表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101回目の異世界転生!  作者: 絢野悠
四章:暗殺者を捕まえろ!
48/153

五話

 夜になって、ベッドにゴロンと寝転んだ。と、ここで気がつく。そういえば今回のクエストの期間を聞き忘れたな。


「おいじじい、いるなら出てこい」

「はい」

「普通にドア開けて入ってくるのはおかしくない?」

「逆に言うとずっとこの家にいたぞよ」

「こえーよ、なんで順応してんだよ俺の家だぞ」

「ママさんもスピカちゃんも優しいからのぅ」

「セキュリティ的に問題が大きすぎる」

「そんなことはどうでもいいんじゃよ。で、ワシを呼んだ理由はなにかな?」

「クエストの期間聞いてないなと思ったんだ。今回はどれくらい時間くれるんだ?」

「そのことか。正直言うとまだクエストは始まってない」

「始まってない?」

「だって暗殺者と出会っておらんじゃろ?」

「もしかしてクエストは受けてあるけど、鍵になるイベント起こしてないみたいな状況?」

「飲み込みが早いのぅ」

「なんでそんなクエスト受けさせたんだよ……」

「そろそろお前の力を聞きつけてなにかしらのアクションがあってもいいかと思ってな」

「誰からのアクションだよ」

「世界からの?」

「規模が大きい上にちょっとカッコよく言うなよ。しかも世界ってことはお前も一枚噛んでる可能性があるってことだろ?」

「ワシがなにもしなくても、この世界にいる人間は勝手に行動を起こすんじゃよ。この世界にいる人間でお前の力に気付き、なにかしらのアクションを起こす。その可能性は十分にあり得る」

「このタイミングで「暗殺者を捕まえろ」って言うのはお前の意思が働いているとしか思えないが?」


 じじいは下手くそな口笛を吹いて誤魔化そうとしていた。


「口笛下手くそすぎだろ。まあいいや、とりあえず遭遇したら捕まえとく。その後は俺が好き勝手してもいいんだろ?」

「好き勝手……あまり過激なことはせんほうがよいぞ? 全年齢じゃなくなってしまう」

「全年齢」

「スピカちゃんたちもいることじゃしな」

「まあ、言いたいことはわかった」

「質問はそれだけか?」

「ああ、帰っていいぞ」

「うむ、それじゃあ失礼するぞよ」


 と言って、じじいはドアからリビングに戻っていった。


「だからここはお前の家じゃねーって……」


 もう聞こえてはないだろう。聞こえてはいても本人に言っても無駄そうだ。


 今日はもう風呂に入って寝よう。そう思いながら、俺も部屋から出ることにした。


 そう思いながらリビングに戻った時、外から妙な気配を感じた。この気配には覚えがある。というかこの気配に近いものと俺は暮らしているのだ。逆を言えば、近くにいるものの気配が強すぎて今まで感知できなかった、しづらかったというのが正しいだろう。


「母さん、俺ちょっと散歩行ってくるよ」

「こんな時間に? もう遅いわよ?」

「風に当たりたくてさ」

「いいけど、早くもどってきなさいよ?」


 俺は「わかった」とだけ返事をして外に出た。ピルの声がしなかったということは、おそらくスピカと一緒に寝てしまったのだろう。シアもついてこなかったので非常にやりやすいな。俺が100回もの異世界転生を繰り返している超万能な人外だという事実がバレることはない。


 もう半分くらいバレてるような気はするがこの際気にしない方向で進めよう。


 気配の行方を探りながら歩き、気配がその場から離れようとした瞬間に俺も行動に移した。俺の足ならそんなに時間もかからないだろう。


 近くにある森の中、一直線に飛び込んでいく。黒い影を見つけて追いかけた。追いかけるというほどのものではない。そいつの姿を見つけてから組み伏せるまで、ざっと一秒といったところだ。


 後頭部を右手で掴んでそのまま地面に叩きつけた。そいつの左腕を背中に回して動けないようにする。やけに毛深いな、獣人かなにかか。もしかしてまた見た目だけいいハーレムもどき要員が増えてしまうのだろうか。


 ライトボールを出現させてあたりを照らす。


「は、離せ!」


 完全に男だった。正確にはオスか。


 鼻がツンと伸びていて耳は頭についている。犬とか狼とかそっち系の獣人みたいだ。


「虚をつかれた。がっかりしたから殺そう」

「お前何者なんだよ! まったく気づかなかったし、とんでもない速度で近づいてきて、ただの人間じゃねえだろ!」

「まあ、普通ではないが今はどうでもいい。お前だろ、ここから俺たちのこと見てたの」

「さ、さあな! なんのことかさっぱりだぜ!」

「とぼける気があるのかないのか全然わからんぞ。演技なら下手くそすぎだし本当ならビビリすぎだろ」

「うるせえ! 俺じゃねえ! 俺じゃねえ!」

「暗殺者かどうかはわからんが俺たちを監視してたのはお前で間違いなさそうだな。で、お前はなんで俺たちのこと監視してたわけ?」

「知らねえよ! だって俺じゃねえんだからな! 証拠がねえからな! 俺じゃねえんだ!」

「テンパりすぎて心配になる……」

「ほら、証拠はねえんだろ? 俺の勝ちだ!」

「勝負はしてない。でもお前の魔力は知ってる。魔王の配下、レドラと一緒にいたやつだろ。覚えてるぞ、ちゃんと。魔王の魔力が染み付いてる」


 そう、俺の近くにはシアがいた。そりゃ魔王の魔力が一番濃いシアが近くにいたんだから、こいつの魔力に気付くのに遅れても仕方ない。


「し、しらねえなあ」

「口笛下手くそか。空気しか出てねーぞ」

「なんでもいいから離しやがれ! こんなことして、レドラ様が黙ってると思うなよ!」


 あいつが一枚噛んでるとなれば少々厄介なことになりそうだな。不意打ちとはいえ俺の腕ふっとばしたやつだからな。真正面からやりあえば負けることはないが、物量作戦で来られると村まで守れる自信が……いや余裕か。


 でもこのままだと白を切り続けられそうだな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ