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入れ替えスキルでスキルカスタム  作者: 斗樹 稼多利
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モフらないプニらないガチでムキ


 エルク村を出発し、次の目的地であるシェインの町へ歩を進める。

 平坦で何も無い街道には馬車も人影もなくて、念のために使ったウィンドサーチにも何も引っかからない。


「なんにも、無いね」

「見事になにも無いな」


 向かっている山の麓付近までは、何も無い草原が広がっている光景。これはこれで悪くないとは思うものの、無さすぎるのも退屈だ。


「あの山を、越えるのに……どれくらい、かかる……かな?」

「聞いた話じゃ、徒歩だと四日か五日ぐらいかかるらしい。ただ、もう少しかかると思っておこう」


 ロシェリに合わせて移動することを考えれば、もう一日か二日は必要だろう。予定より遅れた場合の事を考えて食料は準備したし、水は魔法で飲み放題だから問題無いはず。山中なら食材もあるだろうから、足りなくなるということは無い……と思いたい。

 なにせロシェリが本気で食べたら、どれだけ食べるのか未知数だからな。

 視線を向けられて首を傾げるロシェリを見ながら、何度も自分に大丈夫だと言い聞かせた。


「な、何か……用?」


 おっと、見すぎて余計な不安を抱かせたか?


「いや、疲れてないかなと思って」

「まだ……大丈夫、だよ」


 小さく両腕を上げてアピールする様子はともかく、宿で見たあんな細い体と低い体力じゃ遠距離移動は大変だろう。

 元孤児院のいじめっ子の一人から「体力消費軽減」スキルを「入れ替え」で与えたから少しはマシだろうけど、LV1だから気休め程度と思っておこう。


「あの……。水、おかわり」


 えっ? 出発前に水袋は満杯にしておいたはずだけど、いつの間に?

 そんな感じで進む旅路は特に何も起きないまま夜を迎えた。だって周りに何も無いんだから、何も起きようがない。せいぜい兎や狸が顔を出すくらいで、それも俺達を見るやいなや逃げて行ってしまう。

 やった事と言えばロシェリの水袋へ何度も水を補充したり、休憩の合間にハルバートを振って鍛錬をしたり、小腹が空いたから干し果実を食べ歩きしたり、魔法についての意見交換をしたりしたぐらいだ。

 今日はここで野営するため、準備を整えて夕食はブラウンゴートを調理した。


「ブラウンゴート、美味しいね」

「塩茹でしただけなのに、こんなに美味いなんて」


 冒険者ギルドで解体所のおっさんが言っていたように、茹でて調理したブラウンゴートは柔らかい上に脂がほどよく抜けて美味い。どれくらい硬くなるのかと、試しに焼いてみた時の硬さとは比べ物にならない。


「おかわり、いい?」

「たっぷりあるから、好きなだけ食べろ」

「うん!」


 孤児院での生活を考えれば、好きなだけ食べるなんて夢のような言葉なんだろう。弾んだ声で嬉しそうに肉を食べていく。一緒に食べている野菜も次々と口の中へ消えていく光景は、何度食事する姿を見ても驚ける。

 結局、用意したブラウンゴートの肉と野菜類はほとんどがロシェリの腹に収まった。ホント、あの細い体のどこに入っているんだろうか。

 食事を終えた後は洗い物と片付けを済まし、簡単な計算の勉強をしてから眠る前の小休止をしているとロシェリが呟く。


「明日から、山道か……」

「やっぱり自信無いか?」

「あんまり」


 本人は知らないけど、体力の数値が88じゃ当然か。まっ、時間を掛けてでも進むしかないか。

 どうせならこの山越えで少しでも体力が増えてくれるとありがたいけど、そう簡単にはいかないだろう。

 いっそのこと、俺の「能力成長促進」スキルをLV1分だけ「入れ替え」で渡そうかな。あっ、でもそうすると「魔飢」もレベルが上がりやすくなって、空腹になる速さと食事量がさらに激しくなる恐れもあるか。ううん、難儀なことだ。


「いざとなったら背負ってやるから、できるだけ頑張ってくれ」

「分かった……」


 そんな自信無さそうに返事しないでくれ。

 一抹の不安を覚えつつ、夜の見張りをしようとした時に気づいた。金銭は若干の余裕があったのに、スキルのレベルを上げるために読む本を買い忘れていたと。前に塩を買い忘れていた事といい、どうして俺はこうなんだか。

 結局、今夜の見張りでは本を読まず、周囲を見渡して「夜目」スキルのレベルを上げる事だけに集中した。



 ****



 翌日。朝食を済ませて山道へ入った俺達を待っていたのはゴブリンだった。ウィンドサーチを使った時には既に近くにいたから迎撃するしかなく、俺が前衛でハルバートを振るってロシェリは後衛から魔法で援護する形で戦っている。


「こんのっ!」


 棍棒を手に迫るゴブリンにハルバートを振るって数体をまとめて倒しても、その後方にはまだ十数体くらい残っている。

 ゴブリンは個々の能力は弱いけど繁殖力が高く、それを利用した人海戦術が唯一にして最大の攻撃方法。ギルドから渡された冊子の中にも、たかがゴブリンされどゴブリンとあって、決して油断するなと記載されているくらいだ。

 しかもその繁殖には同種のメスだけでなく、人間の女も利用するってんだから性質が悪い。今も俺の後ろから魔法で攻撃をしているロシェリを捕まえようと、卑下た笑いのような鳴き声を上げながらこっちへ迫って来ている。


「来ないでぇ! アイス、ショット!」


 叫ぶように魔法を使ってゴブリンを攻撃する様子から察するに、ゴブリンの繁殖方法を知っていて自分が狙われている事にも気づいているんだろう。拳大の氷を複数撃つ氷魔法を放ってゴブリンを倒している。


「クイックアップ!」


 俺も俊敏性を上昇させる自己強化魔法を使い、さっきまでより素早い攻撃でゴブリンを次々に倒していく。「パワーブースト」で強化せずとも倒せたから、速度強化で手数を増やしてとにかく数を捌くことに集中する。前に出過ぎないよう気をつけつつ、とにかく突っ込んで来るゴブリンからロシェリを守りながらハルバートを振るう。

 そうやってどうにか全てのゴブリンを退け、念のためウィンドサーチで他にもゴブリンがいないかを確認してようやく一息ついた。周囲を見渡せばゴブリンの死体で辺りは死屍累々。数える余裕が無かったから何体いるか分からないけど、全滅させられて良かった。


「思ったより数がいたな。大丈夫か、ロシェリ」

「お腹、空いた……」


 あっ、疲れたとかじゃなくてそっちなのね。

 とりあえず次元収納からリンゴを取り出し、それをロシェリへ手渡す。


「ほい、これでも食べててくれ。俺は右耳を集めてくるから」

「ありがと。食べたら、手伝う」

「ん、よろしく」


 リスのようにリンゴを食べだすロシェリを背に、ナイフを取り出してゴブリンの右耳を切り取る。

 ギルドカードに討伐の記録が残るとはいえ、討伐証明があった方が信憑性が高いって冊子に書いてあった。ゴブリンは何の素材にもならないし食用にもならないから、こうして右耳だけを切り取ってギルドへ提出することになっている。

 途中からロシェリも右耳を切り取る作業を手伝ってくれて、全部を集めて数えてみると襲ってきたゴブリンは全部で二十六体いた。


「数で攻めて来るのは知っていたけど、こんなに大勢で押しかけて来るのか」

「思ったより、多かったね」


 回収した右耳を次元収納へ入れながら心の中で同意して、改めて山道を歩き出す。

 ただ、俺達は知らなかった。いくらゴブリンが数に任せて攻めて来るとはいえ、通常はせいぜい十体くらいの集団だということを。二十体以上が集団で移動しているとすれば、群れのリーダー争いに負けた集団が新しい巣を探しているか、より強い何かから逃げてきたかということを。

 そしてこのゴブリン達は後者に当たり、冒険者ギルドも知らないうちに強力な魔物が発生しているということを。俺達はその存在のことなど、全く知らないでいた。


「ゴブリンって……討伐すれば、いくらになるのかな?」

「一体毎に銅貨三枚だって聞いた」

「……えっと……じゃあ、合計……銅貨、七十六枚?」

「惜しい七十八枚だ」

「うぅぅ……」


 計算を間違えたロシェリが恥ずかしそうに俯く。別にちょっと間違えたくらい、気にしなくてもいいのに。

 でも話通りの環境で育ったんなら、ちょっとした間違いも悪口を言われるネタにされたんだろうから仕方ないか。こうした呪縛は徐々に解いてやるしかない。焦らず、ゆっくりじっくりとな。


「気にするなって。じゃあ仮に十体毎に銅貨二枚上乗せされたら?」

「え、えっと……二十六体だから……八十……二枚!」


 うん、正解。


「よくできました。――あっ」


 やばっ、フード越しとはいえうっかり頭撫でちまった。いくら小柄で年下っぽいとはいえ、同い年相手に何やってんだ俺は。


「悪い。ついうっかり」

「あぁっ」


 慌てて手を引いて顔を逸らしたら、何故か残念そうな反応をされた。

 思いもよらぬ反応に立ち止まって顔をそっちに向けると、ロシェリも立ち止まって顔を真っ赤にしながらフードを引っ張って顔を隠す。いや、そんな反応をされても困る。


「ごめん、ね。褒められるのも、頭撫でられるのも、初めてだった……から」


 ああそういう事か。虐めと嫌がらせの日々だったから、褒められた経験も撫でられた経験も無いのか。

 怒らせたんじゃなくてホッとしたのも束の間、右手でフードを押さえたままのロシェリが左手で俺の外套をくいくい引っ張る。今度は何の用だ?


「えと、良ければ、もっと……撫でて?」

「ちょっと待とうか。今なんて言ったか、ちゃんと自覚してるか?」

「撫でて」

「……なんで?」

「胸が温かくなって、気持ちよかった……から?」


 疑問形で質問しないでもらいたい。

 他人からの愛情や温もりを知らずに育つと、自然とこうなるのか?


「あの……駄目?」

「……頭出せ」


 おねだりに負けて、差し出されたロシェリの頭を撫でていく。

 フードは下そうとせず両手で押さえているから、さっきと同じようにフードの上から撫でる。


「あふぅ……」


 気持ちいいのは分かるから、妙な声は出さないでくれ。

 第三者がいたら、なんでこんな所でそんな事をやっているんだって思われるだろう。

 そんなちょっと変わった状況の最中、少し先にある茂みから音が響いた。


「っ!」

「はうっ!?」


 悪い事も変な事もしていないけど、なんか見られたら不味い気がして俺達は咄嗟に離れて身構える。

 しまった。いつの間にか、ウィンドサーチの効果が切れているのに気付かなかった。

 いつでも抜けるよう背中のハルバートに手をやり、何が出てくるのかと警戒する。

 やがて茂みから現れたのは、全身の筋肉が隆起したゴツイ四足歩行の生き物だった。傷だらけでヨロヨロと歩きながら現れた、こいつはなんだ?

 魔物なんだろうから、「完全解析」で調べてみよう。




 マッスルガゼル 魔物 雄


 状態:中傷


 体力697 魔力64 俊敏572 知力401 器用318


 スキル

 突進LV3 跳躍LV2 蹴術LV2 威嚇LV1




 やっぱり魔物か。というか、マッスルって……。

 確かに筋肉でゴツイから、合っているちゃ合っているとは思うけどさぁ……。

 とかなんとか考えていたら、震えながら立ち止まるとそのまま崩れ落ちた。


「怪我……してる?」

「他の魔物と争ったのか、冒険者から命からがら逃げて来たのか。ウィンドサーチ」


 面倒事は避けたいから周囲を探ってみたけど、目の前にいるマッスルガゼルと俺達以外に魔物や人間の反応は無い。反応があるのは鳥とか小動物とかだけだ。

 何かあったとしたら範囲外だから、それなりに距離はあるんだろう。


「この辺には魔物も冒険者もいない。でも、何かと戦ったのは間違いない」


 でなくちゃ、あんな傷だらけになるはずがない。


「……どうする?」

「ううん……」


 ここで俺達が取るべき選択肢は三つ。

 一つ目は冒険者としてトドメを刺してあの魔物を狩る。二つ目は傷ついた相手は攻撃せず、むしろ助けてやる。三つ目はそのどっちもしない。つまり見捨てて素通りする。

 冒険者としてが一つ目が当然の対応だろう。仮にあいつと戦ったのが同業者だとしても、周辺にいない以上は面倒事になることは無い。でもここは、ロシェリの意見も聞いてみるか。


「ロシェリ、三択だ。楽にしてやる、助ける、放置」

「え、えぇっ!?」


 いきなり話を振られて困ってる。

 悩んでいる間にマッスルガゼルはこっちに気づき、ジッとこっちを見ている。下手に近づいたら一撃を浴びそうな雰囲気だ。


「ジルグ君は……どうしたいの?」

「俺は……」


 待てよ。ここで俺の意見を言ったら、性格からしてロシェリはそれに合わせるだけになりそうだ。

 そうなったら意見を求めた意味が無い。ここはひとつ、少し厳しめにいくか。


「俺はもう決めた。ロシェリはどうしたい?」

「えっと、同じで……」

「ロシェリ自身の考えと言葉で言ってくれ。どんな意見でもバカにしないし、怒らないから」


 強めの口調で言うとロシェリは戸惑う。もう一押しいくか。


「ここには虐めていた奴らも、嫌がらせをしていた職員もいない。好きに言っていいんだぞ」


 そう言うとロシェリは俯いてしばし考えた後、こちらを窺うように小声で言った。


「助けて……いい? 治癒魔法、使えるから」

「勿論だ。俺も同じ意見だからな」


 お人好しの俺としては、自分で狩ろうとしたわけじゃない相手にトドメを刺すのも見捨てるのもできればしたくない。

 向こうが襲ってきたら戦うけど、そういう状況じゃないのなら可能な限り助けてやりたい。それで襲ってくるような恩知らずなら、こっちも遠慮なくぶっ飛ばす。相手が盗賊のような悪人や凶暴そうな生物なら、例外的に助けずぶっ飛ばす。見分け方? 「完全解析」と勘頼み。

 甘い考えだとは思う。でもそれが俺らしさだから、それを失いたくない。


「じゃあ、治すね。……ヒール」


 治癒魔法によりマッスルガゼルの傷が癒えていく。痛みが消えたからか、こっちを警戒していた様子が解けて驚いた反応見せるた後、立ち上がって状態を確認するように動いている。

 襲ってくる様子は無いから、恩知らずではないみたいだな。


「それじゃあ行くぞ」

「うん。じゃあ、ね」


 念のためにしていた警戒を解き、脇を通り抜けて先へ進む。

 ちょっとだけいい気分になって歩いていると、さっきまでしなかった足音が聞こえた。しかも後ろから徐々に近づいているから振り向くと、さっきのマッスルガゼルが付いて来ていた。


「なんだ?」

「さあ?」


 襲ってくるにしては普通に歩いているし、敵意も向けられていない。一体どうして付いて来るのだろうと眺めていると、顔をロシェリに近づけて頬ずりしてきた。


「えっ、えっ、何?」


 懐いた様子に慌てふためいて戸惑っている。嫌われて育ったから、こういうのに弱いんだろう。

 さっきの撫でられる事への反応といい、新しい一面が見られて少し面白い。


「治してくれたお礼を言いたいんじゃないか?」

「そう……なの?」


 ロシェリの問い掛けにマッスルガゼルは一度離れ、首を数回縦に振る。どうやらこっちの言葉を理解しているようだ。

 ということは、さっきの俺達の会話も聞いて理解している可能性がある。だから治癒魔法をかけたのがロシェリだって分かったのかも。

 再度頬ずりをされてロシェリが困っている様子を眺めていると、マッスルガゼルの額に何か模様みたいな物が浮かんできた。気になったから「完全解析」を使ってみると、一瞬目を疑った。




 従魔の刻印

 魔物が主と認めた相手に触れ、従魔の契約を施した際に浮かぶ刻印




 ちょっと待て。もう一回、マッスルガゼルの額に浮かんでいる模様を「完全解析」。




 従魔の刻印

 魔物が主と認めた相手に触れ、従魔の契約を施した際に浮かぶ刻印




 見間違えなんかじゃなかった。

 いつだ、いつそんな契約を交わしたんだ。相手に触れてってあるから、頬ずりか? さっきの頬ずりがそうなのか?

 しかもこの契約って、相手側の同意が不要っぽい。なんとも押し売りな契約だ。


「うん? なん、だろう……これ。額に、何か模様が……出てる?」


 あっ、ロシェリもマッスルガゼルの額の模様に気づいた。

 ここは……うん、こうしよう。


「それって確か「従魔の刻印」じゃないか? 魔物が主と認めた相手に触れて、契約した時にそういうのが浮かぶって聞いたことがある」


 実際は聞いたことなんて無い。誤魔化すためのでっち上げだ。


「えっ? いつの、間に⁉」

「俺が聞きたいよ」


 ついでだからロシェリにも「完全解析」を使ってみると、スキルの欄の下に「従魔:マッスルガゼル」ってあった。


「たぶん、助けてくれた恩返しがしたくて契約したんじゃないか?」

「私と?」

「だって、そいつが直接触れたのはロシェリだけだろ?」


 一応俺にも「完全解析」を使ってみたけど、従魔のことなんて表示されなかったし。


「急に、そんな事されても……困るよ……。相談くらい、してほしかったよ……」


 交わし方からして押し売りだからな、この契約のやり方って。そう思うのも無理はないか。


「相談なんか無理だって。言葉喋れないんだから」

「うぅぅ……。どうせならこんな、ムッキムキのガッチガチ、じゃなくて……。モフモフか、プニプニな、従魔が……欲しかった」


 まあ、マッスルガゼルだからな。全身が筋肉質でガタイもいいし、モフモフもプニプニも望めないだろう。

 試しに触れてみると、特に拒絶されずに触れることができた。でも確かに、筋肉でムッキムキで触感がガッチガチだ。毛はあるっちゃあるけど短くて、モフモフ感が全くと言っていいほど無い。

 こんなに筋肉質なら、寒さも毛の長さじゃなくて豊富な筋肉の熱で乗り越えられそうだ。


「破棄とか……できない、かな?」

「やり方が分からない。それにせっかくの厚意を無下にするのも、どうかと思うぞ」


 そう言ったらロシェリは渋々ながら、従魔としてマッスルガゼルを連れて行くのを認めた。

 突如加わったガチでムキな従魔だけど、早速従魔としてロシェリの役に立ってみせた。


「おぉ……楽ちん」


 そう呟くロシェリは現在、マッスルガゼルの背中に乗っている。

 少し前に疲労から足取りが重くなって息も切れてきた様子を見て、背中に乗るように促してきた。最初は怖々していたものの、いざ乗って歩き出したらこの調子だ。

 俺が抱えても軽いって感じた体重だ、筋肉質のマッスルガゼルには大した負荷じゃないだろう。

 ともかく、これで進むペースが上げられるな。疲労も減ったから空腹までの時間も……稼げるのか?


「でも……モフモフ、しない……」


 そこは諦めてくれ、なにせマッスルガゼルだから。


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