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101回目の異世界転生!  作者: 絢野悠
五章:ドッラゴンを退治しろ!
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五話

 ピルとシアは夕食の前に風呂に入ってしまったらくし、俺は寂しく一人で風呂に入ることになった。ちなみにじじいは飯を食ってすぐに帰っていった。タダ飯食うためにうちに来るなと言いたい。いや、今度言おう。


 湯船に浸かった瞬間、風呂場のドアが開かれた。風呂場に入ってきたのはスピカだった。


「なんだ、お兄ちゃんとお風呂入りたくなったのか。いやー嬉しいなー」


 父さんに知られたらどうなるかわからない。きっと一週間くらい泣き続ける可能性すらある。スピカに「もうパパとお風呂入らない!」と言われてから随分と経つからな。


「今日のお礼に背中でも流そうかなって、思って」


 少なからず恥ずかしいのは間違いないらしい。余計父さんには言えない。


「んじゃ頼むか」


 浴槽から出てスピカに背中を向けた。背中、と言いながらまずは頭から入るあたりわかってる。細く小さな手に頭をわしわしされるのも悪くない。


「聞きたいことがあるんだ」

「ん? あらたまってなんだ? まあ答えられることなら答えるけど」


 少しだけ、頭を洗う力が強くなった。


「昔ね、公園でジャングルジムから落ちたことがあるでしょ?」

「あーんー、そんなこともあったっけなー」


 まだスピカがちっちゃかった時だ。首の骨が折れて、仕方なく治癒魔法を使ったんだっけ。


「お兄ちゃん、あの時なにしたの?」

「なにって、なにが?」

「お兄ちゃん私になにかしたよね? ちょっとだけ、意識があったんだ」


 これはヤバい。完全に気絶していると思っただけに、どうやって誤魔化したらいいのか考えなくてはいけなくなった。


「手のひらから光を出して、それを私に押し当てたよね。すごく温かくて、痛いのが引いてくのがわかったよ。あれ、なにしたの?」


 まさか自分の存在を脅かす最大の敵が妹だとは思いもしなかった。誤魔化すかしらばっくれるか。どちらにせよその内容を考えないと頭打ちだ。


「そうだな。お前にはちゃんと言っておかなきゃいけないな」


 覚悟は決まった。しかし話は捻じ曲げる。ようはスピカが納得できればいいのだ。


「俺は魔法が使えるんだよ。でも魔法が使える人なんて珍しくないだろ?」

「どこで教わったの?」

「お前がまだ小さかった頃な、旅をしてる魔法使いが一時期山に住んでたんだよ。その人から教わった。でも魔法が使えるなんて言ったら面倒なことになるから隠してろって言われたんだよ。お前には才能があるけど、平穏な暮らしがしたいなら黙ってろって」

「でも私には使ったよね?」

「そりゃそうだ」


 バザーっと急にお湯をかけられた。こういう時って「お湯かけるよー」「はーい」みたいなやりとりあるのが普通だと思うのだが。


 そして今度は身体を洗う方向にシフトしたらしい。


「だって大事な妹だからな」

「私が死んだら悲しい?」

「悲しいどころの話じゃない。だってお前は俺の一部みたいなもんだぞ。俺が生きてきた中で、俺の人生の中で、お前がいたから今の俺がいるんだから」

「そっか」


 ゴシゴシ、ゴシゴシと背中が現れる。腕、脚と勝手に洗っているが、流石に前だけは自分で洗った。


 それきりスピカは口を閉ざしてしまったが、それが妙にいたたまれなくて俺は早々に風呂を出ることにした。


 ドンっと、背中に何かが当たった。視界の下方にはスピカの両腕。後ろから抱きつかれたのだとすぐにわかった。


「ありがと、お兄ちゃん」

「礼を言われるまでもない。お前が元気でいてくれたら俺はそれでいいからな」

「うん、ありがと」


 徐々に腕の力が弱まって、けれど俺は振り向くことなく脱衣所へと戻った。


「思ったよりもボリュームがあったな?」


 背中に当たった柔らかな感触。あれは紛うことなき人体の神秘部分である。気づかないうちにスピカも大人になっていくんだな。


 そんなことを考えながらも着替えを済ませていく。


 俺の予想ではシアよりもスピカの方が発育が良い。それだけは間違いない。シアに言ったらなにされるかわからないので、これは俺の胸に留めておこう。そう決めた、ある日の夜だった。

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