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101回目の異世界転生!  作者: 絢野悠
六章:逃げキレ!
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五話

 そのまま民家の屋根を飛び移って、再度町から離れることになった。


「今思えば、アイツはどっからあの壺持ってきたんだろうな」


 シアを下ろして町の方を見た。


「そんなの知ってどうするのよ」

「いやーなんか引っかかるんだよ」

「壺を持ってきた場所なんて知っても意味ないでしょう? このウイルスだって結局十二時間経てば消えるんだから」

「いやそれがな、ビリーは暗号を解読したとは言ったけど、どこから壺を持ってきたのかを言わなかったんだ。それがちょっと引っかかってな」


 俺は「ちょっとここで待ってろ」とシアを残して町に戻った。ビリーの家まで行き、ビリーの部屋の窓を割り、侵入し、古めかしい本を小脇に抱えた。


「はいこれ。たぶんビリーが言ってた文献だろ」


 厚みはそこまでない。たぶん一センチもないと思われる。


「世界七大禁忌、って書いてあるわね」

「胡散臭さがとんでもないな。ビリーらしいといえばらしいのだが、それ以上にヤバい匂いがする」


 本を開くとカビ臭さが鼻についた。が、今はそんなことはどうでもいい。


 題名からも分かる通りに世界に存在する七つの謎を紐解く鍵が記されている書物、ということで間違いはなさそうだ。


 一つは今回の「過去の遺物、生物兵器の在り処」だ。他にも「知られざる巨獣の足跡」であったり「人類掃討計画書」であったりと、なんというか眉唾ものばっかりが記載されていた。


「もうヤバい匂いしかしない」

「とりあえず暗号を解いてみたら?」


 暗号は三桁の数字が三つと『めらねそか』という言葉が残されているだけのようだ。


 しかしまあ、なんというかわかりやすいと言えばわかりやすいのだがあまりにもあからさま過ぎてビビる。


「この数列はなに?」

「たぶんだけど座標だな」


 本の後ろの部分にはちゃんと世界地図も載っている。小学生の謎解きブック的なポジションなんじゃないかとさえ思える。


「最初の三桁がY軸、次の三桁がX軸。んで最後の三桁は地表からの深さを表してるんだと思う。でも三桁をメートルで表すとかなりの深さだし、ビリーが取ってきたとは考えにくいから、たぶん一桁と二桁の間に点を入れるんだろうな」

「この文字列は?」

「こんなの誰だってわかるだろ。『めらねそか』だから、文字を一個ずつ上にズラすと『森の滝』だ」


 子供騙しが過ぎる。


 そもそもこの本、本当に古い文献と言っていいものなのかすらあやしい。


 しかし現にビリーはあの壺を探し当てたのだし、なんというか腑に落ちない部分が多いな。


 森の方はバリアが張られていないらしく難なく滝に到着した。森の滝、とは言っても滝のどこにあるかまではわからない。深度が書いてるということは地下なんだろうとは思うが。


 魚をとるために川で釣りをすることはある。しかし滝まで来たのは子供の時以来だ。滝は危ない場所だっていうんで来るのを禁止されていた。他の子供達を危険に遭わせないために、ソニアやビリーと来たことがあるくらいなもんだ。


 でもこういう滝っていうのは、滝の裏側に通路があるのが通説だ。


「やっぱりあったわ」


 テンプレートはなめたらいけない。


 滝の裏側、小さめの洞穴へと入っていく。シアは若干ビビっているのか、俺の腕を掴んで離そうとしなかった。


 ライトボールを出して進んでいく。人工的に作られたような階段を何度か下っていくと拓けた場所にでた。


「ここは?」


 地上から数十メートル部分。ここで間違いはなさそうだ。


「ビリーはこっから壺を持ち出したんだろうな」


 ライトボールを三十個出して地下室を照らした。


 室内は学校の体育館とかそれくらいの広さだ。いろんな場所に壺が転がっているが中身は入ってなさそうだ。


「壺って、もしかしてこれ?」

「ビリーが割ったのと同じだな。でもこんなにあるってことはボタンももしかしていっぱいあったってことか……?」


 研究は頓挫したみたいだし、壺だけ用意して中身はなかったって可能性は十分にありえる。


「どうしたの、考えこんで」

「いや、ウイルスの製造はなくなったはずなんだよ。なのに入れ物はたくさんある。ってことはウイルスを作る予定があったってことなんじゃねーのかなと」


 もしもそうだったとして、製造機やらなんやらがないのは撤去したからで納得できる。容器がたくさんあるのは「持っていく必要がない」からだ。


「考えすぎじゃない? それにウイルスっていってもキス魔にするウイルスじゃあ、ね」

「兵器としてあまりにも不完全だっていうのはわかってるんだが、感染力が高くて人の思考を奪えるって時点でウイルスとしては完成しているようにも思える」

「だから考えすぎだって。さっさと出るわよ。こんなところまでゾンビがやってきたら袋のネズミじゃない」

「そんときは上ぶち破って逃げるに決まってるだろ」

「ゾンビはまだ人間なのよ? 岩の下敷きになっちゃうじゃない」

「お前たまーにめちゃくちゃ優しいよな。そういうのもっと俺にくれてもいいと思う」

「自業自得って言葉を学びなさい」


 そんなこんなで滝の洞窟をあとにした俺たち。町に戻ってもじじいの妨害があるせいでいつゾンビになるかもわからない。しばらくは森で待機し、腹が減ったら町に戻るという方向で決まった。


 ここまでで残り九時間。身体能力的にも魔法力的にも余裕はあるが、結局はじじの遊び心とシアの睡眠欲にかかっている。俺の能力まったく関係ない。が、最悪はシアを置き去りにして逃げればなんとかなるだろう。

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