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うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話  作者: 桜月りま
11月18日

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245/531

遭遇中です2(涼維君)(ちらり悪役企画)

lllllllll

人がいっぱーい。

あ。

llllllll







「どうしたの、ユキ君?」

 商店街を歩いて行くと、混雑していましたが、その中に自分が知った顔を見つけて。私はふわふわと近寄って行きます。

「こんにちわ、あ、もう、こんばんわ、かな? りょーい君」

「あ、ユキさんだ」

 彼は昔水族館だった建物に住んでいる双子の小さい方の片割れ君です。今居るのが涼維りょーい君。今居ないのが隆維りゅーい君。

 納涼会や、森の家でも会った事があります。ちなみに大きい方がしずめ君と千秋ちあきさんです。

 あそこはいろんな人が住んでいるので、私には誰がどういう繋がりなのかはよくわかんないのですけれど、皆血縁とかなのかな? うん、きっと大きな意味での家族と言うのでは、私の住むタカおじ様の家と同じなのでしょう。

「ユキさん、後ろ……あの、はじめまして。pastoralパストラス……、神父様、えっと、牧師様?」

 涼維君が私の後ろに立っていたカトリーヌ様を見て、そう聞きました。

 紺の長いローブに十字架、手には分厚い本があって、宗教系であるのはすぐに見て取れます。

「香取です。カトリーヌとも呼ばれていますのでどちらでも。僕はカトリックなので、神父ですよぉ。でも宗派よりもその心が穏やかであるなら、呼び名など取るに足らないのですよぅ」

 そう言ってにっこりカトリーヌ様が笑うと、涼維君もにっこりしています。

「カトリーヌ様はタカおじ様の幼馴染で。絵も描いていて、私の憧れの方なのです」

 カトリーヌ様には私が『知り合いの双子の子なんです』と言うと、静かに笑っていました。

 涼維君は更に興味深そうにカトリーヌ様を眺めています。

 もしかするとタカおじ様より、凄く若く見えますから『幼馴染』って言うのが不思議だったのか、それとも何か思う所があったのかもしれません。

「あれ? ね、りょーい君、りゅーい君は? 一緒じゃないの?」

「ああ、うん……」

 尋ねると、そう言って口ごもるので、よく聞いてみると隆維君、夏の頃に海で溺れてから体調を崩しているらしいのです。手には食べ物が入った袋。たぶん隆維君が食べられそうなモノを選んで買って来ているのじゃないでしょうか。

 もう片方の袋には本が入っています。それらを見ているのに気付いたのでしょう。

「あんまり疲れさせてもいけないんだけど、寝てばっかりだと退屈だろうから」

 そう言って涼維君は説明しながら、

「じゃ、俺、行くね?」

「はい。りゅーい君にお大事にって言って下さいね?」

「神が兄弟の病を癒し、安らぎを授けん事を」

 カトリーヌ様は涼維君の額にそっと触れてそう言ってお別れして、私達は歩き出しました。



「心配?」

「……時間を見てお見舞いに行こうかと思います。早い方が良いかなぁ」

 何かお土産持って行った方が良いよね? 何が良いでしょう? 食べ物も本もあるようですし。

「何を持っていったらいいでしょう?」

「特に何も持って行かずとも、きっと気持ちだけを包んで行けば、それで満たされるでしょうけどねぇ。けれども貴女の心配する気持ちが籠っている物を手にすれば、尚、嬉しいかもしれません」

 気持ちを込めるって言うとやっぱり絵を描くくらいしか思いつかないけれど、どんなのが良いかな? そう思って首を傾げていると、カトリーヌ様が笑います。

「その表情、やはり君はアキ君に似てるよ」

「あ、その事なのですが……母を閉じこめ……」

 私が質問しようとした時、ふと視線を感じて。その先に居たのはおかっぱの少女。そしてその手を引く長いおさげの少女。おさげの少女の顔は見えませんが……

 私の表情が変わったのに気付いたのか、カトリーヌ様が私を覗き込んできます。

「どうしたんですぅ?」

「あの、今、そこに……こないだ連れて行かれた時に見た、小さい女の子が……おかっぱの」

「どこだい?」

「あれ? もう居ないです」

「そうかぁ、人が多いから見間違いだといいけどね。僕が側に居るから何も怖くないよぉ。さ、ユキ君、早く中に入ろう」

 カトリーヌ様は私をローブの袖の下に招き入れるようにして、肩を抱いて動き出します。まるで何か大切な物を運ぶようにうろな工務店の事務所前まで連れて来てくれます。私が変な人に狙われている事は、タカおじ様の仲間内では完全に広まっていて、皆警戒してくれているのです。有難い事です。

「僕はちょっと辺りを見て来るよ。投げ槍君、なんか変な人影を見たって。見回って来るね」

 そう言って事務所に私を押し込むとすぐに紺のローブを翻し行ってしまいます。

「ありがとうございます、でも気を付けてなのです。ただいまなのです」

「おう、ユキ。大丈夫か」

「大丈夫です、ちょっと見かけただけですから」

 タカおじ様は私の顔を真剣に見て、特に変わりがないのを見てホッとしたように笑います。まさか先程までタカおじ様の膝の上で『彼女』が笑っていたとも知らずに。

 タカおじ様は私の頭をそっと撫でてくれます。

 その手にはサポーターが巻かれています。

「どうかしたのですか?」

「ん? ああ、ちょっとな。昔はこんな事はなかったんだがな、最近ヤワでいけねぇな」

 数日前、葉子さんが狙われて。その頭を吹き飛ばすべく渾身の力で放たれたトンファでの殴打を、素手で受けた為、その鬱血を隠していたのですが。私はそんな事は知りませんでした。

「もうすぐ仕事が終わるからな。待ってろよ」

「はい、ゆっくりでいいですよ、ちょっと下書きとかしていますので」

 私はスケッチブックを取り出し、家に帰ったらすぐに描ける準備を始めたのでした。


llllllllllllllll


URONA・あ・らかると(とにあ様)

http://book1.adouzi.eu.org/n8162bq/

日生涼維君 隆維君 鎮君 千秋君


pastoral→涼維君は昔ギリシャの辺りに居たとの事で、

雰囲気の為にギリシャ語を発音的に英語表記させていただきました。

英語のpastorの打ち間違いじゃないです。



お借りいたしました。

問題あればお知らせください。


『以下3名:悪役キャラ提供企画より』


紫雨しう』とにあ様より

奈穂なほ』パッセロ様より

桜嵐さくらん』呂彪 弥欷助様より


ちらり。

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