【書籍2巻発売記念】 いざ「結婚します」報告へ!
お久しぶりです。
今回は96話の後のお話です。
6/12(月)に書籍の2巻が発売になります。
書店様や電子書籍によって違いますが今回は特典SSが全部で4種類あります。
もしよければそちらもお楽しみください!
それと、嬉しい嬉しいコミカライズが決定いたしました!
わーいわーいヾ(o´∀`o)ノ♪
ただいま企画進行中です。
詳しい情報が上がり次第、順次ご報告していきたいと思います。
すべて皆様の応援あってこそ!
ありがとうございます!
ラジアス様のプロポーズを受けて数日後。
私とラジアス様は今、ガンテルグ侯爵家へ向かう馬車の中にいる。
私たちの結婚をご当主であるラジアス様のお父さんに認めてもらうため――ではなく、ルシエラ様から手紙が届いたからだ。
「ラジアス様、本当にルシエラ様に私たちのこと言ってないんですよね?」
「俺がハルカに求婚したことだろ? まだ言っていないよ。家族全員が集まるから一緒に食事をしようと連絡が来ただけだ」
“求婚”という言葉に思わずビクッと過度に反応してしまい「そ、そうですか」と小声で返す。
「まあ、結婚はまだなのかと連絡が来る度に書いてあるから話題には出るだろうが……ハルカ、お前のその挙動不審さですぐにバレそうな気がするぞ」
「そ、そんなこと言っても、勝手に反応しちゃうんだからしょうがないじゃないですか!」
私は熱くなった頬を押さえてそう言った。
そう、しょうがないのだ。
恥ずかしさと嬉しさで勝手に顔が赤くなるのは止めようがない。
「まあそういうところも可愛いんだがな」
「か、かわっ……!?」
「どうしてそんなに驚くんだかなぁ、いつも可愛いと言っているじゃないか」
「そ、そうですけど! そうなんですけど!」
それでも恥ずかしいものは恥ずかしい。
これが全く興味のない人から言われた言葉だったら「わあ、嬉しいー。いつもありがとうございます」とサラッと流せるが、好きな人から言われるのだからそうはいかない。
心臓がぎゅんっと鷲掴みにされる。
今日も私の彼氏がかっこよすぎる。
「なあ。せっかくだから俺たちのこと伝えようと思ってるんだが」
「え? 今日ですか?」
「ああ。なかなか全員が揃うことがないからな。駄目か?」
「……駄目、ではない。うん、駄目じゃないです。遅かれ早かれ報告することですもんね!」
でも緊張はする。
お付き合いしていることは報告済みだし、反対されることはないと分かっていてもドキドキはしてしまう。
食事の後に報告しようとラジアス様が言うから、緊張してご飯が喉を通らないかもと言った私に「いや、食べられるだろ」とラジアス様が言った。
……うん、食べられる。
どんな時でも食欲が落ちないのが私です。
アルベルグに拉致されていた時だって食欲は落ちませんでした。
さすがラジアス様、よくわかってらっしゃる。
そんな話をしながら馬車ゆっくりと進んで行くのだった。
◇◆◇◆
ガンテルグ侯爵家の夕食。
とんでもなく美味しかった。
侯爵邸に着いたらもう私たち以外の全員が揃っていて、私を見るなり「あらやだ。一段と綺麗になったんじゃない?」「貴女がハルカちゃんね!」「やだー! 可愛いじゃない! 男装の麗人って言うからもっと逞しい感じの子想像してたわ!」と女性陣に熱烈歓迎を受けた。
ルシエラ様にラジアス様のお兄さんの奥さんたちだ。
ものすごい勢いで質問攻めにあったところを「こらこら、少し落ち着きなさい」「初対面で驚かれているよ」「待て、待て。夕食後にも時間はあるんだから」などと言って、侯爵様やお兄さんたちがそれぞれの奥さんを回収してくれた。
女性陣は強く、男性陣は穏やかと言った感じだ。
ちなみに揃いも揃って超美形。
芸能人一家か何かですか?ってくらいに美男美女だらけだった。
そんな人たちに囲まれて取る夕食は緊張するなというほうが難しい。
今回ばかりはさすがの私も食が進まないかも、なんて思っていたのだけれど。
ひと口食べたらそんなことすっかり忘れました。
いやー、ご飯が美味しいって幸せだね。
最後のデザートのアップルパイもすごく美味しくて、無意識に私は笑っていたらしく、ラジアス様が自分の分を私に分けてくれた。
ラジアス様は時々こういう行動をすることがあって、遠慮すると笑顔のまま食べさせようとしてくるので大人しく受け取った。
今ですらすでに生暖かい笑みを向けられているというのに、ご家族の前で「あーん」なんて羞恥プレイってやつですよ。
まあそんなこんなで夕食を終えて応接室にてみんなでお酒を片手に歓談中。
私の隣にはもちろんラジアス様が座っている。
話題はもちろん(?)私のことで、普段は女性と男性どちらの格好をしているほうが多いのか、ユーリとはどんな話をするのか、好きなもの、苦手なもの……などなど。
とにかく質問攻めだった。
そのうち私とラジアス様のことに話題は移り、何がきっかけで惹かれあったのかなど、恥ずかしくてたまらない。
ルシエラ様からは以前開かれた夜会の話がされた。そう、私たちが両想いになった記念すべき夜会だ。
「ラジアスったらハルカちゃんのアクセサリーを全て自分の色にしてたのよ。まだお付き合いしてもいないのによ? 独占欲が強いったら」
「私も重すぎやしないかとつい言ってしまったよ」
侯爵様がそう言うと、お義兄様たち(義兄と呼んでくれと言われた)も「ラズ、お前そんなに独占欲の強いやつだったのか?」「ラズ、受け止めてもらえて良かったな……じゃなきゃお前イタすぎるぞ」と呆れられていた。
お義姉様たち(義姉と呼んでと言われた)は「それだけハルカちゃんのことを愛していたのね」「そんなことの前に言うべきことがあるでしょうに」と言われていた。
「本当よね。まあ結局その日のうちに上手くまとまったようだけれど、あのまま告白しないようだったら意気地なしと怒るところだったわ」
「その話はもういいでしょう。手紙でも散々言われたんですから」
ルシエラ様の言葉にラジアス様がげんなりとした表情で答えた。
「その後はどうなってるのって聞いても無視するのよ? 手紙ひとつ寄こさないんだから薄情よね」
ルシエラ様がプリプリと頬を膨らませる。
いや、本当に貴方お幾つですかという可愛さだ。ここにいる3人の息子を生んだんだよなあと感心してしまう。
そんな事を考えていたら、ルシエラ様が「だから今日はやっと話が聞けると楽しみにしていたのよ。ねえ、ハルカちゃん。その後どう? ラジアスに愛想つかしたりしていない?」と聞かれた。
「まさか! そんなこと絶対にありえません」
思わずそう口にして横にいるラジアス様をちらっと見ると、彼はわずかに頷いた。
あ、これは今から報告するんだなと分かった。
ラジアス様は膝に置いた私の手に自分の手を重ねるとふっと微笑んでまっすぐ前を向いた。
「そのことで今日は報告があります。先日ハルカに結婚を申し込み、受け入れてもらえました。父上と母上にも認めてもらいたく思います」
「お願いします」
私とラジアス様は揃って頭を下げる。
するとすぐにルシエラ様の一際大きな声が室内に響いた。
「まあ! まあ、まあ、まあっ!! やっと! やっとなのね! もちろん認めるに決まっているじゃないの! ねえ、あなた?」
「もちろんだよ。ハルカさん、うちのラジアスを選んでくれてありがとう。これからも末永くよろしく頼むよ」
「は、はい。ありがとうございます」
「ラジアスも。必ず二人で幸せになりなさい」
「はい。もちろんです。ありがとうございます、父上」
お義兄様やお義姉様からもおめでとうと祝福の言葉をもらって温かい気持ちで満たされる。
反対されないとは思っていても、やっぱり喜んでもらえるのは嬉しい。
少し泣きそうになっていると、ルシエラ様がすくっと立ち上がった。
「こうしちゃいられないわ! 今すぐ商人を呼びましょう! それにドレスのデザイナーにも来てもらわなくっちゃ!」
「こらこら、落ち着きなさい。今は夜だよ」
「母上、嬉しいのはわかりますが急ぎ過ぎです」
「母上、ハルカさんが驚いているじゃありませんか。座ってください」
「ハルカ、気にしなくていいからな。放っておけば落ち着くから」
「は、はあ」
すぐにでも商人を呼び付けようとするルシエラ様を男性陣が冷静に諫める。
「ふふっ、お義母様ったら相変わらずね」
「本当ね。ハルカちゃん、私たちの時もあんな感じだったのよ」
つまりこのような状態になるのは通算3回目ということで。
どうりでみんな慣れた様子で対処しているわけだ。
「ラズ、母上は俺たちが押さえておくから、お前たちはもう部屋に行っていいぞ」
「わかった。ありがとう兄上」
「あ、お前たちの部屋別々なんだが……ハルカさんと一緒のほうがいいか?」
「えっ!?」
「……兄上」
お義兄様の言葉にラジアス様がぎろっと睨んで返す。
「おーこわ。冗談だって。おやすみ~」
お義兄様は肩をすくめて手をひらひらと振った。
ラジアス様は溜息を吐くと「行こう」と言って私の手を取って部屋を出た。
ラジアス様に手を引かれてやってきたのは以前も用意してもらった客室だ。
ラジアス様の部屋とは階違い。つまりここでさよならだ。
「次に来る時はハルカも俺たちと同じ階、いや俺と同じ部屋だな」
「ぅえ!? おおおお同じ部屋!?」
そりゃ結婚するし、同じ部屋でも問題ない。
でも、でもさ! あえて言わなくても良くない? くっ、経験値の差が……!
「……顔、赤すぎないか?」
「言わないでくださいよ~! しょうがないじゃないですか!」
熱くなった頬を両手で抑えていると、ラジアス様が笑いながら私の手ごと頬を手で包んだ。
そして私の顔を覗き込んで、とんでもない色気を放ちながら「意識してくれてるのか?」と聞いてきた。
なんて事を聞くんだこの男は!
「するに決まってるじゃないですか! 私はラジアス様のこと大好きなんですよ!? しないほうがおかしいでしょうが!」
なんだこれ。なんの羞恥プレイだ。
なかば怒るようにそう言った私の言葉にラジアス様は一瞬驚いたような表情を見せたかと思うと、すぐに蕩けるような笑みを浮かべ、そして私にとびきり長いキスをした。
「…………っ………ん…………ん~っ!! ぷはぁ! なに!? 何なんですかいきなり!」
私がぜえぜえと酸素を確保していると、ラジアス様は私をぎゅっと抱きしめて「は~、好きだ。愛してる」と言った。
「なに? どうしたんですか急に」
いきなりどうしたのか。
ラジアス様の行動に私が訳もわからなくなっていると「無自覚なのが恐ろしい。このまま朝まで一緒にいたくなってしまうからあまり煽ってくれるな。……いや、俺が悪いのか?」とぼそっと言った。
「あお、煽ってませんよ!」
「俺は煽られた。もう少しだけこのままで。大丈夫だ、これ以上手を出したりはしない」
そう言ってラジアス様は私を抱きしめ直した。
身長が結構高い私だけれど、ラジアス様はさらに高いから腕にすっぽり収まるわけで。何回抱きしめられても恥ずかしくて幸せで満たされた気分になる。
ずっとこうしていたいなと思ってしまう。
でもね、ここ廊下なんですよ。人様の家の廊下なんですよ!
恥ずかしさのほうが勝るんだよ!
恥ずかしさで身体をもじもじさせているとラジアス様はさらにきつくぎゅっと抱きしめてから腕の力を緩めた。
そして今度は額にチュッとキスをくれた。
くすぐったさに思わずきゅっと目を瞑ると、その瞬間唇にも同じことをされた。
もちろん私の顔は赤く染まったことだろう。耳まで熱い。
「んー、良し。俺も部屋に戻るとしよう」
そう言って私の頭をわしゃわしゃっと撫でると耳元に口を寄せて「楽しみはまだまだ先にとっておかなくてはな」と囁いた。
思わずバッと耳を塞いでラジアス様から離れると、それはそれは良い笑顔で「おやすみ」と言って去って行った。
「おやすみじゃない!」
去り行く後ろ姿に文句を言って私も部屋に入る。
言いたいことを言って、こんなにドキドキさせて、なんて困った人なのだろう。
(今日はドキドキしすぎて寝れないかもしれない)
そう思ったはずなのに、私は結局朝までぐっすり眠ったのだった。
やっぱり自分は図太い性格をしているんだなと再確認できた1日だった。
いつも評価やいいね、誤字報告&感想などありがとうございます。




