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【前代未聞】三〇〇〇回感想書いたので公開してみる【今だけ】  作者: 鴉野 兄貴
1001-1100

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#中島敦 全集1 #オーディオブック  

中島敦の青空文庫

https://www.aozora.gr.jp/index_pages/person119.html


オーディオブックは全集と銘打って1巻で終わっています。

 鴉野は文学とは無縁の門外漢でなんとなくクッソつまらないのだろうという偏見を拭い切っていない。多分大阪文学校にいた頃の反動であろう。当時乱読家だった鴉野は「ラノベやゲームノベライズにも文学と認めるべき作品はある」と主張したのだが鼻で笑われたのである。


 中島敦は知人が美文の素晴らしさを熱く語り手書き文字にて書き取りまでやっていたほどの作家である。

 実際、美文好きなら一度は書き取りをする作家のひとりといっていい。


 知人は『山月記』を書き取りしていた。人が虎になる話で『文豪ストレイドッグス』のネタにもなっている。しかし主人公が陥るこの浅ましさと悲哀はなろう作家には身につまされるものがある。他人事じゃない(汗)。


 また『文字禍』もなかなか来ている。文字に表せば表すほど素直な本質や感動から離れて知識に陥ってしまい、別の『文学』という何者かになってしまう恐怖を感じたことはないだろうか。奇しくもこの物語は実務の世界から記録の世界になってやがて滅ぶ運命の王国を舞台に描かれている。


 朝鮮半島を舞台とした『虎狩』も独特だ。反骨精神はあるのに腕っぷしは全然な親友と共に主人公は虎狩に付添うことで冒険に出るのだが、人間のせせこましさ、もの悲しさ、いっそ虎となって狩られるほうが愉快なのではないか。実際に虎に化けて生意気な官吏を締め上げる人々も描いて独特の世界を描く。


 識者だが働かない。『斗南先生』は独特の研究で実はすごい見解を見せているのだがやっぱり働かないしそもそも働いたことがないからまともに人づきあいができない。そんなおじさんに振り回されつつ愛情深く書かれた物語はおじの遺産とそれを不要としつつもどこか誇らしくおもう微妙な心理が描かれている。


 そして『狐憑』は人類最初の創作者であり語り部となった青年の顛末が描かれるのだが、生まれる時期がなぁ。となる。ネタバレオブネタバレになるので詳細は言えないが湖の真ん中に集落を構える不思議な昔話として聞いてほしい。


 木乃伊は転生チーハーではないが、何度も前世の記憶を取り戻す物語である。なろうと違ってビターエンドだが聞いてみてほしい。


 最後に『光と風と夢』は『宝島』の作者スチーヴンスンを主人公に南洋植民地の様子を美しく描き切っている。作者は実際パラオに勤めていた。南洋は作家に何かインスピレーションを与えてくれるのかも知れない。

 そして、それは彼の作品『宝島』以上の宝を我々に、彼の人生に示しているのだ。


 是非、片手間で良いので聴いてみてほしい。まだ1巻のみだがオーディオブックとして発表されている。今後に期待してレビューとする。

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