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【前代未聞】三〇〇〇回感想書いたので公開してみる【今だけ】  作者: 鴉野 兄貴
2301-2400

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139/192

#日本刀の科学 #書籍

発売日 2016年06月16日(木)

[Si新書]日本刀の科学

武器としての合理性と機能美に科学で迫る


著者名:臺丸谷 政志(著者)


¥1,000(税別)


ISBN:978-4-7973-8157-3

サイズ:新書/フルカラー

ページ数:192


おすすめのポイント


材料力学の専門家が「日本刀が持つ本当の強さの秘密」を1冊にまとめました!

想像をはるかに超える「日本刀の奥深さ」が満載です!!


本書は日本刀に興味があるものの、「必ずしもその内容はよく理解していない」「日本刀とは何かを知りたい」という、初心者向けの入門書としてまとめたものです。

日本刀を美術工芸品の面からだけではなく、物づくり、工学の視点から作刀技術などを見ていきます。

また、多くの日本刀専門書と趣をやや異にして、本来の武器として見たときの機能合理性を、力学および科学技術的な観点から解説していきます。


■この本の内容(一部):

●日本刀とは?

●たたら製鉄とは?

●玉鋼、銑、卸し鉄

●和鋼は鉄と炭素の合金

●玉鋼の組織と相変態

●水減し・小割りにおける焼き入れ

●日本刀の伝統的作刀工程

●日本刀の出来を左右する「積み沸かし」

●折り返し鍛錬はメカニカル・アロイング

●鍛え肌

●「折れず、曲がらず」の造り込み

●土置き・焼き入れ

●焼き入れの目的と焼き入れ温度

●焼き入れによる玉鋼の相変態

●力学的バランスから生まれた「反り」

●刀刃にまで焼刃土を塗る理由

●反りが生じるまでの変形過程と焼割れ

●日本刀の「曲げ強度」と「変形」

●「引き切り」は特に良く切れる

●本当に「鎬」で受け止められるのか?

●刀刃と鎬に生じる「最大引張応力」の比較

●残留応力が日本刀をさらに強くする

●「丈夫な刀」「強靱な刀」とは?

●刀身彫刻とで強度が損なわれることはないのか?

●「峰打ち」は本当にあったのか?

●衝撃力は刀身の中を秒速5,000mで応力波動として伝わる

●梁の曲げ振動

●直刀モデルによる目釘穴の位置の考察

●打刀モデルの衝撃応答

●真剣の太刀を用いた衝撃実験とシミュレーション

●刀身のみを用いた衝撃応答実験と数値シミュレーション

●変位変動の計測と刀身に沿う部位の振幅分布

●竹目釘と目釘穴について

●太刀拵にしたとき目釘穴は最適位置になっている

●日本刀の物打ち

●衝撃工学による物打ちの同定

●物打ちの部位はバットの芯に相当

●剣術の達人は物打ちを体得している

●竹刀の物打ち部位

五箇伝


太刀、刀、脇差、短刀の寸法


折り返し鍛錬


造り込み


冷却速度の違いによる鋼の相変態


反りの発生メカニズム


梁の曲げ応力の分布


引き切りによる刃角の鋭角化


衝撃位置の違いによる振幅分布の比較


著者紹介

著者・臺丸谷 政志


臺丸谷だいまるや 政志まさし

1945年、北海道生まれ。室蘭工業大学名誉教授。1968年、室蘭工業大学工学部機械工学科卒。1970年、室蘭工業大学大学院工学研究科機械工学専攻修了。1980年、工学博士(北海道大学)。1987~2011年、室蘭工業大学工学部教授。著書は『基礎から学ぶ材料力学』(森北出版社、2004年)など。衝撃工学、熱応力および日本刀に関する研究論文が多数。室蘭工業大学と室蘭民報社が共催する公開講座「日本刀の科学」で講師を務める。


(SBクリエイティブ社さんのHPより)

 材料力学の見地から述べると空手は空中に浮かぶコンクリートを破壊できる。

 日本刀かんけいなし!


 曲がっためくれたなど欠陥のある曲者刀が安値で出回ることがある。実際の戦闘では『おれずまがらずよく切れる』日本刀はかくも『折れまくるが千切れない』ものでしかないことを察していただけるのではないか。


 また、剣術には『鎬ではじく、受け止める』技があるのだが、実際にこれが有用かとなると材料力学の博士の見解は異なるようで。



 本書は材料力学の教科書をも執筆されていらっしゃる臺丸谷政志だいまるやまさし先生がこれまで発表された論文(※インターネット上で閲覧できます)を軸に2016年に編まれたという異色の日本刀論である。


 ※なお、新書でありながら千円しますので図書館のご利用をオススメします。最近の図書館はネットで予約取り寄せできるぞ!



 基本的な日本刀の知識や歴史に始まり、材料力学の先生ならではの空手によるコンクリート破砕、刀の樋(ひ。刀に入っている溝)に軽量化効果が本当に確認できるか、剣道竹刀と刀の『物打ち部分』はどこに存在するのか、剣道の達人は『物打ち』を体得していることやその衝撃応答、竹目釘が破損しない理由、焼き入れや機能美を材料力学視点で見た場合、実際にものを斬った時などをレーザー測定してみたというニコニコ動画のうぷ主でもここまで本気出さないレベルで収めつつ(※そもそも著者は材料力学の先生なのでちゃんとやるのは当たり前なのだが)オールカラーでポケットサイズ、そしていい加減な経験則に基づく偏見を排すべくあらゆる事象を可能な限り数式で科学的に証明という素晴らしい本である。



 著者である臺丸谷先生がインターネットで公開している論文は無料で閲覧できる。しかしよりわかりやすく図解して持ち運び可能なサイズに見事に収めた素晴らしい本になっているため数時間で読了し一通りの知識が身に付く。まさに新書として非常に優れた本なのである。


(日本刀関連書籍として個人的には、大村紀征著『書籍 真説“戦う日本刀”』の如く大幅に情報と図版増やして300ページくらいのデカイ本で作り直して欲しいと新書の意義がなくなる贅沢な悩みも抱いてしまうレベル)


 なお、時代劇での峰打ちの是非、鎬で斬撃を受けたらどうなるか(まともに受けちゃダメなので受け流し前提)などもこのサイズの本にして見事に掲載している。


 結論? 鎬で受けるな。応力三倍は伊達じゃない。


 もともと著者がこの研究をはじめたのはとある小説であり、『目釘が折れて刀が抜け落ちる』描写を見た読者が投書欄で『目釘はおれないよ?』と指摘していたことに始まるらしい。


 筆者のようないい加減な書き手には冷や汗の出る案件である。



 刀関係のこのようなニッチな記事を読む方はT尾さんや居合をやっているY彦氏や日本刀の切れ味のエッセイを執筆されていらっしゃる大先生、そういった刃物や剣道関係者を除いたらどこぞの読宣くらいな気も激しくしないわけではないがこの紹介エッセイでは完全に自分の趣味に走った作品紹介を心掛けているので御堪忍願いたい。



 余談だが本日紹介した書籍は三つともKindle化されている。Kindleの小さな画面では本来大判書籍として刊行されている『戦う日本刀』を読むのは考慮しておいたほうが良いかもしれない反面、『鍛冶屋の教え』は逆に早く読みたい人は電子書籍のほうがめくる手間が大幅に減って読書速度が上がると思われる(※実際、他人に紹介するために10年ぶりに読むべくこの書籍を電書版で再購入した筆者は数時間で内容確認ができた)。これも刀と同じく良いところそうでないところを見極めて使いこなすべき個性があるというべきかもしれない。

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