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うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話  作者: 桜月りま
10月27日

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184/531

接触中です(うろなの平和を守る者)

何するんですかっ!

酷いのです。


と、やっと気付いたっぽいユキ。


 








「降りろよ」

「ふぅぅっ! いやっ! です」

 お洋服破かれて腹が立っている私は反抗的ですよ? 可愛いをくたくたにするなんて許せないのです。でも腕を後ろに回されて車の外に出されます。足に引っかかっていた鞄はどさっと車内から地面に落ちます。

「連絡をしたらこの車はそこの廃材で隠しておけ」

 そう言いながら運転手の男はそこから離れ、青い髪の男は私の腕を無理矢理に引っ張って連れて行きます。

「やぁです。離してなのです!」

「ほら、暴れると下着見えちゃうよごめんね」

「……っ」

 服がボロボロだと悲しくなります。森に居た時はつぎはぎワンピでも仕方ないし、着替えが少ないなって思うくらいでしたけれど。今は、可愛い、って、思われていたいのに。こんなの酷いです。

 本当はそんな事言ってる場合じゃない気がするけれど。

 建物は広く、高く、廃材や不法投棄と思われる冷蔵庫や洗濯機なんかがゴロゴロしていて。そこにあった汚い毛布の上に投げるように座らされて慌てます。

 足を近くの柱に縛って置こうと青い髪の人がするのに抵抗しますが、どこからか探してきた縄でスルスルと結んでしまいます。でも運転手だった男は不機嫌そうです。

「足を閉じさせてどうするんだ、『雫』。狭いところじゃアレだろうからワザワザ降ろしてやったのに」

「本気でやってイイんだ、ゴメンネ結び直す」

「車が来るまでな。時間は余りないが楽しめ。俺は胸の大きいのは好きだが、ガキに用事はない」

 そう言いながらも私の顎を掴み、どこかツンツンとして見える茶色の髪を揺らしながら、黒縁眼鏡の向こうから覗きます。

「ふん! ガキでも声はイイだろう。ココならよく響く」

「声フェチ? ごめんなさい」

「ガキの方が声はいいぞ。何も知らないからこそ与えられる愉悦に泣くのがいい」

 が、がき、って何度もウルサイのです。私だって気にしているのです。

 賀川さんに夏、キスしていたアリスさん、恋人だったと言うアリサさんの妹さん。私の知らない海外の彼を知っていて、その深いキスはどう返していいかわからない私と違って、凄くスマートで普通のカップルの様でした。これがアリサさんだったらもっと……

「どこ見てるの、ごめんね」

 運転手と入れ違いに、不自然なまでの青い髪の『雫』と呼ばれた彼が視界に入り、私は両手が腰の後ろで固定されているのに気付きます。かなり開いて結わえれれた足は花びらのようにバラバラに切られたワンピースでは隠しきれません。

「そうすると、無駄に大きな胸がさらに強調されるな」

 興味がないと言いながら運転手は私を品評するの、止めにして欲しいです。非常に傷つきます。それも無駄に大きいって、好きで大きいわけではないのに。

「じゃあ。いただき……」

「ほんとうに、つかまえた?」

 その時、可愛らしい声が響きます。それは……冴ちゃんくらいの女の子でした。どうしてこんな所に子供が? 

「どうやって来たんだ、お前……」

「てづかクンのこんごうクンがいるから。かおるおねえちゃんのために、みにきたの」

 運転手の疑問詞に、おかっぱを揺らして、しゃがむと、私の太ももをさわっと撫でる小さな手。

「おひめさまはきれいね。赤がにあいそう」

 その可愛い顔がとてつもなく怖ろしく感じました。その手がすぅっと私のお腹を触り、

「あかちゃんいるの?」

「え?」

「いないんならだれのあかちゃんをうむの?」

「あかちゃ、ん?」

「いないんだ。なら、つくるところ、みててあげる」

 そう言ってつっと離れます。

「邪魔が入ったね、ごめん。さ、ヤろっか」

 それで、やっと今から青い髪の男が何をするのかわかって。恥ずかしくて、そして怖くなって、絡められた体が上手く動かなくて。地面に押し付けられて、彼の体が破れた服の隙間から直接肌に触れます。首筋を舐め、息が首筋に当たるのが不快で。

「やめ……」

「可愛いね、殺さないからごめん」

 にやっと髪がつんつんした運転手が笑うから、声を殺します。でも、『雫』と呼ばれてる青い髪の男の人が胸とか腰とか変な所に触って、首にキスとかするから、

「やだ、やめて」

 って、言っても通じなくて。

 子供の笑い声と運転手の笑い声が頭の中でぐるぐるして。首を振って拒否してると、無理矢理に抑えられて、嫌だって体を竦めた瞬間、



 ばん!



 って、何かが横を吹っ飛んで行きました。

 見ると、そこには白服の金剛さんが壁に叩きつけられていました。

「おねえちゃんのトコかえるねぇ~うまくつれてこれるといいねぇ~」

「ごめん、俺も帰……」

「雫! 美味しい所だけって訳には行かんぞ。 金剛立てっ!」

「まだ美味しい所、ゴメン、けれど食べてないんだけどなぁ」

「データ処理中デス。起動まで後七分デス」

 何でしょう? 白い鳩がバサバサッと寂びれた工場内を飛んで行きます。 

「我はうろなの平和を守る天狗仮面なり。悪党どもめ、その者から離れろ。容赦せん」

「ねぇ、やっぱりこのマントはいる?」

「正装である!」

 私がそこを見た時、赤い仮面に唐草模様のマントを揺らした二人が立っていました。

 赤い天狗のお面、一人の方は鼻が少し低めですが、間違いなく天狗さんです。

 そう言えば、うろなの町には天狗の仮面をかぶった正義の味方が居ると聞いた事があります。確か、夏の森であった小学生の四人もその話をしてくれました。



 そんな事を考えている間に、運転手は手前に居る傘を握った天狗さんと、青い髪の雫さんは鼻の少し低い天狗さんにナイフを振りかざします。

「危ないです!」

 でも二人はさらりさらりと避けつつ、攻撃しているようです。私は上半身を何とか起こして、眺めてみますが、ちょっと早くて私には見えなくて。でも目が離せなくて。

 鼻の低い方の天狗さんが誰かに似ている気がするのですが、ただの気のせいでしょうか?

 その時、背後で気配がしました。

「金剛さん?」

「…………………………………………」

「ねぇ、アナタは命令されてるからやっているんですよね? お願いだから、こんなのやめて?」

 彼はアンドロイドだから、彼の意志でやっていない気がして。私は頼んでみます。

「…………………………………………」

「どうして、戦わないといけないの? どうしてこんなことになるの?」

「…………………………………………」

「ね…………………………………………」

「…………………………………………命令に対するノイズを処理しマス」

 そう彼が言った時、私の側頭部に彼の細い繊細そうに作られた指が拳を固め……殴ったのかなぁ……よくわからないのですが、とにかく衝撃がして意識がガツンと途切れたのでした。




lllllllllllllllllllll


うろな天狗の仮面の秘密  (三衣 千月様)

http://book1.adouzi.eu.org/n9558bq/

天狗仮面様、そして鼻の低い天狗……


うろなの小さな夏休み(三衣 千月様)

小学生四人と夏に森であった話を。


キラキラを探して〜うろな町散歩〜 (小藍様)

http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/


マメ鳥ちゃん(ドリーシャ)


お借りしています。問題があればお知らせください。


lllllllllllllllllllll


『以下6名:悪役キャラ提供企画より』



しずく』『なお』パッセロ様より

金剛こんごう』弥塚泉様より

紫雨しう』とにあ様より


『手塚』『薫』は名前のみ

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