28.自覚
まさかの日間恋愛異世界転移3位・・・!
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夜になってラジアスが部屋にやってきていた。
「遅くに悪いな。体調はもう大丈夫か?」
「はい、もうすっかり。ご迷惑おかけしました」
そう言うとラジアスは少しむすっとした顔をして迷惑じゃないと言った。
「・・・迷惑ではなく心配したんだ」
ラジアスは気づいているのだろうか。このちょっとしたことが私の心を動かすということに。
「普段はあそこまで消耗することなんてなかっただろう?今日は何があったんだ?」
私は今日あったことをラジアスに話した。
試行錯誤の結果、ついに光る珠が完成したことを伝えるとラジアスはとても喜んでくれた。
「ユーリのお墨付きももらえましたし、ほっとしたら気が抜けてしまって」
「そうか。陛下への報告は・・・魔導師長が行っているか」
「はい。やっと肩の荷が下りた気分です。でもこの感じだと一日に何個も作れるものじゃなさそうですねー」
「そうだな。毎回倒れられたら大変だ」
「もう無理はしませんって」
「だと良いがな。——―ああもうこんな時間か。長居してすまない」
私の言うことに半信半疑な苦笑を浮かべてラジアスは立ち上がり扉に足を向ける。
「ではまた明日な」
「はい、お休みなさい」
パタンと扉を閉める。
今日もまた一日が終わる。いろんなことがあった一日だったと振り返る。
まずは光る珠の完成。完成したことはもちろん嬉しいが、それ以上に自分がここにいられる理由が出来たということが私の心を明るくした。
流民としてこの世界に来て第二部隊で働かせてもらってはいるものの、魔力測定をした日から私の役目はユーリ達に魔力供給をすることなんだと思っていた。それが出来なければ、いつかここから追い出されてしまうんじゃないかとどこかで恐怖する自分がいたのだ。
(実際はみんな優しいし、そんなことにはならないと思うんだけどね)
本当にみんな善くしてくれるし気遣ってくれる。だからこそ、ここに堂々と居られる理由が欲しかったのかもしれない。
とにかくこれで一安心だ。ただ本当に毎回倒れるわけにはいかないので自分の限界をきちんと把握しなくてはと思う。
(毎回運ばれるわけにもいかないし―――)
ここまで思い出したところで私はベッドに顔を埋めて枕をボスボスと叩き始めた。状況を思い出し顔が熱くなってくる。
「あれは駄目でしょ。お姫様抱っこって何なの?なんであんなテレも無く出来んの?!」
枕を抱えてじたばたする私は傍から見たら危ない人間に見えることだろう。ただ今は自分一人だからそんなこと気にする必要もないのだが。
(私デカいし軽くないのにあんな簡単に持ち上がるなんて・・・かっこよかったなぁ)
目を閉じて浮かんでくるラジアスはやはり格好良い。
いつも私を気にかけてくれるし、女扱いしてくれる数少ない人でもある。
私が悩んでいる時に無意識だろうに欲しい言葉をくれる。
真剣な顔も良いけど、やはり柔らかく笑った顔が一番だと思う。なんかこう胸がぎゅっとなるというか。
「・・・やっぱり好き、なのかなぁ」
私はラジアスが好きなのか。一度口に出してみると自分の言葉が魔法のようにじわじわと身体中を巡る気がして妙に自分の中にストンと落ち着くものがあった。
この世界で近しい人に依存しているだけなんじゃないかと思っていた。慣れない女扱いに浮かれているだけなんじゃないかとも思った。
でも、抱き上げられた時に感じた恥ずかしいけれど離れがたい気持ちは、こんなにも胸がドキドキするのはきっとラジアスだけだと思う。
そして自分の気持ちを認めてしまえば途端に恥ずかしさが込み上げてくる。今までだって近い距離感に恥ずかしさを覚えることがあったのに明日からどんな顔をして会えばいいのだろう。
やっと一つ心配事が減ったというのに今度は恋で悩むことになるとは。
というか私は今恋なんてしている場合なのか。いや、好きな人がいるというだけでも毎日が違う気がする。
それに別に私がラジアスを好きだとしてもラジアスが私を好きなわけじゃないのだから、私の気持ち以外は今までと何も変わらない。
今はラジアスに部下としてでも大切にされているということだけで十分じゃないか。そもそもラジアスは貴族で私はただの異世界人。釣り合うはずもないのだ。
(なんか自分で考えてて虚しくなってきたな・・・)
「でも、好きでいるだけなら自由だよね」
そう自分に言い聞かせると訪れた睡魔に身を任せ私は眠りについた。
お読みいただきありがとうございました。
ハルカは日本にいた時恋人はいませんでした。
どちらかというと女子にモテるタイプ。




