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うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話  作者: 桜月りま
10月27日

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続・終結中です(うろなの平和を守る者)

『現在小藍様の所で汐ちゃん奪還戦(30日付)に賀川参加中。当方現在27日『ユキ奪還戦』は『汐ちゃん奪還戦』より少し前の話になります。混乱するかもしれませんが各々別日の話になります。お楽しみくださいませ』


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 外に出ると借りた自転車「ぶれいぶ号」は無く、小天狗達が取りに来てくれたのか小さな足跡がソコにあるだけだった。どうやって追って来たのだろう? それにしても……きっと天狗仮面に怒られただろうな、四人とも。

 俺、と言うより、天狗仮面とユキさんの心配して来てくれたのだろうが。

 きっと危険だからと天狗仮面に来ない様に言われていただろうに。自転車がなくなっているのだから元気に帰って行ったのだろうけれど。何かで彼らが巻き込まれる事が無くてよかったと思った。

 今回のやり口はベタだったが、最後に現れた和衣装の二人組の撲殺、そして遺体消去の力はこれから迫りくる敵の恐ろしさを滲ませた。

 俺の足がおかしいのは天狗仮面も知っていたから、普通、彼の気性ならば無事家に帰る所まで見送ってくれただろう。だがそうしなかったのは、俺が彼にユキさんを任せ、新たな敵を深追いさせない為であり、周辺まで来ている小学生を安全に退避させる為だろう。

 天狗仮面が去ったのに、ユキさんを放置して敵を追うと言う選択肢は俺にはない。だが足がこんなであっても、ユキさんを天狗仮面に任せられるなら、忠告は深く受け止めても、俺は後の憂いとなりそうなその影を追っただろうから。

 そこまで俺の心理状態まで細かに気を回し、動ける天狗仮面の思慮に心の中で頭を下げつつ、何とかユキさんを抱きかかえた。




 彼女を抱えて歩いて行く。足に痛みはないがバランスが取れないから、ゆっくりとゆっくりと。

 この現場から出来るだけ離れたい。

 ココで目覚めるのはユキさんには辛いだろうし、いつこの場所にあいつらが戻って来るかもわからない。だけど天狗仮面のマントが体を覆っているとはいえ、この裸よりも加虐心を煽る様な色気のある姿を他人に晒したくはない。余り人目の付く所には出られなかった。

 俺はずるずると足を引きずりつつ、さっきとは別の入り口を目指した。というか引きずっているのも音で確認しているだけだ。感覚が戻らない。太ももにあった感覚も消え、足の付け根の筋肉が腹に響く感覚だけでどうにか動かし、歩く。入口が僅かに見えた辺りでその草の中に埋もれかけたベンチを見つけ、腰を掛けた。土や草からはまだ湿り気を十分感じるが、座面は数日前の雨を思わせることなく、もう乾いている。

 すやすやと何事もなかったこのように眠るユキさん。頭を殴られたと思ったが、電流でも流されたのか外傷はない。金剛、あいつの万力で殴られていたら、ユキさんの頭もアイツのように飛んで行ったかもしれない。考えるとゾクリとした。

「あの頭、どこ行ったろうか……」

 捜して処分すべきだろうが、もうそこまで体力はなかった。

 俺は頭を巡らせ、無線に出した偽の『k要請』を解除してもらい、後程報告書を上げると言って適当に話を打ち切った。

「ああ、始末書かな……あ、タカさん?」

 次に無線を携帯に切り替え、なるべく明るい声で話し始める。

「あのですね、葉子さんに服を買ってきてもらいたいんです。……いや、俺のじゃないですよ? でっ、出来れば今朝着ていた服と同じ。そうです。それから包帯か何か足を固められる物をお願いしたいんです。そ、それは俺のです。……何があったかって? いえ、その………………」

 事情をなかなか口に出来ず、誤魔化しては見たが、どうせ無駄なので『ユキさんが攫われ、無事奪還した事』を告げる。電話口で聞いただけで背筋が寒くなる様な低い声で、

『馬鹿者が………………』

 ああ、俺殺される、さっきのアンドロイドにしたのなんか目じゃないくらい潰される、そう思った。だが、

『………………で、どれくらいだ?』

「はい?」

『どれくらいお前は具合が悪いんだ……』

「ああ、えっと……」

『…………………………あぁっ! 何言ってっかわかんねぇや……もういい。なるべく早く行く。場所を言え』

 押さえた怒りの声。本気で怖いが……来てくれるなら、それでいい。もう自分で動くのは無理で、タクシーなんて使ってユキさんを他人に晒すのはまっぴらだ。その前に不審者扱いで警察に送り届けられるだろう。



 連絡を終えるとユキさんを眺める。不謹慎だが、可愛いスカートの破れてる隙間から見える太ももやら、胸の谷間やら……見たくなくても……いや間違いなく見たいんだが、間違いなく見ちゃいけないんだけれど、見てしまうから、空を見上げる。まだ昼までには時間があるようだと考えながら。

 やっぱりユキさんを見て居たくて。そういう所じゃなくて、真っ白な髪の毛が揺れるのを見て、その顔を見て、その体がベンチから落ちない事だけ確認して、……安堵する。

 その途端に、頭の上にばさばさとお馴染みの音が下りてきた。たぶん俺、笑っていたのかな?

「お前か。ドリーシャ。助かったよ」

 その後しばらく俺の頭に居座っていたが、見慣れたタカさんの会社のバンと俺の軽、二台がやってきたらソワソワし始める。

「またな」

 そう言うと、ドリーシャは答える様に頭上をトットットと、一回転してから空に消えた。

 それにしても葉子さん、運転出来たっけ? 首を傾げた。先に降りてきたのはタカさんだったが、葉子さんは慌てて降りてくると毛布を広げてユキさんにかけた。

「タカさん、バンの後ろにユキさんを乗せて。着替えさせるから」

 軽の運転席から誰かが下りたが、ちょうどタカさんがユキさんを毛布ごと抱え上げたのに隠れて誰か見えなかった。

 俺はついて行こうとしたが、

「…………………………動くな、いいな」

 余りに怖くて、動けたとしても動けない。その目つきが尋常じゃなく恐ろしい。いろんな人間のそういう凄みを見てきたが、やっぱりこの人のソレは最上級クラスの恐ろしさを誇る。この人を怒らせてはいけない、そう思うがもう怒らせてしまっているから仕方ない。

 暫く俺はそこで一人待つ。暫くすると、声がする。

「ユキは大丈夫なんだな?」

「ああ、心配性のオヤジみたいだよ、まったく。刀流ちゃんのちっさい頃の様じゃないさね? 意識が戻ってないのは気になるけれど、掌の傷くらいで後は大した事ないさね。ただ、心は、わかんないさ」

「とりあえず助かった、八雲さん。次はあいつを見てくれるか?」

 俺は目を疑う。

 タカさんの隣には髪をサッと結い上げた、きりりとした目つきの眼鏡の女性が居た。黒のパンツスーツに日本人女性にしては少し長身。俺が見なれた白衣は着ていないが、

『D……Doctor Curaudo! Why are you in Japan now?』

 つい反射で英語が出たが、タカさんが険悪な顔をしたので、

「い、あ、あの、何で、クラウド女医が居るのか、と」

「こ、こっちがききたいさね? 前田、お前の子飼いって……とき?」

「ああん? おめぇら知り合いか?」

「とにかく診るだわさ。また無茶をしたんだろうさね、この坊主は?」

 そう言って俺の体を診てくれた。

 彼女は『エンジェルズシールド』でたまに世話になっていたクラウド女医だった。





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うろな天狗の仮面の秘密  (三衣 千月様)

http://book1.adouzi.eu.org/n9558bq/

天狗仮面様、小天狗達とその自転車……


キラキラを探して〜うろな町散歩〜 (小藍様)

http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/

マメ鳥ちゃん(ドリーシャ)


お借りしました。長くありがとうございます。

何かあればお知らせください。


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『以下3名:悪役キャラ提供企画より』


桜嵐さくらん』呂彪 弥欷助様より

余波なごり教授』 アッキ様より


金剛こんごう』弥塚泉様より


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すっ飛んで行った『金剛』の頭は……子天狗達が???

賀川が気にしたその『行方』は……

……いつかそちらで語られる事があるかもしれません。

お楽しみに!

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