対面
無事にエルマ姫とアルス王子を城へ送り届けた後、ベリアス辺境伯の王都宅へ到着した。
元実家と同じぐらいの大きさの屋敷は、今回の事件で被害を受けたのか所々に修復の痕跡が見える。
管理を任されている人達によると、滞在するには問題無いけど、客間が足りないから俺達四人は同じ部屋で過ごすことになった。
それ自体は問題無いし、通された部屋もアトロシアス家で間借りしている部屋よりも広いから、なおさら問題は無い。
「これから、どうする……の?」
「謁見の打ち合わせに関する連絡が届くまでは、ここで待機だな」
できれば知り合いの安否を確認しに行きたいけど、いつ連絡が来るか分からないから動けない。
元実家の使用人や護衛の人達には、道中で会った使用人の女性が繋いでくれるとして、ハルバートを作ったドワーフ探しは謁見の後になるだろう。
「謁見はいつ頃になるのかしら」
「そうだなぁ……」
今日中にエルマ姫とアルス王子が直接陛下へ報告をして、早ければ明日にでも連絡が届いて謁見前の打ち合わせ、そこから謁見の準備だから……。
「順調にいけば明後日か明々後日かな」
「じゃあ、その間に心の準備をしないとね」
「服は……これで、いいんだよ……ね?」
「ああ。俺達は冒険者だから、この格好で大丈夫だ」
貴族やその家臣なら相応に着飾る必要があるけど、俺達は冒険者として謁見するから着飾る必要は無い。
よほど変な服装でなければ、冒険者としての装いで問題無い。
防具や装備品はともかく、さすがに武器は持ち込めないけどな。
「パーティーの類があれば、ドレスのような衣装が必要だったぞ」
「今回は、そのパーティー自体が無いもんね」
「というか、そんなのを開ける状況じゃないもの」
「パーティーの、料理……食べ逃した……」
ロシェリよ、問題はそっちなのか?
「ハッハッハッ。大食い小娘らしいぜ」
憑依装備を解いて、備え付けのテーブルの上にいるレギアが笑う。
ちなみにこいつは謁見にも、その前の打ち合わせにも連れて行くつもりは無い。
だってこいつ、いつでもどこでも口の利き方を変える気が全く無いし。
どうしても連れて来いと言われたら連れて行くしかないけど、その時はどうやって黙らせておこう。
装備した状態で寝ててもらう、という訳にもいかないだろうしな。
まあ、同行させないよう頼むだけ頼んで、駄目だったらその時はその時と開き直るか。
事前に説明をしたのに、聞き入れなかった向こうが悪いってことで。
「つうか俺様としては、ツマラナイ輩よりも斬りがいのある奴に会いてぇぜ」
「いても斬らせないぞ」
「はぁっ? なんでだよ」
「当たり前だろ!」
やっぱりこいつは連れて行きたくない。
謁見なんかに連れて行ったら、間違いなく口の利き方や態度が原因で場が荒れる。
何が何でも同行させないように頼まないと。
そう固く誓い、今日はこのまま移動の疲れを取るために休んでいようと思っていたら、扉がノックされた。
「はい」
「ジルグ様にお客様がお見えになっております。元ご実家の使用人という方です」
扉越しに聞こえるのは、この屋敷にいる使用人の女性の声。
どうやらさっき会った使用人か、彼女に話を聞いた誰かが来たようだ。
既にゼインさんには話を通してあるから、これに関する連絡をする必要は無い。
「分かりました、通してください」
「承知しました」
それから少しして、さっきの女性使用人と執事長が案内されて来た。
執事長の方も仕事着じゃなくて私服姿で、俺を見るやいなや目を見開いて笑みを浮かべた。
「おぉ、ジルグ様! お元気そうでなによりです!」
感極まった様子の執事長が駆け寄って来て、両手で俺の手を握る。
女性の方も薄っすら涙を浮かべ、それを手で拭っている。
「様は止めろって。俺はもうそんな風に呼ばれる立場じゃない」
「いいえ、そんな事はありません。私共にとっては、ジルグ様はジルグ様なのです」
そう言われても主従でもなく、高い身分でもないのに様を付けられるのはむず痒い。
だけど変えるつもりはなさそうだから、このままでいいか。
とりあえずは備え付けの椅子に座ってもらい、現状を聞くことにした。
「それで、お前達は今どうしているんだ? それと他の使用人や護衛の人達は?」
「……数名が操られたゼオン様によって亡き者にされ、生き延びた我々も大なり小なり怪我を負いました」
「護衛の方々は私達を逃がすため立ち向かい、ほとんどの方が亡くなり、生き延びたのは僅かに三名。内二名は手足を失いました」
そうか……。
全員無事だなんて都合の良い奇跡を信じたかったけど、そうはいかないか。
辛そうな表情をする二人に、俺達も沈黙する。
「すまない、辛いことを思い出させて」
「いえ、気になさらないでください」
「そうですよ。聞きましたよ、ジルグ様が仇を討ってくれたと。これで彼らも多少は浮かばれるでしょう」
だといいんだけどな。
「彼女の言う通りです。彼らの仇を討ってくださり、ありがとうございます」
「結果的にな。俺は俺で、あいつを倒す理由が有ったんだよ」
「だとしても、仇を討ってくれたことに違いはありません。後は生き延びた私達が、強く生きるだけです」
……強いなぁ。
彼らに比べれば、ジェノサイドを生み出した責任とかを気にしている俺は、まだまだ弱いや。
体じゃなくて、心がな。
「そうか、お互いに頑張ろうな」
「ええ。勿論です」
「よろしければ、他の方々にも会ってくれませんか? 私達は現在もグレイズ家で働いているので」
えっ? まだあそこにいたのか?
「あの家はどうなってるんだ?」
「屋敷は半壊です。奥様達とご子息達は我々を置いて真っ先に逃げ出し、先月まで知り合いの領地で匿ってもらっていたそうです」
しぶといな、あいつらも。
というか先月まで帰って来なかったのかよ。
「帰ってきたら帰ってきたで、どうして屋敷の修理ができていないのか、早く片付けろと言うばかりで何もせず無茶ばかりおっしゃって」
「屋敷の主かそれに準ずる方の許可も無く、勝手に大工の手配など出来ないというのに。しかもそれを指摘したら、自分達に連絡を取ればよかっただろうと。どこにいるのかも分からないのに、どう連絡を取れと言うの!」
二人の愚痴であり文句を聞き、元身内なのを恥ずかしく思う。
操られていたとはいえ当主と長男は今回の件に絡んでいるのに、よくそんな振る舞いができるよ。
危機感が無いというか、悪い意味でマイペースというか。
「苦労を掛けるな」
「一応はあそこで雇われている身ですから、仕方ありません」
「とはいえ、亡くなった使用人や護衛への哀悼の意すら示さないなんて……」
哀悼の意すら示さないんじゃ、生活保障とか支援なんて全くしていないんだろうな。
「金は大丈夫か? こういう状況じゃ、物だけじゃなくて金も必要だろ?」
「貯えは十分にあるので、大丈夫ですよ」
「国からの補助金や支援金も出ているので、なんとかなっています」
「そうか。でも必要なら言ってくれ、元実家にいた頃は世話になっていたんだし、少し恩返しをしたいんだ」
「そんな、結構ですよ」
「私達の方こそ、ジルグ様にはお世話になったのですから気にしないでください」
世話になったって、精々元家族の横暴から守ったくらいだぞ。
しかも彼らが怪我をさせられてから止めに入ったこともあるから、ちゃんと守れたとは言い難い。
おまけにそれが原因で俺が暴行されて怪我を負って、逆に彼らの世話になったことが何度あったことか。
と言っても、このままじゃ平行線を辿るのは目に見えるし、ここは俺が引こう。
「分かった。だけど本当に困った時は頼ってくれ。多少の金なら融通するし、仕事先も辺境伯様に打診してみるから」
「承知しました。他の生き延びた方々にも、お伝えしておきます」
「屋敷での仕事があるので、休みの私達しか来れませんでしたが、彼らも会いたがっていましたよ」
なるほど、二人は休みだったのか。
それで私服姿なのか。
まだあの家で働いてるって言っていたから、クビにはなっていないと思ったけどそういうことか。
「だったら俺達と面会できるよう、辺境伯様には話を通しておくよ」
「よろしいので?」
「向こうもこっちの事情を理解してくれているし、その程度を禁じる器の小さい人じゃないさ」
元実家の連中と違ってな。
「ありがとうございます。グレイズ家を出てからも変わらぬお優しさ、感謝します」
面と向かってそう言われると照れるな。
そこのロシェリ達とレギア、ニヤニヤしてるんじゃない。
「ところで、そちらのお嬢さん方は手紙にあった?」
「ああ、そうだ。紹介するよ」
ロシェリ達とついでにレギアも紹介し、手紙には書かなかった出会いや旅での出来事、この場にいない筋肉従魔達のこと、ガルアでの活動にアトロシアス家での日々。
彼らの話もさらに詳しく聞けて、俺があの家を出た後の様子やアトロシアス家に入った時のこと、さらに噂で聞いた俺達の活躍のことまで。
時折レギアの毒舌を挟みつつ、語り出したらキリがない話を二人に話す時間はあっという間に過ぎていく。
気づいたらもう夕方で、名残惜しみつつ二人を見送った。
筋肉従魔達による、筋肉隆起の見送り付きで。
やめろ、暑苦しくてむさ苦しくて二人とも引いてるから。
こうして久々の王都での一日は、最後に落ちが付いたけど概ね良好に終わった。
そして翌日、庭を借りて訓練をしている最中に一報は届いた。
明日に謁見の打ち合わせをするから、ゼインさんと一緒に登城するようにと。
****
とうとう国を救った少年とその仲間と対面する時が来た。
打ち合わせの場には彼らの他、ベリアス辺境伯家の当主、その護衛であり少年が籍を置く姓持ち家臣アトロシアス家の当主も同席する。
こちらは私と宰相とその部下、新たに騎士団長へ任命したホルス、彼らと交流のあるエルマとアルス、そして近衛兵が数名だ。
既に彼らは登城して打ち合わせをする会議室へ通されており、少年と少女達は随分緊張しているらしい。
「陛下と直接会うのですから、無理もありません」
宰相の言葉に同意せざるをえない。
だが私が出席しないと、部下が勝手に相手が望まぬ報酬で話をまとめてしまう恐れがある。
実際、何代か前にそれが行われていた事実か発覚し、以降は国王との対面に慣らしておく意味も含めて国王が打ち合わせにも出席するようになった。
一部からそんな事をしなくてもという声もあるが、私としては国を救ってくれた英雄と直接話がしたい。
それも無礼が許されない謁見の場ではなく、多少の無礼は許される打ち合わせの場でな。
さて、では参ろうか。
「それでは陛下、少々お待ちを」
まずは宰相とその部下と騎士団長が入室し、中からの合図に合わせてエルマとアルス、そして近衛兵に守られた私が入室する。
全員が席を立ち、頭を下げた状態で出迎えられた。
杖をつきながら移動して席に座り、声を掛ける。
「楽にせよ」
『はっ』
声と共に全員が顔を上げて席へ着く。
ほお、彼が例の少年か。
なるほどなるほど、確かにアーシェの面影がある。
彼女が功績を認められて名誉士爵になった時、私はまだ皇太子(王太子)だった。
そのため直接話した事は無かったが、あの時の事はよく覚えている。
「ではこれより、明日の謁見についての打ち合わせを開始します。進行は私、宰相のトレバーが務めさせていただきます。なお、この場では多少の不作法は許されますので、そちらの方々はどうか気を楽に」
「「「は、はい」」」
そうは言っても簡単にできるものか。
前髪で目を隠している少女など、声も出せず頷くだけではないか。
まあいい、とりあえず打ち合わせを始めよう。
「それではまずは、今回の功績についての確認をさせていただきます」
テーブルの上に「真実のベル」を置き、当人達を前に確認作業を進めていく。
質疑応答は宰相が行い、記録は彼の部下がやっているから私にすることは無い。
だからこそ、少年少女をジッと観察する。
伝説の冒険者を母に持ち、今回の国難を救った最大の功績者ジルグ。
人柄は良いようだし強さも本物なのだろうが、やはりまだ若いな。
戦場という修羅場には職業柄慣れていても、政治における修羅場には慣れていないのが、緊張と焦りが手に取るように分かる。
仲間の少女達も同じだ。
前髪で目が隠れているロシェリという少女は、緊張でガチガチになって返事も頷くか首を振るだけ。
犬人族とのハーフエルフであると同時に、エルフの禁忌を犯したタブーエルフのアリルという少女は幾分マシだが、強がっているのは目に見えて明らかだ。
そして馬人族にとっては忌み嫌われているという、白毛の馬人族のリズメルという少女は前の二人の間くらいか。
確かにこれでは、例えベリアス辺境伯の手助けがあっても海千山千の貴族を相手にできんな。
「ベリアス辺境伯家当主、ゼイン・ベリアス殿。貴殿の与えた褒美に、間違いはありませんか」
「ありません。彼らは直属の部下ではありませんが、領地を救ってもらった英雄であり、私が継承権を認めた姓持ち家臣の一員への褒美としてはこれが妥当と判断し、与えました」
彼の与えた褒美については事前に報告が届いている。
金貨五百枚、将来的に籍を入れている姓持ち家臣からの分家独立の許可、赴く地での住居の提供。
要するにいずれ冒険者業を続けにくくなった際、第二の人生としての受け皿を用意したという訳だ。
年を重ねれば満足に動けなくなり、少女達との間に子が出来た後のことを考えれば、とても良い報酬だろう。
しかしこれはベリアス辺境伯にすれば優秀な人材の確保であり、彼らからすれば正式な貴族にはならないという意思表示でもある。
自身やその後継者ではなく、領地の一部管理を任せる三男の方に就かせるというのも、直接自分が使う訳じゃないという事への証明になる。
さすがは辺境伯家の当主だけあって、なかなかに強かだな。
「君達は、既にそれらの褒美を受け取ったのだね」
「はい。分家と住居についての契約も……この通り、交わしています」
「……確かに」
少年が取り出し、差し出した契約を宰相が確認して私にも手渡す。
確かに辺境伯と少年達との間で、分家独立の許可と現地での住居の提供に関する契約だ。
どこにも不備や抜け穴らしきものは無く、付け込まれる要素は無い。
頷いて宰相へ返し、それが少年へ返される。
「ではそれを踏まえ、こちらの授与する褒美を説明します」
こちらが用意する褒美は金貨千五百枚、討伐者のジルグ少年には名誉男爵、討伐に貢献した仲間の少女達には名誉士爵の位を与え、さらに全員へ武護救国勲章を授ける。
事前に交わした手紙でのやり取りと変わらぬ褒美の内容。
ベリアス辺境伯が与えた褒美と合わせたからこそ、これで収まる。
もしもそれが無ければ、ただでさえ復興や被害者支援のために支出が多いのに、更なる出費で国庫が立ち行かなるところだった。
こんな状況であっても、経済は回り続けているからな。
それに彼らの正式な爵位を望まないという希望も叶えられた。
「何かご質問はありますか?」
「いいえ」
「あり、ません……」
「無いです」
「ありません」
「では、あなた方への褒美はこれで進めさせてもらいます。次にベリアス辺境伯家への謝礼ですが」
今回の事件解決には大きく貢献していないものの、エルマとアルスを保護して守り抜いた点は評価しなくてはならない。
これはベリアス辺境伯だけでなく、他の息子や娘を保護していた家にも当てはまる。
だがベリアス辺境伯は、他家と違い化け物が領地へ侵攻して襲われかけた。
結果的にそれを阻止して守り抜いた点は、他家よりも評価する必要がある。
王家の者を守ったという事実は、それだけの価値があるのだから。
「現在国庫に余裕が無いため、向こう五年間の減税とさせていただきます」
「承知しました」
できれば少しでも金は欲しいが、与える金に余裕が無い以上は得られる金を減らすしかない。
その分は王都の危機に逃げ出して、なかなか帰って来なかった貴族家から、罰金としてふんだくってやる。
特に大臣とか要職に就いていた輩からは、特にふんだくってやろう。
高い給料を貰っておきながら、いざという時に逃げた上になかなか帰ってこないなど不届き千万。
そんな奴らの懐を温めるよりも、搾れるだけ搾り取って、復興と被害者支援の予算として利用した方が価値があるというものだ。
「陛下、何かご意見は有りますか?」
意見か……ふむ。
「ホルス騎士団長、一つ確認したい」
「はっ、なんでしょうか」
彼は悪しき精霊に操られた騎士団員と戦い、唯一生き残った副騎士団長だ。
自然死や病死でなければ、一日に一度だけ生き返れるという破格の先天的スキル「蘇生」の持ち主で、つい先日までは臨時騎士団長だったが現在は正式に騎士団長を務めてもらいっている。
「ジルグ君とロシェリ君の過去に関する情報は、以前君がまとめたのだったな。裏は取れているかね?」
謁見を前に彼らのことは調べられるだけ調べた。
その中で気になったのが、過去に受けていた虐待を受けていたというこの二人だ。
事件前に騎士団へ報告が届いていた上に、担当していたホルスが生存していたこともあり、この件が虚偽でない事はすぐに判明した。
「孤児院については全員黙秘していたので裏は取れていませんが、グレイズ侯爵家での件は裏が取れています」
「分かった」
ならばグレイズ侯爵家には相応の罰を与えられるか。
だが、孤児院に関しては裏が取れていない以上、迂闊なことはできん。
「ロシェリといったな。孤児院の件は報告を受けているが、そこに嘘偽りは無いか?」
「ああ、あ、ありま、せん」
緊張で震える声での肯定に、真実のベルは鳴らない。
ならば事実ということか。
「良かろう。ならば今回の褒美とは別に、孤児院の関係者には相応の罰を与えるのを約束しよう」
「あ、あり、ありがとう、ござい、ましゅ!」
教会の支援活動には感謝するが、それとこれとは話が別だ。
未来を担う子供を保護して健全に育てる場で、どんな理由があろうとも職員も含めて虐待していたなど言語道断。
場合によっては孤児院への支援を考え直す必要があるから、他の孤児院についても徹底的に調査してもらおう。
しかし、歪な経験をした少年少女が集まったものだ。
それぞれが冷遇や虐待や迫害を受け、身を寄せ合って共にいるようなのに、それが今や居場所があって大きな功績を上げたとは。
こうした若者の話は、是非聞いておきたい。
「さあ、堅苦しい話はここまでだ。国の危機を救ってくれた君達の話、是非聞かせてくれ」
「承知しました」
堅苦しいのは終わりだと言ったのに、堅いなぁ……。
そう思いつつ、化け物との戦いについてや、どのような修行をしたのか、今日は連れて来ていない精霊とやらについて尋ねていく。
できれば精霊にも礼を言いたかったのだが、そいつは口が悪い上にアルスが怖がりそうだから同行させず、謁見にも連れて行くつもりが無いそうだ。
エルマとアルスからも聞いていたが、そんなに口が悪いのか。
ならばせめて欲しい物を与えたいと伝えると、「斬りがいのある強い奴」と返された。
うむ、無理だな。




