突入様)

http://book1.adouzi.eu.org/n9319bq/

くるみちゃん、みるくちゃん


だいたいYL様の結婚式に合わせていますが、

http://book1.adouzi.eu.org/n6479bq/102/

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