精霊王との時間
無言で目の前に並ぶ飯を食らう。
夕飯を用意してくれた母さんがタンパクシツとかビタミンとか言っているけど、今はそれが何かを聞くよりも、とにかく食いたい。
隣に座るロシェリはともかく、向かいに座っているアリルとリズさえも、食べることに集中していて雑談の一つも交わそうとしない。
そんなことをしている暇があったら、少しでも何かを食べたい。
見慣れない料理ばかりだけど、おそらくは母さんが用意した別の世界の料理なんだろう。
トウフっていう白い物にショウユっていう黒い液体を掛けて食う、野菜を食う、魚を食う、肉を食う、野菜や果物で作ったスムージーとやらを飲む。
あの酸っぱくて塩気の強い赤い物、ウメボシっていう果実を齧っては米を掻っ込む。
おかわりはナットウっていう、混ぜたら糸を引く変わった匂いの豆を米に乗せて掻っ込む。
途中でアサヅケっていう塩漬け野菜を食べ、ミソシルっていうスープを啜って少し落ち着いたら、三杯目は母さんから勧められた溶いた生卵にショウユを加えて混ぜ、米へ掛けたタマゴカケゴハンを掻っ込む。
「はぁ……食った……」
多くのおかずと、チャワンっていう器で三杯の米を食べ終えてフォークを置く
既にアリルとリズは食べ終えているけど、ロシェリはショウユを垂らしたダイコンオロシっていうのを乗せて、チャワンよりも大きなドンブリで五杯目の米を食べている。
「いやあ、外の従魔達も凄い勢いだね。草と木の実を貪るように食べて、極薄の塩水をガブガブ飲んでいるよ」
精霊王の言う光景が容易に浮かぶ。
ついさっきまでの自分がそうだったから、簡単に想像できる。
「はい、食べ終えた三人は締めにヨーグルトね。これくらいなら入るでしょ」
出されたのはヨーグルトっていう、白くてドロッとしたもの。
スプーンで掬って食べてみると、歯ごたえが無くて独特の酸味がある。
なんとも微妙な味だけど、食べられなくはないからさっさと完食。
えっ、ハチミツとか砂糖とかで甘くできる? 先に言ってくれ……。
「ぶはっ……ごちそう、さま……」
結局ロシェリはドンブリで米を七杯食べた。
肉や野菜や魚も俺達以上に大量に食べて、ヨーグルトとかいうのもたくさん食べたのに、食べ過ぎて腹が膨れている様子すら見られない。
いったいあれだけの量がどこへ入って、どんな速度で消化されているんだろう。
何度見ても不思議だ。
「おそまつさまでした。さあ皆、明日も修行があるから今夜はちゃんと寝るのよ。ただし、食休みをせずに就寝したら逆流性食道炎になるかもしれないから、食休みは絶対に挟むのよ」
今のギャクリュウセイ……なんとかって何。
でもまあ要するに、食後にすぐ就寝するなってことだろ。
それだったら風呂にでも入ってこようかな。
だけど今はちょっと無理、少し食いすぎたから腹がこなれるのを待とう。
アリルとリズも同じような感じで、少し苦しそうに腹を押さえながら背もたれに寄り掛かっていた。
俺達以上に食っていたロシェリは平然とした様子で、食後の温めた牛乳を飲んでいる。
「それにしてもロシェリちゃんはこんなに食べるのね。上で見ていて知っていたつもりだけど、驚いちゃったわ」
上っていうのは神のいる場所か?
ポンコツ女神と会った時、上から降って来てそのまま土下座をかましたからな。
やべっ、思い出したらちょっと笑いそう。
「どう? お腹いっぱい?」
「は、はい」
「そう。だったら良かったわ。ここならいくらでも食べ物を出せるから、遠慮せずに言ってね」
「いくらでも……」
前髪で隠れている目が輝いていそうだ。
金も量も気にせず食べられるなんて、ロシェリには夢のような状況でしかないからな。
「さあ皆。せっかく温泉も用意したんだからじっくり堪能して、明日の修行への英気を養ってよ」
精霊王がそう告げてこの場は解散。
明日の修行を考えると重く感じる足取りで一度部屋へ戻り、それぞれのベッドへ寝転んで食休みを過ごす。
「はあ、随分食べたわね」
「というか、あれだけ修行してよくあんなに食べられたものだよ」
「同感だ。胃が受け付けるか不安だったけど、案外食べられるもんだな」
「好きなだけ、食べられるのは……素晴らしい」
ロシェリだけ話の筋がズレているのは、気にしないでおこう。
しかし人ってのは、ああも無言で食い続けられるものなんだな。
腹が減って貪り食ったことは何度がある。
でも話す余裕も無いほど、食うことにだけ集中して食い続けたのは初めてだ。
「ところでジルグはどんな修行したの?」
「それを身に着けて、ひたすら体を鍛えていた」
部屋の隅に置いてある、分裂したレギアが憑依したままの装備品一式を指差す。
修行が終わってからレギアはずっと寝ている。
勿論、分裂している全てがだ。
「鍛えていたって、どんな感じなんだい?」
「色々と」
母さん指導による修行内容を話し、ついでに前世も含めた生い立ちも説明。
夕食で食べた料理が別の世界の料理かもしれないと知ったロシェリは、その世界へ行きたいとまで言い出した。
まあ、どれも美味かったもんな。
「別の世界からの転生者って、物語の中だけの創作物だと思っていたのに」
「しかも神様からのお詫びで前世の記憶持ちとはね」
「あんな料理が……いっぱいある、世界……。行きたい……」
ロシェリさんや、さっき腹いっぱい食ったのにまだ食べたいのか?
食べたばかりの夕食は、もう消化されたのか?
「という訳で、別の世界の鍛え方で修業中」
「なるほどね。でも体を鍛える理由は納得できるかな」
「そうね。自力で習得して成長させた訳じゃないから、小手先の技術って言われても反論できないわ」
「同……感」
だよな。
ポンコツ女神から教わった通り、入手したり強化したりしたスキルを扱えるように訓練はしてきた。
だけど母さんの指摘で、技術は習得してもそれを扱うための土台である体ができておらず、技術頼みで不完全な状態であることに気づかされた。
まったく、あのポンコツ女神はどうしてその点を教えてくれなかったんだ。
ポンコツだから忘れていたのかもしれないし、向こうもその点に気づいていなかったのかもしれない。
まったく、これだからポンコツは。
「そういえば、皆はどんな訓練を受けていたんだ?」
どんな修行をしていたのか気になったから、何気ない気持ちでの質問に三人の様子が変わる。
ロシェリは枕に顔を埋めてガタガタと震えだし、アリルは犬の尻尾とエルフの耳が下向きに垂れた状態で膝を抱えて俯いて動かなくなり、リズは色を失った虚ろな瞳で遠くを眺めて枕を力強く抱きしめている。
何この反応、怖い。
「ああえっと、無理に喋らなくていいぞ。思い出させて悪かった」
反応からして相当キツイ修行なのは分かったし、三人の精神安定のためにも追及は避けておこう。
追求を止めると三人の様子は元に戻ったから、とりあえず一安心かな。
いや、ここはもう一押しして気分転換させておこう。
「腹をこなれてきたし、そろそろ風呂にでも行くか?」
風呂の一言で三人の表情に明るさが出た。
良かった、どうにか気分転換させられたようだ。
「そうね、行きましょうか」
「確か精霊王様が温泉って言っていたね。楽しみだなぁ」
「お風呂上がりは、牛乳……!」
うんまあ、風呂上がりの水分補給は大事だよな。
****
という訳で温泉に入浴中だ。
混浴を期待していたどこかの誰か、残念ながら男女別だよ!
こっちは俺一人、広い浴槽を独り占めだ。
お湯は白い濁り湯で、浸かっていると疲れが和らいでいく気がする。
「ふぅ……」
垣根一枚向こうではロシェリ達も入浴しているようで、楽しそうに喋っている声が聞こえる。
聞き耳を立てる趣味は無いから会話の内容は分からないけど、楽しそうならなによりだ。
今は明日の修行のことは考えず、温泉を堪能して穏やかな時間を過ごそう。
「ごぶごぼがぼ……」
なんだ今のは。
辺りに人影は無く、垣根の向こうから聞こえた音でもなさそうだ。
うん? なんか少し離れた位置に気泡が出て――。
「とうっ!」
「うおっ!?」
なんだろうかと首を傾げていたら、気泡が出ていた位置から精霊王が飛び出してきた。
ビックリしたな、どうしてそんな登場の仕方をするんだ。
というか、いつからそこに潜っていた。
ていうか何やってんの、この精霊王。
「アッハッハッ。良いリアクションをありがとう」
腰に左手を当てて右手の親指を立てる精霊王の表情は、まるで悪戯が成功した少年のような笑顔。
こいつ本当に偉い精霊なのか?
それと少年の姿とはいえ、前は隠せ前は。
「いやぁ、やっぱり温泉はいいねぇ。精霊王の僕には食事も睡眠も入浴も必要無いんだけど、昔興味本位で入浴したらすっかり気に入っちゃってね。ふん、ふっふふ~ん、ふ~ん」
軽い口調で喋りながらお湯に浸かり、微妙に調子の外れた鼻歌を歌いだした。
今の精霊王は、見たまんま十歳ぐらいの少年にしか見えない。
「ふふふん。実は密かな夢だったんだよね、こうして誰かと温泉に入るのが」
「精霊とは一緒に入らないのか?」
「彼らにとって僕は雲の上の存在みたいでね、誘っても断られるんだ。気にしないのはレギアとデルスぐらいだったけど、その時にはもうここを出て行った後だったから」
確かにあいつらなら、周りにとって雲の上の存在でも気にしなさそうだ。
なにせアルス殿下に平然と、いつもの口調で責任の取り方について言い争って論破して勝利したくらいだからな。
近衛兵や騎士団員からの威圧や殺気も、まるで効いてなかったし。
「そういえば、なんであいつらはここを出て行ったんだ?」
いい機会だし、ちょうどその手の話題が出たから聞いてみよう。
レギアは絶対に答えてくれないだろうし、そのレギアは装備品に憑依したまま抜け出すことも動くこともできないから、ここを逃したら二度と聞けないかもしれない。
そんな気持ちでの問いかけに、精霊王の表情が少し曇った。
なんだ? ひょっとして精霊王が何か絡んでいるのか?
「出て行った、というより彼らはここを追い出されたんだよ。他の精霊達にね」
追い出されたって、なんでまた。
「僕は精霊の成長を促すため、進化という要素を持たせた精霊を生み出すことにした、というのは話したよね」
「ああ。それで誕生したのがレギアとデルスなんだろ?」
「その通り。だけどそのためにはどうしても、憑依対象を生命体そのものや人が身に着ける物にする必要があって、他の精霊達にそれが受け入れられなかったんだよ」
なるほど、だからレギアは装備品への憑依で、デルスは生命への憑依なのか。
そしてそれが受け入れられなかったのなら、追い出されたのを想像するのは容易だ。
「会ったばかりの時、レギアは自分の事を外道のはぐれ者って言っていた」
「まさにその通りだよ。僕がどう説得して庇っても、他の精霊達は彼らを精霊にあるまじき外道だと非難し、その存在を一切認めず出て行けと罵り続けた。それに耐えられなくなった彼らは、エルフの出入りに便乗してここを出て行ってはぐれ者になったんだけど、実質的に追い出されたようなものだよ」
やっぱりか。
出て行ったのは自分の意思でも、周囲が出て行くように接していたのなら、追い出されたと判断できる。
「精霊は水や大地や植物や火や風や雷、変わった物だと光や闇や時間かな。とにかくそういった、自然に存在する概念に憑依するのものなんだ。だから人の手で作られた物である装備品へ憑依できるレギアと、生命体そのものに憑依できるデルスは精霊達にとって外道であり、認められる物じゃなかったんだよ」
精霊達には何度も説明したが、聞く耳を持たないか聞き流されていたかだったと精霊王が愚痴り、頬を膨らませる。
「普段はウザいくらいに僕を敬うくせに、自分達が受け入れられないことは表面上だけ取り繕うんだよ。器が小さいったらありゃしない」
不機嫌そうに何度も水面を叩く。
気持ちは分かるがやめろ、お湯がこっちへ飛んでくるから。
「そもそも精霊達は勘違いしてるんだよ。自分達が進化しないのは、そんなのが必要が無い完成された存在だってね。違うんだよ、適応能力の高さ故にそれをしようとしなくなって切り捨てただけなんだよ。今の精霊という存在は、成長も進化もしなくなって現状に甘えているだけの、停滞している状態だっていうのに」
怒っている様子は拗ねた子供みたいなのに、口にしている内容は精霊王らしい。
「それを自分達と違うからっていう、ツマラナイ理由で除け者にして外道扱いだからね。二人が出て行ってすぐ、当時ここにいた精霊達は君達のいた世界へ強制的に送りだしてやったよ」
自分達と違うから除け者にして存在否定。
アリルとリズも似たような経験をしているけど、この場合は生まれた時からだからリズのパターンか。
どちらも祖父母だったり精霊王だったり味方はいた。
当時は生まれたばかりだったリズは祖父母の庇護下で守られることになって、レギアとデルスは自ら去る道を選んだ。
違うのはその点だけ。
「言い訳みたいだけど、僕は二人を引き留めたよ。でも当時の二人はやさぐれていてね。情けや温情はいらない、そんなのをかけるくらいなら普通の精霊として生み出してほしかったって言われちゃった」
精霊王なりに精霊の未来を考えてのことが、結果的に仇になった訳か。
「難しいもんだな、新しいことをやるっていうのは」
「全くその通りだよ」
それに関しては俺達も精霊も同じってことだ。
なんかちょっと親近感を覚えるな。
「にしても、どうして成長を生み出すための憑依対象が、生命体そのものや装備品になるんだ?」
その理由がどうしても分からない。
「うんとね、ちょっと長くなるんだけどいい?」
構わないと返し、のぼせないように上半身を湯船から出して浴槽の縁に寄りかかる。
許可が出た精霊王は、俺と同じ体勢になると語りだした。
人に限らず、あらゆる生命体はごく一部を除いて姿を変えて進化してきた。
環境に適応するため、生存するため、新たな発見を活用するため。
理由は様々あれど、生命体は直面した命の危機や環境の変化を学習し、それに適応するためにはどうすればいいのか知恵を働かせた。
必要とあらば徐々に姿を変え、時には不要な部分を切り捨てるか退化させてまで。
そうして成長と進化をしてきた生命体は、学習して知恵をつけることで成長して進化することを潜在的に知っていて、一世代でもそれを可能としている。
外見は変わらずとも、切っ掛け一つで成長と進化を遂げる。
進化する精霊を生み出すためには、生命体へ直接憑依して成長と進化を直に実感させるか、人が身に着ける物へ憑依して成長と進化を間近で実感させる必要がある。
そうすることで精霊は成長と進化を学び、それに対する知恵をつけることで進化へと辿り着く。
精霊の進化に関する一連の流れは、こんな感じらしい。
要するに誰かと関わる事で、成長と進化を誘発させようってことだ。
「だからレギアやデルスのような、特殊な憑依対象にしなくちゃならなかったのか」
「そっ。だけどそのためには他人と協力、共存が必要でしょ。なのにそれを教える前に彼らは追い出されて、挙句に向こうでは憂さ晴らしのように自分勝手なことばかり。能力ばかり強くなって、肝心の成長や進化の傾向は全く無し。困ったもんだよ」
この調子だと、呼び戻そうとしても無視されたんだろう。
だけど今回は呼び出しに応じたし、レギアの話を聞く限り精霊王への印象は悪くなかったから、月日と共にちょっとは理解して丸くなったのかな。
「ていうか、能力が強くなっているんだから成長はしているんじゃないのか?」
「僕が求める成長は君のスキルで見える数値の上昇じゃなくて、存在としてのものだよ。分かり易く言えばもっと強くなりたいとか、もっと上手になりたいとか、そういった内面的なものや心構えみたいなものだね」
ああ、成長ってそういうやつか。
でも分からなくもないかな。
同じ修業をしても、何も考えずにやるのと強くなりたいって思ってやるのじゃ、成長が大違いって教わったし。
「ということはレギアは、今までそういったことを思うことなくあの数値に?」
「デルスと一緒に色々な人や装備品に憑依して、たくさんの人や魔物と戦いながら長い年月を生きてきたからね」
本当に一体、どれだけの年月を生きてきたんだか。
お湯から上がり浴槽の縁に座って、愚痴るように呟く精霊王によると、熊と遭遇した子供と持っていた木の枝へ憑依して熊を撃退したり、危機に直面した冒険者へ憑依して盗賊や魔物を倒したり、クラーケンっていう魔物に襲われた漁師と銛へ憑依して返り討ちにしたりしていたらしい。
途中からタオルで隠す所を隠し、同じように浴槽の縁へ座って聞いていたけど、あいつらどこまでも好き勝手にやっていたんだな。
そりゃあ、意識していなくても強くなるわけだよ。
「そういう訳だからさ、レギアのことをよろしく頼むよ」
「よろしく頼むって言われても、肝心のレギアがこのことを知らないんだろう?」
「まあね。だけど今さら教えたところで彼は聞き入れないだろうから、あんな強硬手段を使ってでも自分で気づかせるしかないんだよ」
それでわざわざスキルを封じて、俺の装備品に憑依させたままの状態にしたのか。
「今からでも、ちゃんと話せば分かってくれるんじゃないのか?」
「正直言うと不安なんだよ。出て行った時より僕への当たりは丸くなっているとはいえ、僕は彼らに何もできなかったからね」
精霊王でも不安にはなるんだな。
「なんか僕の尻拭いをさせるようで悪いけど、彼には自分で成長と進化に気づくようにしてもらえないかな」
両手を合わせてお願いと頭を下げる姿は、まるでおねだりをする弟のようだ。
できれば今からでもちゃんと話し合ってもらいたいけど、そうはいかなそうだな。
「分かったよ。あいつを倒すために強くならなくちゃならないんだ、引き続き修業には全力で取り組む」
「うん、よろしくね」
「でもレギアが気づくのまでは保証できない。だからここでの数ヶ月が経っても気づいていない時は、腹括ってレギアと話せ。どうせ今のあいつは、俺の装備品から出られないんだし」
「うぐっ……。どうか彼が気づくことを願うよ」
精霊王といっても万能じゃないんだな。
なんというか、俺達と同じで上手くいかないことや不安な事、できればやりたくないことを抱えた普通の人みたいだ。
特には今は、レギアと喋ることになった時のことを考えているのか、早くも気まずそうな表情をしている。
「あっ、そういえばデルスは大丈夫なのか? 人間と一つになって成長と進化を学ぶか、潜在的な知識として得るとか」
「その点は大丈夫だよ。核はあくまで精霊のデルスだから、そういったことは組み込まれないよ」
それは良かった。
どうやら進化することは無さそうだ。
一安心した後、もう少し温泉を堪能したら精霊王と一緒に温泉から上がり、腰に手を当てて牛乳を飲んだら部屋へ戻って眠りに就いた。
長湯でもしたのか真っ赤になって戻って来たロシェリ達に、浸かりすぎは良くないぞとだけ言い残して。




