着席中です(喧嘩もいつか)
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前回で『ユキ奪還戦』後始末まで粗方終了しましたが、小藍様宅の『汐ちゃん奪還戦』(30日付)続いております。
内容的に混乱? を避けるために注意文を付けておりましたが、当方戦闘終了、後始末大方の終了に伴い、この回で注意文掲載終了とさせていただきます。
小藍様の所ではまだ緊迫した状態が続いています。そちらも引き続きお楽しみください。
小藍様、色々ありがとうございました。以降も『色々』と宜しくお願いいたします。
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タカ目線です。
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賀川の冷や汗と顔色が悪いのが気になるが、出来るだけ落ち着いた口調でユキを迎えた。
「ここに座れや」
「はい、タカおじ様また心配をかけてしまったみたいで」
「言うな、それはおめぇのせいじゃない。何とも……なかったんだろ?」
これはズルい聞き方だ。何かあってもユキが口を閉じてしまう。だけど、彼女の掌以外、肌には傷も何もなかったというから、ない、にしてしまいたかった。もし、アキヒメさんのように……それだってオレの妄想だと思いたい。ならユキは誰の子だ? 刀流の『俺の子じゃない』と言った言葉がぐるぐる巡って、答えのない渦に巻き込まれる。
その気持が押して、つい、そうしてしまった事に謝ろうとしたが、その前にユキが笑ってくれた。
「大丈夫です。少し怖かったですが、よくわからないうちにココに居て。天狗さんが助けてくれました」
ヒラヒラと振る手には絆創膏。何もなかったわけじゃない、不用意な言葉で彼女の心の傷を放置してしまった気がする。だがその笑みに聞く機会を逸してしまった。平気と言う相手に、傷に塩を揉み『痛いだろう?』と聞ける訳がない。
「天狗、……そうか、無事なら良い」
賀川のが上手く言いまわしての『大丈夫』だと信じよう。オレは奴の顔を見上げ、
「おい、賀川の、これ」
そう言って、オレは賀川のにペットボトルを渡した。
中には八雲さん特製の薬が入っている。本当なら寝床に叩きこんでおきたいが、賀川のはそれを良しとしなかった。ユキに負担がないならと彼女のしたい事を優先させようとしている。八雲さんは『一週間で治まるとは言ったけれど、今日は座っているだけで苦しいはずさね』そう言って呆れながら補助の薬を調合してくれていた。後、少しでも早く回復できるように知り合いに頼んでみると言ってくれた。
「今日一日はそれで持たせろ、明日診せに来い、だ、そうだ」
「え、はい」
賀川のは座って口にした途端、驚いた顔をしていたから、何かしら効果があったのだろう。ユキは鞄を漁っていたから、それらは聞いていなかった。
「賀川、お前、ちょっとツラ貸せ。ユキ嬢ちゃん賀川を借りるぞ」
「え、あ、はい?」
「はい、抜田先生」
賀川のはバッタから暫く少し離れた所に連れて行かれ、何やら話していた。
二人が席に戻った時、ちょうど会場は動き出す。親子喧嘩の始まりはマイクの第一声だった。
「レディース、アーーーンド、
ジェントルメーーーーン!!
ただいまより義父子デスマッチ、
2時間一本勝負を執り行います!!!」
そんな出だしで始まったのだが、カーテンが閉まって、光の演出はあるわ、音楽が流れるわ、別世界に迷い込んだ気分だった。これは本当に一市民の剣道、それも私的試合とはもう思えなかった。
清水の先生に、今日の相手である梅原勝也……小梅ちゃんの父親の名前が呼ばれて、双方出てくる。
解説者の様なのがいて、さっき話に出ていた天狗仮面がそこに座っている。ユキの事で迷惑かけたようだから挨拶に行くかと思ったが。今日は関わり合いにならない方が良いかもしんねぇ。
とにかく盛り上がっちゃいる。
「青コーナー、
178cmーーー、
70.3kgーーー、
うろな町に舞い降りた究極のど変態にして、
敏腕連携担当、
うろな中学校国語教師にして、
新婚ホヤホヤのリア充野郎、
清水、わたぁーーるぅーーーー!!」
その後に続く声援が、『マゾ清水ーーー♪』だったり、『ロリ清水ーーー♪』だったりする。愛されてんな、と思う。たぶんな。
「赤コーナー、
187cmーーー、
89.5kgーーー、
剣道九段教士、
全国制覇も成し遂げた
剣道界の生きる鬼神、
清水先生には悪いけど
生で見れるのが嬉しいぞ、
この野郎、
愛する一人娘をゲットされた
怒りを目の前の若造にぶつける破壊神、
梅原かつぅーーーーやーーーーーー」
それには『二人とも怪我しないようにねーー』っと、嫁さんらしい女性から声がかけられる。
この騒ぎを静観できる嫁、葉子さんを上回る大物だな。
そんな事を考えていると、二人の副審に続き、ぎょぎょが主審で呼ばれたはいいが、
「そして主審を務めてくださいますのは、
梅原勝也の幼馴染にして、
清水先生の師匠のお一人、
最近ロリコン疑惑が発生中のエロ河童、
弁護士、魚沼鉄太!」
こんな説明だったから、他人のふりをしておく。
ユキの事で頭がいっぱいで、冴ちゃん、腕にぶら下げさせたまんまにしていたオレも悪かったが。五十五歳の男の腕に、真っ黒な髪の十に満たない可愛らしい少女。奴が独身なのは商店街のやつらなら誰もが知っている。質実な奴だともわかっているはずだが。見た目がどうやっても犯罪の匂いがする。または……じいちゃんに甘える孫娘だ。似てなさ過ぎてそれも難しいか。
「仮に痴漢冤罪で捕まっても助けてやらんからな。……冴、終わるまで離れていなさい」
「……わかりましたわ。そのかわり、こんど温泉ですわよ?」
「ぅぬ」
ニッコリと離れて行く冴ちゃん。温泉って何だよ?
「そのロリッ子はマジで何なんだ!! 河童がモテるなら、俺も河童になりたいぜ、チクショー!!」
カッパになってもモテないぞ、司会者。頭を磨け、皿じゃないぞ? ……中身な。
一時を刻んで始まった試合。
最初は清水の先生が奇策とも言える蹴りや動きで相手を翻弄していた。それとて達人である梅原のオヤジさんの中じゃどうなんだろうか。
「清水先生、守りにいかない!?」
賀川のは驚いたようにその動きを眺めていた。ユキにゃ早くて見えていない。ぽーと言った表情でそれらを見ていたが、途中から賀川のばっかり見て、小首をかしげていた。
うろな天狗の仮面の秘密 (三衣 千月様)
http://book1.adouzi.eu.org/n9558bq/
天狗仮面様
"うろな町の教育を考える会" 業務日誌 (YL様)
http://book1.adouzi.eu.org/n6479bq/
清水先生、決闘の日会場内、試合開始!
うろな町、六等星のビストロ(綺羅ケンイチ様)
http://book1.adouzi.eu.org/n7017bq/
須藤さんの試合での司会を
お借りしました。
問題があればお知らせください。




