その時、女湯では
はぁ、やっぱりお風呂は最高。
何度入っても蕩けるくらい気持ちが良い。
特に今回は温泉だから格別。
話に聞いた程度にしか知らなかったけど、こんなに良いものだったんだね。
ご飯とモフモフに次ぐ良いものを見つけちゃった。
「はぁ、これが温泉かぁ。初めて入ったよ」
「私、も……」
「旅人から聞いたけど、本当に変わった匂いがするのね」
確かにちょっと独特な匂いがする。
だけど温泉の気持ち良さの前では些細なことだよ。
「ふに~……」
「アハハッ、ロシェリちゃんまた蕩けてる」
だって気持ち良いんだもん。
「しっかしあの精霊王、やたら厳しく鍛えてくれたわね」
「本当だね。温泉に浸かっているのに、思い出すと寒気がするよ」
「ブルブル……」
本当に厳しかった。
よく生きていられたなって思う。
モフモフの欠片も無い、ガッチガチでムッキムキな筋肉従魔達でさえ、終わったら倒れて動く気力も無かったんだから。
「とはいえ、ジルグ君の修行を見ているだけってつもりは無いよね」
「当然じゃない。ただ指を咥えて見ているなんて、そんなこと出来ないわ」
「置いて、行かれるのは……嫌……」
ビーストレントの時も、ブラストレックスの時も、死霊錬成獣ドルドスの時も。
最初は一緒に戦っていたけど、途中からジルグ君が駆け出して、引き離されて、戻って来るのを待ってばかり。
デルスっていう精霊が憑依した、ジルグ君の元お父さんとの戦いの時なんて、何もさせてもらえずに引き離された。
肝心な戦いの時に役に立てないのは、もう嫌。
だから修業は辛くとも、頑張る。
「それにしても、まさかジルグ君のお母さんが登場とはね」
「あれには驚いたわね」
「登場の、仕方? それとも……お母さんの、登場、そのもの?」
「「両方」」
確かにビックリしたなぁ。
精霊王さんもそうだったけど、ここでは高い所から飛び降りて登場するのがルールなのかな?
だとしたら私には無理。
あんなに上手く着地できないし、そもそもあんな高さから飛び降りるのが怖い。
あっ、でもジルグ君に抱えられて降りるのならいいかも。
「おまけにそのお母さんが、別の世界からの転生者で今は神様の見習いだなんて」
「違うわよリズ。別の世界じゃなくて、異世界って言いなさい」
重要なのはそこなの?
「最初は信じ難かったけど、あの美味しい食事で全部吹っ飛んじゃったよ」
「確かに」
「ここに、いる間は……ああいうのを……食べられるんだね」
ジルグ君のお母さんが用意してくれたご飯は、どれも最高に美味しかった。
見たことも聞いたことも無い料理が並んで、いくらでも炊いたお米が食べられた。
しかもそのお米が、甘くて柔らかい。
あんなのを食べたら、今までに食べてきたお米は食べられないよ。
「私はアレが良かったわ、バンバンジー。茹でた鶏肉と生野菜に、ドロッとした茶色いソースが合って最高だったわ」
「僕はシャケって魚を使ったチャンチャンヤキだね。ミソって調味料の味が、魚と野菜によく絡んで……」
「カクニは、お肉の絶対王者……」
分厚いのに溶けるように柔らかいお肉、一緒に煮込まれたダイコンとゆで卵には濃い目の汁とお肉の味が染み込んで、極上の美味を生み出していた。
感動している暇があったらもっと食べたくて、気づいたらドンブリで山盛りにしてもらったお米を三杯も食べちゃってた。
「どうして……あの料理がある、世界に……生まれなかった……んだろう」
それがとてもとてもとても口惜しい。
きっとジルグ君のお母さんがいた世界には、あんな料理がたくさんあるんだ。
行けるものなら今すぐにでも行って、色々と食べたい。
「あれだけ食べたのに、まだ何か食べたそうな表情をしてるね」
「あんなに、美味しいのなら、いくらでも、歓迎!」
「ロシェリの場合、本当にいくらでも食べそうだから怖いわ」
どうして怖いのかな。
たくさん食べられるのって、素晴らしいことだよ。
「僕としてはそっちよりも、あれだけ食べたのにお腹が全く出ていないのが驚きだよ」
お腹……胸と同じく平坦で、ちっとも脂肪がついてない。
あれだけ食べても膨らむ気配すら無く、平坦なまま。
だけど別にお腹に脂肪は付かなくていいの、お腹につくくらいなら胸についてほしいの。
ジルグ君が思わずガン見するぐらい、バインバインのボインボインな胸に育ってもらいたいの。
……分かってるよ、そんな夢を見て現実から目を背けることはしないもん。
孤児院からは逃げても、こればっかりは逃げられないんだから。
「ねえ、なんで今度は悲しそうなの?」
「……ぺったんこ」
「ああうん、何をどうしたらそこへ行きついたのかは分からないけど、それが悲しいのは分かるよ。僕達に共通した悩みだからね」
アリルさんとリズさんも自分の胸に触れて落ち込んじゃった。
悲しい悩みは共通、私達は同じ悩みを持つ同志なの。
モシモ大キナコレデ誘惑スル害虫ガ現レタラ、殲滅シナイトネ。
「ふっふっふっ。若人達よ、私も入れさせてもらうわよ」
うん? この声は。
「私、け――」
脱衣所へ繋がる扉を勢いよく開けて登場したのは、ジルグ君のお母さんのアーシェさん。
だけど開いた扉の勢いが強すぎて壁にぶつかって戻って、台詞を言い切る前に閉じちゃった。
たぶん、「私、見・参!」って言いたかったのかな。木の上から飛び降りた時みたいに。
微妙に締まらない登場の仕方に、私もアリルさんもリズさんも思わず黙っちゃう。
ポカンと静まり返ったまま扉を見ていると、今度はゆっくり扉を開けたアーシェさんが、俯きながら額に手を当てて不敵な笑みを浮かべていた。
「……ふっ。認めたくないものね、調子に乗ってしまったという事実を」
こういう人でも調子に乗ることはあるんだね。
たくさんの逸話を残した伝説の冒険者ってイメージがあったけど、少し親しみを感じるかも。
「アッハッハッ、カッコワルイ所を見せちゃったわね」
そう言って体を隠すことなく入って来る。
いくら女湯とはいえ、隠すことなく堂々としているのは凄いなぁ。
私達と同じ、ほぼペッタンコなのに。
でも鍛えているせいか、全身が引き締まっていてカッコイイ。
筋肉従魔達とも、アトロシアス家の男の人達とも違う筋肉の付き方が、妙に目を引き付けて魅力的に見える。
「いやぁ、未来の義娘達と一緒に温泉に入ろうと思ったら、ついテンション上がっちゃって」
そう言いながら体へお湯を数回掛けて、温泉へゆっくり浸かっていく。
義娘……。
う、うん、そうだよね。
いずれジルグ君と一緒になるのなら、私達はアーシェさんの義娘で、アーシェさんは私達のお義母さんなんだよね。
うふふ……。親の顔も知らずに孤児院にいたから、義理でもお母さんがいるのが嬉しい。
そしていずれは私もお母さんに……。
コノ夢ダケハ、絶対ニ逃サナイ。
「はぁ~、良いお湯ね。やっぱり日本人には温泉よね」
ニホンジン、ってなんだろう。
別の世界の言葉かな。
「あ、あの、アーシェさん。質問いいですか?」
「駄目よ」
即答で拒否されてアリルさんが落ち込んだ。
耳の先端が下を向いて、お湯でしっとりしちゃった尻尾もお湯に沈んでいく。
というか内容も聞かずに拒否するって、ちょっと酷くないかな。
「アーシェさんなんて他人行儀じゃなくて、お義母さんって呼びなさい! そうすれば、いくらでも質問を受けつけるわ!」
拒否した理由そこなの?
「えっ、じゃ、じゃあ……お義母、さん」
「何かしらアリルちゃん。答えられることなら、お義母さんは何にでも答えてあげるわよ」
恥ずかしそうにアリルさんが言うと、すっごい満面の笑みになった。
これって私とリズさんも、お義母さんって呼ばなきゃいけない流れなのかな。
……お母さんがいたことがないから、ちょっと嬉しい。
「じゃ、じゃあ、こことは違う、異世界ってどんな世界だったんですか?」
「あっ、それは僕も知りたいです。教えてよ、お義母さん」
リズさんはあっさり受け入れるんだね、お義母さん呼び。
「うんうん、いいわよ。ロシェリちゃんは?」
「えっ、あっ、知りたい……です。ア」
「うん?」
「ひぅっ!? お、お義母……さん」
間違えてアーシェさんって言いそうになったら、笑顔のまま首を傾げて凄い圧力を向けられた。
だけどお義母さんって呼ぶと、圧力は一瞬で消えちゃった。
「ええ、ええ、構わないわよ。ちゃんと食べ物のことも教えてあげるからね」
「は、はい!」
さっきは怖かったけど、良い人!
「私が最初の人生を送ったのは、知っての通りあなた達のいる世界とは違う世界で、そこには魔法とか魔物は物語の中での創作物なのよ」
えっ? ということは、魔法が無くて魔物がいない世界なの?
「ついでに言えばエルフとか獣人とかもいなくて、人間しかいない世界なの。あっ、動物とか虫とか魚はいるわよ」
人間しかいない世界?
それくらいなら想像はできるけど、エルフのアリルさんと獣人のリズさんは驚いている。
「その世界はね、魔法じゃなくて科学っていう技術が発展していて、それを使って魔道具のような物をたくさん作っていたわ」
カガク……。
どんな物かは分からないけど、魔道具みたいなのを作れるんだから、凄い技術なんだろうね。
「どんな物が作られていたんですか?」
「入れた食材を常に冷やして、長期間の保管を可能にした冷蔵庫っていう箱とか」
食材を冷やして長期間保管できる箱!?
そのレイゾウコっていうの、欲しい!
「ツマミを回せばずっと火を点けていられる、コンロっていう台とか」
「うわっ、野営の時に便利そう」
それがあれば、火魔法を使えなくとも薪を集めなくとも暖かいご飯が食べられるの!?
「お米と必要な量の水を入れれば、後は勝手にお米を炊いてくれる炊飯器っていう釜とか」
そのスイハンキも欲しい!
それなら不器用な私でも、お米ぐらいは炊けそう!
「自動車っていう、馬も牛も必要としない乗り物とか」
「勝手に動くんですか!?」
「いいえ、乗る人が操縦するの」
荷車を引く馬や牛は必要無くとも、御者みたいな人は必要な物なのかな。
「あっ、飛行機っていう空を飛ぶ乗り物もあるわよ」
「「「空を飛ぶ!?」」」
どどど、どうやって飛ぶの?
ジルグ君のエアロエンチャントの魔法でも、空中を蹴って移動するのが精々なのに。
しかも乗り物ということは、それに乗れば誰でも空を飛べるの?
「驚くのは早いわよ」
「ま、まだ何か?」
「ロケットっていう、これも空を飛ぶ乗り物があるんだけど」
ごくり……。
「空のさらに彼方まで飛んで行って、人間を月へ到達させたのよ」
「「「つきぃぃぃぃぃっ!?」」」
月ってあれだよね、夜に空に浮かんでいて日によって形が変わる、あの月だよね。
あそこまで行ける乗り物があるの? そんな乗り物を作れるの? しかもそれが魔法無しで動くの!?
「私が生きていた時代には月どころか、月のさらに遠くまで行ける探査機っていう物も開発されていたわ」
月のさらに遠く……。
ふわあぁぁぁ、凄すぎる。
「とは言っても探査機は無人、つまり誰も乗っていないわ。そもそもロケットに乗るには難しい試験に合格して、辛い訓練を受けなくちゃならないしね」
だとしても凄い。
お義母さんがいた世界のカガクっていうのは、人を空のずっと先へ連れて行くものなんだ。
「でも基本的には、生活に密着した物が多かったわ。先に挙げた冷蔵庫とかコンロのようにね」
「他には? 他にはどんな物があるんですか!」
「教えてください、お義母さん!」
別の世界に興味があったアリルさんはともかく、興味本位程度だったリズさんも興味津々になっている。
そういう私も、今では食べ物以外でもどんな物があるか、凄くワクワクしているけどね。
「ええ、勿論教えてあげるわ」
お義母さんが教えてくれる物は、衝撃の連続だった。
御者が操縦させすれば勝手に畑を耕してくれるコウウンキ。
遠くの人と話せるデンワに、様子も見れるビデオカメラ。
紙に同じような絵や文章を写してくれる、コピーキ。
そして向こうの便利な道具を使うために必要なデンキっていう、雷と同じ力を生み出すハツデンキ。
どれもこれも、魔法が無い世界の人達が作り出したとは思えない物ばかり。
むしろ、魔法で再現できるかなと思うぐらいだよ。
「凄いわね、異世界は」
「そんな世界も存在しているなんて、夢にも思わないよ」
「料理も、美味しい、しね!」
そこは重要かなって表情をしているアリルさんとリズさん、重要だよ。超重要だよ。
美味しいご飯がたくさん食べられるのは、とても重要なことなの。
「だけど良い事ばかりじゃないわ。これだけ技術があると、命を奪うための強力な武器もたくさん作られたからね」
あっ、そうか。
教えてもらった物はとても便利で役に立つけど、これだけの技術があって武器が作られないはずがないもんね。
「爆発の力を利用して、目にも止まらない速度の鉄の球を放つ銃とか」
目にも止まらない鉄の球!?
そんなの避けられないよ。
「遠くにいる相手に向かって撃って、何かに当たったら爆発するミサイルとか」
飛んで行って当たったら爆発!?
それって直撃を避けても爆発で死んじゃうよ!
「私がいた時代じゃ、防衛のために用意しているそういった武器が、私が生まれるずっと前は当たり前のように使われていて国同士、人間同士が争っていたのよ」
便利な良い世界かと思ったら、やっぱりそういう歴史はあるんだね。
さっきまで目を輝かせていたアリルさんとリズさんも、黙って唖然としてる。
「でもそういった時代があったからこそ、二度と同じ時代を迎えないように世界が歩みだしたとも言えるわ。まあ、完全にとは言えないけどね」
ということは、まだどこかでそういう物を使った争いがあるのかな。
なんだか今の話を聞くと、私達の世界がアーシェさんのいた世界の時代に辿り着くまでは、まだまだ遠い気がする。
話を聞くまではちょっと違う程度かなと思っていたのに、印象が大きく変えられたよ。
「そんな暗い顔しないでよ。世の中ってのは浮き沈みがあるの。良い時代があれば、当然悪い時代もある。さっき言った武器が飛び交っていたのは悪いも悪い、最悪の時代だったのよ。だからこそ、それを忘れないようにして最高の時代を目指すようになったのよ」
最高の時代か。
それってどんな世界なんだろう。
とても想像できない。
「そういう意味じゃ、私が生きていた時代はまだまだ道半ば。辿り着けるかは分からないけど、そんな時代へ向けて歩んでいる途中だったのよ。今はどうなっていることやら」
アーシェさんが生きていた時代で道半ばなのか。
私達の世界がそんな時代を迎えるのは、まだまだ遠そうだね。
「それにしても、異世界の道具は凄いんだね」
「確かにね。戦いのための道具はともかく、生活を豊かにする道具は欲しいわ」
「レイゾウコ……コンロ……興味、ある」
それがあれば、野営の食事がもっと良くなるよ。
「お義母さんはそういうのを作るか職人さんへ提案しようとは、思わなかったんですか?」
「ええ。思わなかったわ」
どうしてだろう。
他にも便利な物はあるだろうし、そういうのを提案すれば冒険者としての名誉だけじゃなくて、お金もたくさん手に入ったかもしれないのに。
「どうしてですか?」
「んっとね、そんなことをしたらこの世界のためにならないかなって、思ったの」
私達の世界のためにならない?
なんでだろう。便利な物はあって困らないのに。
「私が最初に生きていた世界には異世界へ転生する物語がたくさんあって、そこに出て来る人は大抵、元の世界の知識で便利な物を作ったり内政に役立て発展させたりすることが多いの」
へえ、道具だけじゃなくて内政にも役立つんだ。
「私も冒険者を引退した後は、そういうのをやろうかなって思ったわ」
「でも、やらなかったんですよね。どうしてですか?」
「そんなことをしたら、この世界の人達が成長するのを邪魔しちゃう気がしたの」
成長を……邪魔?
どういう意味だろう。
「私達の世界の道具や知識は確かに便利だけど、そこに至るまで数えきれないほどの失敗を重ねて、試行錯誤を繰り返して、改善と改良を加えて作り上げてきたの。でもそれを私が教えて広めたら、同じことをしてこの世界を成長させようとするたくさんの人達から、その機会を奪っちゃうんじゃないかなって思ったのよ」
今の話を聞いていると、便利だから教えて広めて良いと思っていた自分が浅はかに思えてきた。
二つの世界で人生を過ごしていたとはいえ、考えることが深い。
敢えて教えずに、この世界の人達が自力で同じような物へ辿り着くのを見守ろうとするなんて、話を聞く前の私じゃ考えもつかない。
それはアリルさんとリズさんも同じみたいで、二人とも悔しそうにしている。
「歴史の重みっていうのは、そうやって作り上げられていくものだと思うの。だから私が教えた知識で間を一足飛びさせた歴史に、重みはこれっぽっちも無いわ。そうなったらきっと最悪の時代を迎えて、そのまま終わるような世界になっちゃうんでしょね」
作り上げる苦労をしていないから簡単に壊しちゃう、ていうことかな。
「尤も、強力なスキルと前世の知識で調子に乗って自分を壊しちゃったからこそ、ようやく気づけたことだけどね」
そしてそのままアーシェさんは終わっちゃった。
二度と戦うことも、アトロシアス家へ戻ることも、ジルグ君を育てることもできずに。
最悪の状態に陥って、終わっちゃったんだ。
「だからね、異世界のことは教えてあげるけど、物を作る知識は教えてあげないわ。いずれ遠い未来に、誰かが作り上げるのを待っていなさいね」
「「「はい」」」
なんだか思わぬ形で深くて良い話を聞いちゃったな。
「さっ、湿っぽい話はここまでにしましょう。次は異世界の料理について話してあげるわ」
重くて暗くなった雰囲気を変えるため、アーシェさんは笑顔でそう切り出した。
だから私達も、ここからは楽しい話を全力で楽しむの。
「お願い、します!」
この後で話してくれた料理は、どれも美味しそうだった。
特にオムライスは食べてみたい。
えっ、ちゃんと修行すればいずれ食べさせてくれる?
頑張る!
「じゃあついでだから、ジルグのためにもなる話をしてあげるわ」
ジルグ君のためにもなる話って何だろう。
これがまさかのえっ、えっちぃ知識。
異性を満足させるとか、趣向を変えるとか言って色々話してくれた。
これには温泉に入っているとか関係なく、私もアリルさんもリズさんものぼせちゃった。
逃げようとしても、逃げさせてくれなかったし。
「い、異世界には特殊な趣向があるのね。叩かれるのがいいなんて」
「エイセイっていうのに気をつければ、後ろでも……」
「はう、はううぅぅ……」
三人揃ってのぼせて部屋へ戻ると、もう寝ようとしているジルグ君から浸かりすぎは良くないって注意された。
違うのぉ、アーシェさんに色々吹き込まれたせいでのぼせたのぉ!




