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101回目の異世界転生!  作者: 絢野悠
八章:新たな問題
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一話

「ダアアアアアアアアアア!」


 そんなわけのわからない叫び声と共に、俺の腹にトレントが降ってきた。


「ごほっ!」

「ダアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

「うるせえ! もっとまともな起こし方あったろうが!」


 ペチッと頭をひっぱたく。しかしトレントはどこか嬉しそうに「ダア」というだけだった。やべえやつ仲間にしちゃったな。


 でも犬みたいでちょっとだけ可愛い。鳴き声「ダア」だけど。


 とりあえずリビングへと行き朝食をとることにした。


「あら、その子新しい家族かしら?」


 母さんが皿にスクランブルエッグを乗せながらそう言った。


「ダッ」

「まあそういうこと」


 イスに座るとスピカがトーストを出してくれる。いたれりつくせりかよ。


「その子可愛いね。もう名前つけたの?」


 スピカはトレントをひょいっと持ち上げ、そのまま自分のイスに座った。まるで犬や猫を扱うかのように自分の膝の上に乗せている。


「さすがにまだだけど。昨日拾ってきたばっかりだからな」

「どこで拾ってきたの?」


 しまった。言い訳をまったく考えてなかった。


 ここはガクッと落ちるフォークボールよりもやや曲がったかなくらいのスライダーの方が真実味があるような気がする。


 まあほんのちょっと曲がったスライダーがスライダーって言えるかどうかはまた別の話だけど。


「そのへんの森で迷子になってたんだよ。な?」


 トレントの頭を掴んでちょっとだけ指に力を入れる。


「ダッ」

「よしよし、それでいいんだ」


 ピルほど自由に動くようなヤツじゃないみたいだな。どっちかというと大人しいタイプだ。


「迷子だったから連れて来たの?」

「付いて来たそうに見てたから、つい」

「なんかお兄ちゃんって小動物に好かれるよね」

「小動物……?」


 ピルはベヒーモスだしコイツはトレントなんだが。


「とにかく名前つけてあげなきゃ。私がつけてもいい?」

「まあいいけど」


 スピカはトーストを食べながら名前を考えているようだった。


 コーヒーを飲み、トーストを食べ、バナナを食べ、最後にまたコーヒーを飲んだ。


 そしてコップをテーブルに置いた。


「ポチにしよう」

「センス」


 犬かよ。


「もう、お兄ちゃん文句ばっかりなんだから」


 ピルの時はもうちょっと、こう、あったろうに。見た目が可愛くないからってそういうのはよくない。


「じゃあそうだな……」


 アゴに指を当てて目を閉じた。正直あまりいい予感はしない。


「ゴンゾーにしよう」


 まあ予想的中かな。


「センスが」


 いやむしろ逆にセンスがいいのかもしれない。


「よし、じゃあ今日からお前はゴンゾーだ」

「ダアアアアアアアアアアアアアアア!」


 意思疎通ができてるのかどうかがあまりにも判断が難しい。喜んでいるようにも見えるが嫌がっているようにも見える。ものすごい勢いで首を左右に振るんじゃない。


 しかし割とどうでもいいのでゴンゾーでも問題ない。ゴンゾーの意思はこの際置き去りでお願いしたい。


 とにかく今は朝食をとって、それから畑仕事をしよう。基本的には母さんとかが水やりをしたり葉っぱを切ったりしてくれているが、肥料をあげたり土を動かしたりするのは俺じゃないときつい。


 朝食を済ませた俺は出口に向かおうとして、気付いた。


「おいスピカ」

「なに?」


 しれっとゴンゾーがスピカのスカートを掴んで「ここが定位置です」アピールをしているがそれはまたの機会に言及しよう。


「シアはどうした?」

「シアさんならまだ寝てると思うけど?」

「起こさなかったのか?」

「起こしたけど具合が悪いって」

「そうか。そう、か」


 昨日のアレで魔力を奪われ過ぎたのだろうか。


 畑仕事に行く前にスピカの部屋に寄った。


「大丈夫か」


 そうやってスピカの顔を覗き込むと、背中になにかが乗ってきた。なにが乗ったかは見なくてもわかるのでそのままにしておこう。


 返事はなく、シアは布団の中で荒く呼吸を繰り返すだけだった。


「熱いな」


 額に手を当てると明らかに平熱を上回っている。体温計なんて便利なものはないが39度を超えているかもしれない。


「いつからこうなんだ?」


 背中のソレに問いかける。


「さっきまではちょっと具合悪いくらいだったよ?」


 ピルが俺の耳元でそう言った。


「さっきまではなにもなかったってことか」

「具合悪そうにはしてたけどね、顔が真っ赤になってきたのは本当にさっきから」


 頬に手を当て、首に手の甲を当て、そうやっても反応がまったくない。

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