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【前代未聞】三〇〇〇回感想書いたので公開してみる【今だけ】  作者: 鴉野 兄貴
2501-2600

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151/192

#トムブラウンの学校生活 #書籍 #絶版

トム・ブラウンの学校生活

全2冊

著者:トマス・ヒューズ 著 , 前川 俊一 訳

通し番号:赤243-1

ジャンル:書籍 > 岩波文庫

日本十進分類 > 文学

刊行日 1952/06/25

ISBN 9784003224311

Cコード 0197

体裁 文庫 ・ 272頁

在庫 品切れ


この本の内容

本当のジェントルマンを作り上げるための全人的教育制度をもって誇るパブリック・スクールの生活が作者(1822‐1896)自身の体験に基づいていきいきと描かれている.そしてこの教育の成果は,本篇の主人公トム・ブラウンの成長の過程が雄弁に物語る.少年社会のあふれるユーモアと,底を流れるキリスト教精神と,スポーツ精神の調和が高い香りを放っている名作.

(岩波書房さんのサイトより)

 個人的には長らく絶版になっている『トム・ブラウンの学校生活』を読んでみたかったがまだ訳者著作権が残っているので青空文庫になく、絶版本はメルカリでも入手困難だったりプレミアがついているので図書館で読んだ(※図書館は結構絶版本もおいていたりする)。


 ――「それは、下級生を一度もいじめたことがなく、上級生に対しても決して後ろを見せたことのない人間の名前だよ。」――


 1830年代のイギリスの田舎を鮮やかに描き、いたずら者だが一本気な郷士ブラウン家の人々が生き生きと描かれている……のだが旧字体で描かれているのでマジで読みにくい。作風も読者と作者が同時に存在してブラウン氏族と行動を共にしている感がある演出なので二人称と三人称の間くらいの描写になっている。どれだけ面倒かといえば例えばへんが鴉野には丸一日以上読めなかった。


「変な名前だな」(『雅な名前? ……にしちゃ雅の旧字体ではない』)

「変人」(『これか~!』)


 ……本文の文脈から『変』と特定してインターネットで調べてやって特定。

 以降は知らなかったはずのこいなども自然に読めるようになるのだから人間の脳って高性能である。


 この物語、どっかの児童文学者が頑張って翻案したり漫画化にしたら絶対面白いと思うのだが(※ハリーポッター世界が好きな人にはたまらないと思われる)たぶん今の時代のひとは新渡戸稲造を読んだ人しか知らない(※『武士道』にて紹介されています)。同じトムでもトム・ソーヤは今の子供でも知っているのに残念である。


 まぁ今の子供(というか鴉野自身にも)にイギリスの諸民族の違いとか分からんだろうし、当時石割っていたレベルの人らに豆鉄砲食らわせて学校で使う馬車でトンズラした結果、歴代学生が毎回襲撃受けるとか草生えるのだが(※同じ国でもびっくりするくらい文明レベルが違う)。そのまま使ったら『当時の感覚で描かれているので差別の意図はありません』と注意書きが必要になるのだが、貴族と豪族と農民の間くらいの郷士の生活、電気がくる前の人々の祭り描写は明るく朗らかでヒャッハーなノリのブラウン一族の勇猛さや愚直さ正直さの基盤がわかる。その中でやっぱりブラウンの子供であるトム君が誇り高くも無茶苦茶をやっていくのである。


 地元で必殺の投げ技を習得した彼が時々それを披露したりするが、それは二巻登場のヒロインポジのアーサー君の登場以降である。


 病弱。成績優秀。気弱。真面目の属性てんこ盛りですよ鬼腐神の皆さま。


 このままでは気のいいいたずら者で終わりそうなトムたちを案じた校長たちは彼をトムに『面倒みてね』と押し付ける。

 アーサーの実家は超絶金持ちであり、そのくせ貧者と共に教会活動をやっていた聖人な人々である。当然学校生活には向かない。そもそもトムがお祈りを始めるのはアーサーの影響である。



 トムたちの悪戯が窃盗のレベルに達していたため、かれら自ら監督生のもとにダッシュし、監督生の仲裁もあってなんとかなったのは彼の財力もある。『え、その程度のお金でいいの?』ふっかけた農夫さんも唖然茫然である。


 トムは彼の所為で寮の名誉をかけたボクシング試合をやったり、彼が興味を覚えた寮一番の変わり者と仲良くなったり、彼ら四人のハチャメチャは二巻になってさらに加速する。その根底にあるキリスト教徒の博愛精神にも焦点をあてたい。新渡戸稲造が必読と呼んだ青春小説を読むことであなたもかつての黄金の時代、ラグビー校に誘われることだろう。

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