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101回目の異世界転生!  作者: 絢野悠
五章:ドッラゴンを退治しろ!
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二話

 よそ行きの服に着替えてリビングへ。ピルはそのままお昼寝してしまったので、起きたらシアが相手してくれるだろう。


「おーい、行くぞー」

「はーい」


 スピカが自室から出てきた。


 水色のワンピースにピンクのリボン。足元もピンクの靴だ。こんな村に住んでいるせいかよそ行きの服はあまりない。この姿を見るのもはじめてではないが、それでも我が妹はやはり可愛い。


「よく似合ってるぞ」

「それ、いつも言うよね」

「本当のことを言ってるだけだ。よし行くぞ」


 馬はすでに用意してある。先に俺が馬の背に乗り、スピカを引っ張り上げた。


「ちゃんと捕まってろよ」


 スピカが俺の胴体に腕を回してにしがみつく。これこれ、これが醍醐味だよな。可愛い妹に抱きつかれるなんてなかなかない。


 手綱と鳴らすとゆっくりと馬が走り出す。本当であれば王都までは四時間くらいかかるのだが、俺が馬を強化してやれば半分くらいの時間で済むだろう。


「ねえ、お兄ちゃんさ」

「なんだ、ケツでも痛いのか?」

「そんなわけないでしょ! お洋服買ってくれるって言ってたけど、お金大丈夫なの?」

「お前には言ってなかったけど、お兄ちゃん結構お金持ってるんだぞ。昔バイトしてた時の分もあるし、畑仕事以外の副業もあるからな」

「副業って?」

「まあネティスの手伝いとかローラの手伝いとか」

「そう、なんだ」


 あとは山で見つけたレアモンスターの毛皮を売ったりとか。レアモンスターは農民程度では倒せないので、このへんでは見つけたら逃げろというのが習わしである。しかし俺はスーパー農民なので問題なく討伐し、爪や毛皮なんかを行商人なんかに売っていたというわけだ。なので母さんすら知らない秘密のお金がかなりある。それこそ小さな家一軒くらいは建てられる。一応母さんには副業のことを話てあるが、そこまで稼いでいるとは知らないだろう。それに先日のマトゥタケを売った金もあるしな。高級食材だからと全部食べるなんてもったいなさすぎる。


 物質として持っていると物質としてしか扱えないが、金に変えれば買い戻すこともできるし他の物を買うこともできる。買い戻すにはもう少し出さないと難しいが、自由な金ができるというのは非常に大事だ。これは現実社会で学んだことだが、製造業で作りすぎる会社は倒産しやすいのだ。自由にできる金を自分から資源に変えてしまっているのだから、経営が傾いた時にどうすることもできなくなる。


「だから遠慮しないでいいぞ。好きな物を買ってやる」

「お母さんとお父さんの分は?」

「ちゃんと買って帰るさ。心配いらない。俺を誰だと思ってるんだ」

「お兄ちゃんはお兄ちゃんだよ?」

「そうだ。いい子のスピカのお兄ちゃんだぞ。心配することなど一つもない」


 ギュッと、スピカが強く抱きついてきた。


「そうだよね」


 ちょっとだけ違和感があった。そういえば最近は憂いた表情が多い気がする。なにもないといった風を装うので、こちらも忘れようとしていたのだがどうにも気がかりだ。悩みがあるなら聞いてやりたいが、スピカが言い出すまでは黙っていよう。


 途中で休憩を挟みながら王都を目指した。現実世界にあった乗り物よりも乗り心地がよくなく、長時間座っていると尻が痛くて仕方がない。最初の頃は十分も乗っていられなかった。これも親父がスパルタで育ててくれたのがよかった。


「親父、今どうしてるかな……」

「なにか言った?」

「なにも言ってない」


 そろそろちゃんと見舞いに行ってやった方がいいかもしれない。スピカと母さんは定期的に行ってるみたいだが、俺は忙しいというのを理由にして行っていない。今行ったらなに言われるかわからんが、行かなかったら行かなかったで帰ってきた時が怖すぎる。


 そんなことを考えているうちに王都に到着した。指定された馬小屋に馬を繋ぎ、専用の鍵をかけた。出ていく時に先払いで少し金を払う。あとは帰りに残りを払うという仕組みだ。コインパーキングみたいなもんだな。


 久しぶりに来た。最後に来たのは三年前とかか。その時もスピカの服を買いに来たんだったな。


「ほら」と言ってスピカに手を差し出す。


「子供扱いしないで欲しいんだけど?」


 腕を組んでそっぽ向いてしまった。別に子供扱いしているわけではないのだが、兄の心妹知らずとはこのことか。王都は人も多いし、この世界では通信手段もないので一度はぐれると探し出すのに苦労する。たしか三年前にはぐれたことがあって探すのに骨が折れた。


 仕方ない。別の方向からアプローチするか。


 スピカの横ではなく、スピカの前に立ってかしずいた。そして右手を頭の位置まで上げる。


「お嬢さん、よかったらエスコートさせてもらえませんか?」


 顔を見上げれば、スピカは顔を赤くしていた。


「し、しょうがないんだから」


 そっと、小さな手が乗せられた。スピカも少しずつ大人の女性になっていくんだな。嬉しさ半分寂しさ半分。こういうことができるのも時間の問題だな。


 スピカの手を握り、王都の門をくぐった。この小さな手が大きるなるなんて、今は想像したくないなあ。


 王都は人がごった返していた。それもそのはず。王都というだけあって物流の中心で、主な収益源が商業なのだ。ここで造られるものも当然あるのだが、商人たちが持ち運ぶ物資も多い。武器、防具、洋服、靴、装飾品もそうだが野菜や果物、塩や砂糖といった調味料も多い。地方の伝統工芸品なんかも流通しているのでウィンドウショッピングしているだけでも楽しめる。

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